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【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
図のように,\(66 \ \mathrm {[kV]} \ \)送電線路の中間及び末端に需要家が接続された系統がある。このうち,\( \ \mathrm {A} \ \)需要家の受変電設備における地絡保護について,次の問に答えよ。ただし,\( \ \mathrm {A} \ \)需要家及び\( \ \mathrm {B} \ \)需要家には発電設備がないものとする。
(1) \( \ \mathrm {A} \ \)需要家の地絡検出方式として,変流器\( \ \left( \mathrm {CT}\right) \ \)の残留回路を利用する場合,\( \ \mathrm {CT} \ \)の選定に当たって留意すべき点を二つ挙げよ。
(2) 図に示す\( \ \mathrm {A} \ \)需要家の箇所で\( \ 1 \ \)線地絡事故が発生した場合,供給変電所送電端の地絡過電流リレーの整定値を一次換算電流\( \ 30 \ \mathrm {[A]} \ \),地絡検出から送電用遮断器\( \ \mathrm {CB1} \ \)遮断までの時間を\( \ 1.0 \ \)秒とした場合の\( \ \mathrm {A} \ \)需要家の地絡過電流リレーの整定タップ値及び動作時限を求めよ。ただし,次の条件によることとする。
供給変電所の遮断器\( \ \mathrm {CB1} \ \)の遮断時間:\( \ 0.1 \ \)秒
\( \ \mathrm {A} \ \)需要家の遮断器\( \ \mathrm {CB3} \ \)の遮断時間:\( \ 0.1 \ \)秒
\( \ \mathrm {A} \ \)需要家の\( \ \mathrm {CT} \ \)の変流比:\( \ 100 / 5 \ \mathrm {[A]} \ \)
完全地絡電流:\( \ 100 \ \mathrm {[A]} \ \)
地絡検出動作電流値:完全地絡電流の\( \ 30 \ \mathrm {[%]} \ \)
リレー動作を確実にするための係数:\( \ 1.5 \ \)
供給変電所の遮断器\( \ \mathrm {CB1} \ \)のシリーストリップ回避のための余裕時間:\( \ 0.3 \ \)秒
\( \ \mathrm {A} \ \)需要家の地絡過電流リレーのタップ値:\( \ 0.5 \ \mathrm {[A]} \ \),\( \ 0.7 \ \mathrm {[A]} \ \),\( \ 1.0 \ \mathrm {[A]} \ \),\( \ 1.4 \ \mathrm {[A]} \ \)及び\( \ 2.0 \ \mathrm {[A]} \ \)
【ワンポイント解説】
受変電設備における地絡保護について考える問題です。
計算量は多くないですが,電験で出題される頻度は高くないため,多くの受験生を悩ませた問題と考えられます。
現場を知っている方が有利な問題と言えるでしょう。
1.地絡検出時の\( \ \mathrm {CT} \ \)の結線方法
一般的な地絡検出方式として,図1に示すような各相の過電流検出を合成した\( \ \mathrm {CT} \ \)残留回路を利用する方法があります。三相平衡時は三相の電流のベクトル和が零となり,地絡事故発生時はベクトル和が零とならないため,地絡を検出することができます。ただし,\( \ \mathrm {CT} \ \)の変流比が大きい場合は,二次回路\( \ i_{\mathrm {a}}\sim i_{\mathrm {c}} \ \)の電流値が非常に小さくなり,残留回路を利用する方法が適さないため,図2に示すような三次巻線付\( \ \mathrm {CT} \ \)を用います。また,中性点を接地しない配電系統においては地絡電流が小さいので,図3に示すような三相を一括で検出する零相変流器\( \ \left( \mathrm {ZCT}\right) \ \)が使用されます。



【解答】
(1)変流器\( \ \left( \mathrm {CT}\right) \ \)の残留回路を利用する場合,\( \ \mathrm {CT} \ \)の選定に当たって留意すべき点を二つ
(ポイント)
・ワンポイント解説「1.地絡検出時の\( \ \mathrm {CT} \ \)の結線方法」の通り,\( \ \mathrm {CT} \ \)残留回路を利用する場合は通常運転時の各相の電流の大きさができるだけ等しくなければなりません。したがって,誤差が小さくなるような方法を記載すれば良いことになります。
(試験センター解答例)
次のうちいずれか二つ挙げれば可
・\( \ \mathrm {CT} \ \)の定格をそろえる。
・\( \ \mathrm {CT} \ \)の形式をそろえる。
・誤差のバラツキの小さいものを選ぶ。
・二次負担が平衡になるようにする。
・\( \ \mathrm {CT} \ \)の変流比が大きい場合(\( \ 300 \ \mathrm {[A]} \ \)超過)は,三次巻線付\( \ \mathrm {CT} \ \)を使用する。
・残留電流が小さい場合は,\( \ \mathrm {ZCT} \ \)を使用する
(2)\( \ \mathrm {A} \ \)需要家の箇所で\( \ 1 \ \)線地絡事故が発生した場合の地絡過電流リレーの整定タップ値及び動作時限
完全地絡電流が\( \ 100 \ \mathrm {[A]} \ \),地絡検出動作電流値が完全地絡電流の\( \ 30 \ \mathrm {[%]} \ \),リレー動作を確実にするための係数が\( \ 1.5 \ \)なので,地絡過電流リレーを動作させる一次電流の値\( \ I_{1} \ \mathrm {[A]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
I_{1} &=&\frac {\displaystyle 100\times \frac {30}{100}}{1.5} \\[ 5pt ]
&=&20 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となり,\( \ \mathrm {CT} \ \)の変流比が\( \ 100 / 5 \ \mathrm {[A]} \ \)なので,二次電流\( \ I_{2} \ \mathrm {[A]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
I_{2} &=&\frac {5}{100}I_{1} \\[ 5pt ]
&=&\frac {5}{100}\times 20 \\[ 5pt ]
&=&1 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となる。したがって,地絡過電流リレーの整定タップ値は\( \ 1.0 \ \mathrm {[A]} \ \)と求められる。
また,地絡過電流リレーの動作時限を\( \ T \ \mathrm {[s]} \ \)とし,地絡検出から\( \ \mathrm {CB1} \ \)遮断までの時間の関係を考えると図4のようになる。よって,地絡過電流リレーの動作時限は,
\[
\begin{eqnarray}
T &=&1.0-0.1-0.3-0.1 \\[ 5pt ]
&=&0.5 \ \mathrm {[s]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
と求められる。




【令和8年度版2種一次試験】








愛知県出身 愛称たけちゃん
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