《電力・管理》〈電気施設管理〉[H28:問5] 電線路の絶縁性能に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

電線路の絶縁性能に関して,次の問に答えよ。

(1) 「電気設備に関する技術基準を定める省令」及び「電気設備の技術基準の解釈」に基づき,絶縁性能を確認するために現場で行う試験について,低圧の電線路と高圧以上の電線路における試験方法の違いを説明せよ。また,それぞれの試験方法について定性的に説明せよ。

(2) 電線にケーブルを使用する高圧又は特別高圧の交流の電線路に関し,直流による試験が認められているが,その考え方及び方法を説明せよ。

【ワンポイント解説】

電気設備技術基準第58条と電気設備技術基準の解釈第15条からの出題で,二次試験の出題範囲外のような気もしますが,電気施設管理に含まれるという意味での出題と思われます。

1.電気設備技術基準第58条
電気使用場所における使用電圧が低圧の電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗は、開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、次の表の上欄に掲げる電路の使用電圧の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上でなければならない。

2.電気設備技術基準の解釈第15条(抜粋)
高圧又は特別高圧の電路は、次の各号のいずれかに適合する絶縁性能を有すること。

一 規定の試験電圧を電路と大地との間(多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との間)に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。

二 電線にケーブルを使用する交流の電路においては、規定の試験電圧の2倍の直流電圧を電路と大地との間(多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との間)に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。

【解答】

(1)低圧の電線路と高圧以上の電線路における試験方法の違い
(ポイント)
電気設備技術基準の通り,低圧では絶縁抵抗測定を,高圧以上では絶縁耐力試験を実施します。

(試験センター解答例)
低圧電線路の絶縁性能は絶縁抵抗の値で規定され,絶縁抵抗測定により確認する。これに対し,高圧以上の電線路の絶縁性能は,試験電圧と試験時間とによって定められている絶縁耐力試験により確認する。

絶縁抵抗測定は,試験しようとする電線路の電線相互間及び電路と大地との絶縁抵抗が,規定値以上であることを確認する。絶縁抵抗測定が困難な場合においては,当該電線路の使用電圧が加わった状態における漏えい電流が,規定値以下であることを確認する。

絶縁耐力試験は,試験しようとする電線路の最大使用電圧を基準として,定められている試験電圧を電線路と大地との間に連続して一定時間加え,異常が生じないかを確認する方法である。

(2)ケーブルを使用する高圧又は特別高圧の交流の電線路に関し,直流による試験が認められているが,その考え方及び方法
(ポイント)
ケーブルの絶縁耐力試験を直流で行う理由は,ケーブルの大きな静電容量のために,交流電圧だとケーブルに充電電流が流れ,必要な容量の試験用変圧器が大きくなるためです。直流では充電電流がなく2倍の電圧であっても容量は小さくて済みます。

(試験センター解答例)
長距離の電力ケーブルは対地静電容量が大きく,交流試験では所用電源容量,試験設備が大きくなり,その実施が困難である場合が多いため,比較的簡単に実施できる直流での耐圧試験を行うことが認められている。

交流試験の試験電圧の2倍の直流電圧を,電路と大地との間(多心ケーブルにあっては,心線相互間及び心線と大地との間)に連続して10分間加えたとき,これに耐えられることを確認する方法である。



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