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【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
次の文章は,正弦波交流回路に関する記述である。文中の に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
図1の回路において,電源電圧 ˙V=10∠0=10 V であり,各素子のインピーダンスは図1に示すとおりである。図1の回路において,電流 ˙I= (1) A である。
図1の回路の端子 a–b に負荷 ˙ZL=5+j5 Ω を接続したときに,負荷 ˙ZL を流れる電流 ˙IL と負荷 ˙ZL で消費される有効電力 PL を,以下の手順に従って求める。
端子 a–b から見込んだ図1の等価回路は図2となる。ただし,図2の等価回路において ˙V0= (2) V , ˙Z0= (3) Ω である。
したがって,求める電流 ˙IL と有効電力 PL は,図2の等価回路の端子 a–b に負荷 ˙ZL を接続したときに,負荷 ˙ZL を流れる電流,及び負荷 ˙ZL で消費される有効電力として, ˙IL= (4) A ,及び PL= (5) W と求められる。

〔問4の解答群〕
(イ) −j (ロ) 5+j5 (ハ) 10+j10(ニ) 2−j2 (ホ) 5 (ヘ) j(ト) 2 (チ) −10−j10 (リ) 5−j5(ヌ) 10−j10 (ル) 1+j (ヲ) j5(ワ) 2+j2 (カ) 20 (ヨ) 10
【ワンポイント解説】
テブナンの定理を利用した交流回路の演算に関する問題です。
交流回路の各素子のインピーダンスや電力の求め方,合成インピーダンス,分圧の法則等はここではカバーしきれないため 3 種の問題や参考書を参考にするようにして下さい。
1.テブナンの定理
図3のような回路において,端子 a−b の開放電圧を V0 [V] ,端子 a−b から電源側をみた合成抵抗を R0 [Ω] とする(ただし,電圧源は短絡,電流源は開放する)と,図の抵抗 R [Ω] を流れる電流の大きさ I [A] は,
I=V0R+R0
で求められます。この関係は抵抗のみでなく,リアクタンスにも適用可能です。

【解答】
(1)解答:ト
図1における合成インピーダンス ˙Z1 [Ω] は,
˙Z1=j5+5−j5=5 [Ω]
なので,電流 ˙I [A] は,
˙I=˙V˙Z1=105=2 [A]
と求められる。
(2)解答:ヌ
端子 a–b に加わる電圧 ˙V0 [V] は,分圧の法則より,
˙V0=5−j5˙Z1˙V=5−j55×10=10−j10 [V]
と求められる。
(3)解答:ロ
端子 a–b から電源側を見た等価抵抗は電圧源を短絡すれば良いので,図4のようになる。したがって,等価インピーダンス ˙Z0 [Ω] は,
˙Z0=j5(5−j5)j5+(5−j5)=25+j255=5+j5 [Ω]
と求められる。

(4)解答:イ
(2)及び(3)より,等価回路は図5のようになる。したがって,負荷 ˙ZL を流れる電流 ˙IL [A] は,
˙IL=˙V0˙Z0+˙ZL=10−j10(5+j5)+(5+j5)=10−j1010+j10=10−j1010+j10×10−j1010−j10=100−j200−100100+100=−j200200=−j [A]
と求められる。

(5)解答:ホ
負荷 ˙ZL で消費される有効電力 PL [W] は,負荷の抵抗分 RL=5 [Ω] なので,
PL=RL|˙IL|2=5×|−j|2=5×12=5 [W]
と求められる。