《電力・管理》〈変電〉[H18:問2]変電所の機器,電線・電力ケーブル選定時の電流協調に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

主要変電所の直列機器(主要変圧器,遮断器など),電線・電力ケーブルなどの選定時の電流協調に関して,留意すべき次の事項について簡潔に述べよ。

(1) 定常時(過負荷時を含む)の電流協調

(2) 事故時(系統の短絡事故時や地絡事故時)の電流協調

【ワンポイント解説】

定常時,事故時を想定した電流協調に関する問題です。
各機器の熱容量(温度上昇の時定数)や事故時の電磁力,周囲への影響等実務的な知識が求められています。ただし,誤ったことが記載していない限り加点はされそうなので,部分点狙いとしては良い問題かと思います。

1.変電設備における電流協調の考え方
①定常時(過負荷時を含む)の電流協調
定常時は,長期的に連続して使用する上で問題が発生しないかの視点で検討されます。
連続して流せる許容電流(機器は定格電流,電線類は連続許容電流)は,導体の機械的強度の低下や接触部の過熱を防ぐ限界温度,または絶縁物(油,紙,架橋ポリエチレン等)の熱劣化を防ぐ最高許容温度によって規制されます。
ただし,事前通過電流が少なければ一時的な過負荷運転は可能です。その場合は,変圧器のように温度上昇の時定数が大きい(温まりにくく冷めにくい性質を持つ)機器と,電線や断路器のように時定数が小さい機器が直列に並ぶため,それぞれの許容特性に応じた適切な協調が必要となります。

②事故時(系統の短絡事故時や地絡事故時)の電流協調
事故時は,系統の短絡事故や地絡事故が発生した場合を想定し検討されます。
事故時の短絡電流の許容値(定格短時間電流,故障瞬時許容電流)は,通電時間が\( \ 1\sim 2 \ \)秒と極めて短いため,定常時よりもかなり高めの温度まで許容されます。
また, 短絡電流が過大になると,温度上昇だけでなく,導体や支持物に加わる機械的な電磁力が非常に大きくなり,これが主要な規制要因となることがあります。さらに,特に直接接地系統では,大きな大地帰路電流によって通信線や制御回路へ過電圧を誘起(誘導障害)したり,接地電位の上昇を招いたりする可能性もあり,変電所近傍の事故では架空地線や接地線への事故電流の分流に対する配慮も必要です。

【解答】

(1)定常時(過負荷時を含む)の電流協調
(ポイント)
・ワンポイント解説「1.変電設備における電流協調の考え方」の通りです。

(試験センター解答例)
定常運転中に連続的に流れる電流の許容値は,機器では定格電流,電線・電力ケーブルでは連続許容電流で表される。
過負荷時の直列機器の電流容量は,事前の通過電流が定格電流以下であれば,短時間の過負荷が可能である。この際注意すべきことは,接続する機器や電線・電力ケーブルなど種類によって温度上昇の時定数が異なることで,主要変圧器(油入)の様に時定数の比較的大きいものと断路器や電線のように時定数の比較的小さいものについて,個々に想定した過負荷時間について適切な電流協調を図ることが必要である。
特に,主要変圧器や遮断器などの主要機器の過負荷時の耐量が損なわれないように,直列に接続される機器や電線・電力ケーブルの定格や連続許容電流を選定する必要がある。

(2)事故時(系統の短絡事故時や地絡事故時)の電流協調
(ポイント)
・ワンポイント解説「1.変電設備における電流協調の考え方」の通りです。

(試験センター解答例)
系統の短絡や地絡事故時に流れる直列機器や電線・電力ケーブルにおける故障電流の許容値は,機器では定格短時間電流(変圧器では,短時間電流強度),また,電線・電力ケーブルでは,瞬時許容電流で表されている。
これらの電流を決める要因も事故発生から事故除去までの通電時間が\( \ 1\sim 2 \ \)秒ときわめて短時間であることから,定常時の場合よりかなり高めに選定される。
特に,直接接地系統では,地絡や短絡故障時には,大きな故障電流が流れるため,主要変圧器巻線や三相\( \ \mathrm {GIS} \ \)(\( \ \mathrm {SF_{6}} \ \)ガス絶縁開閉装置)などへの大きな電磁機械力が発生し,故障除去が遅れた場合には,過熱損傷のおそれがある。
このため,極力,保護・制御装置の信頼度向上を図り,確実かつ早期の故障箇所の除去により,事故の局限化を図る必要がある。
その他,地絡や短絡故障時には大きな大地帰路電流が流れ,通信線や低圧制御回路などに,過電圧を誘起したり,接地電位の上昇を招いたりするおそれがあるので注意を要する。



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