《機械》〈誘導機〉[H21:問1]二重給電電動機の構成や制御に関する空欄穴埋問題

1 【問題】
2 【ワンポイント解説】
3 【解答】

【問題】

【難易度】★★★☆☆（普通）

次の文章は，二重給電誘導機$ \ \left( \mathrm {Doubly{-}fed \ Induction \ Machine} \right) \ $に関する記述である。文中の$ \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ $に当てはまる最も適切な語句を解答群の中から選び，その記号をマークシートに記入しなさい。

図示されるように，二重給電誘導機は一次巻線が商用周波数の電源に接続され，二次巻線にはスリップリングを介して電力変換装置によって交流二次電流が供給される。電力変換装置は専用の変圧器を介して二重給電誘導機の一次側と同じ電源に接続される。回転速度の変化に応じて電力変換装置が常に$ \ \fbox {　（１）　} \ $周波数をもつ交流二次電流を供給することで，二重給電誘導機は電源側との同期運転を行うことができる。

電力変換装置により二次電流の$ \ \fbox {　（２）　} \ $を制御することによって，電力変換装置と二次巻線との間で双方向に交流電力を制御することが可能である。静止セルビウス方式と比較して$ \ \fbox {　（３）　} \ $での運転が可能なため，この方式は$ \ \fbox {　（４）　} \ $と呼ばれる。

電力変換装置としてはサイクロコンバータが一般的であるが，交流間接変換装置も適用される。電力分野への代表的な適用例として，可変速揚水発電システムやエネルギー変換効率向上を意図した可変速$ \ \fbox {　（５）　} \ $などがある。

（注）ここで取り上げた「二重給電誘導機」は，ほかにも「二重給電同期機」$ \left( \mathrm {JEC-2130} \right) $，「二次周波数制御卷線形誘導機」などとも表記される。

〔問1の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&（イ）&　超同期クレーマ方式　　　　　　　&（ロ）&　燃料電池発電システム　　　　　　　&（ハ）&　同期速度以上 \\[ 5pt ] &（ニ）&　太陽光発電システム　　　　　&（ホ）&　大きさと周波数　　　　　&（ヘ）&　商　用 \\[ 5pt ] &（ト）&　無励磁状態　　　　　&（チ）&　滑　り　　　　　&（リ）&　二次抵抗制御 \\[ 5pt ] &（ヌ）&　風力発電システム　　　　　&（ル）&　静止クレーマ方式　　　　　&（ヲ）&　高調波成分 \\[ 5pt ] &（ワ）&　2　倍　　　　　&（カ）&　超同期セルビウス方式　　　　　　&（ヨ）&　過渡直流分 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

二重給電誘導機に関する問題です。
書籍等により，簡潔に記載があるもの，細かくメカニズムが記載があるもの等いろいろあると思いますが，電験の対策としては通常の誘導電動機とサイクロコンバータの特性を理解した後，本問の内容を理解すると深すぎず浅すぎず丁度良い塩梅になるかと思います。

1.超同期セルビウス方式
図1に超同期セルビウス方式の例を示します。
通常の巻線形誘導電動機のように一次巻線に電源を接続し，さらにスリップリングを介して二次巻線にも接続します。
二次巻線には専用変圧器とサイクロコンバータを接続して，電圧と周波数を変化させ，二次側に滑り周波数の交流二次電流を供給します。
これにより，通常の誘導電動機では回転速度が同期速度より大きい場合には誘導発電機として働きますが，誘導電動機として運転することが可能となります。
一方，通常の静止セルビウス方式のように，電源側に電力を回生することも可能で，同期速度よりも小さい回転速度で同期発電機として運転することも可能となります。これらの特性から，可変速風力発電システムにも応用される技術となります。