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【問題】
【難易度】★★★★☆(やや難しい)
次の文章は,自家用電気工作物の保安及び高圧一括受電マンションの取扱いに関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
a 自家用電気工作物に該当する需要設備の保安管理業務を外部委託し,電気主任技術者を選任しない場合,その外部委託について経済産業大臣又は産業保安監督部長に\( \ \fbox { (1) } \ \)をしなければならない。この保安管理業務の外部委託業務に従事する者の要件として,電気主任技術者免状の交付を受けていることのほか,\( \ \fbox { (2) } \ \)が必要である。
b 一般的なマンションでは,住戸部(専有部)の電気契約は,住人(専有部利用者)が個別に電気事業者と低圧電灯契約を結ぶのに対し,契約主体を単一にして高圧電力契約し,マンション側で設置する受変電設備から各住戸部に低圧供給する,いわゆる高圧一括受電マンションが近年増加している。高圧一括受電マンションの電気工作物は,電気事業法及び関係法令により,次のように扱うことが必要である。
電気工作物の種類は,\( \ \fbox { (3) } \ \)となる。
住戸部の電気工作物は,保安規程及び電気主任技術者の保安の監督の対象に\( \ \fbox { (4) } \ \)。
電気工作物の保安管理業務を外部委託により行う場合,住戸部の定期点検の頻度は,低圧受電の一般用電気工作部の調査と同様,原則的に\( \ \fbox { (5) } \ \)とすることができる。
〔問1の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 事前に承認申請 &(ロ)& 10 \ 年に一回以上 &(ハ)& しなくてもよい \\[ 5pt ]
&(ニ)& 事前に届出 &(ホ)& なる &(ヘ)& ならない \\[ 5pt ]
&(ト)& 1 \ 年に一回以上 &(チ)& 事後遅滞なく届出 &(リ)& 4 \ 年に一回以上 \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
\[
\begin{eqnarray}
&(ヌ)& 調査員の証明書の交付を受けていること \\[ 5pt ]
&(ル)& 受変電設備は自家用電気工作物,住戸部は特定自家用電気工作物 \\[ 5pt ]
&(ヲ)& 電気工事士免状の交付を受けていること \\[ 5pt ]
&(ワ)& 受配電設備,住戸部のいずれも自家用電気工作物 \\[ 5pt ]
&(カ)& 受変電設備は自家用電気工作物,住戸部は一般用電気工作物 \\[ 5pt ]
&(ヨ)& 実務に従事した期間が一定以上であること \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
自家用電気工作物の保安に関する問題で,条文が多岐にわたり非常に高い総合力を求められる問題となっています。様々な問題に接していれば,比較的予想がつきやすい空欄もあると思いますので,1種~3種まで様々な問題に取り組むようにして下さい。
1.高圧一括受電方式
マンションの管理組合等が電力会社から一括して高圧受電し,管理組合が保有する受配電設備を利用して低圧に変換し各住戸に供給する方式。
電力会社からの受電は高圧受電となるため,自家用電気工作物となります。したがって,住戸部の電気工作物も自家用電気工作物となり,保安規程及び電気主任技術者の保安の監督の対象になります。
【解答】
(1)解答:イ
電気事業法施行規則第52条第2項に規定されている通り,事前に承認申請が必要となります。
(2)解答:ヨ
電気事業法施行規則第五十二条の二第一号ロの要件等に関する告示第1条に規定されている通り,実務に従事した期間が一定以上であることとなります。
(3)解答:ワ
電気事業法第38条,電気事業法施行規則第48条に規定されている通り,高圧一括受電マンションは高圧受電となるので,一般用電気工作物には該当せず,自家用電気工作物となります。
(4)解答:ホ
電気事業法第42条及び第43条に規定されている通り,住戸部も事業用電気工作物に該当するため,保安規程及び電気主任技術者の保安の監督の対象になります。
(5)解答:リ
電気事業法施行規則第96条第2項一イに規定されている通り,4年に一回以上となります。
<電気事業法第38条>
この法律において「一般用電気工作物」とは、次に掲げる電気工作物をいう。ただし、小出力発電設備以外の発電用の電気工作物と同一の構内(これに準ずる区域内を含む。以下同じ。)に設置するもの又は爆発性若しくは引火性の物が存在するため電気工作物による事故が発生するおそれが多い場所であつて、経済産業省令で定めるものに設置するものを除く。
一 (3)他の者から経済産業省令で定める電圧以下の電圧で受電し、その受電の場所と同一の構内においてその受電に係る電気を使用するための電気工作物(これと同一の構内に、かつ、電気的に接続して設置する小出力発電設備を含む。)であつて、その受電のための電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないもの
二 構内に設置する小出力発電設備(これと同一の構内に、かつ、電気的に接続して設置する電気を使用するための電気工作物を含む。)であつて、その発電に係る電気を前号の経済産業省令で定める電圧以下の電圧で他の者がその構内において受電するための電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないもの
三 前二号に掲げるものに準ずるものとして経済産業省令で定めるもの
2 前項において「小出力発電設備」とは、経済産業省令で定める電圧以下の電気の発電用の電気工作物であつて、経済産業省令で定めるものをいうものとする。
3 この法律において「事業用電気工作物」とは、一般用電気工作物以外の電気工作物をいう。
4 この法律において「自家用電気工作物」とは、次に掲げる事業の用に供する電気工作物及び一般用電気工作物以外の電気工作物をいう。
一 一般送配電事業
二 送電事業
三 特定送配電事業
四 発電事業であつて、その事業の用に供する発電用の電気工作物が主務省令で定める要件に該当するもの
<電気事業法第42条>
(4)事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、主務省令で定めるところにより、保安を一体的に確保することが必要な事業用電気工作物の組織ごとに保安規程を定め、当該組織における事業用電気工作物の使用(第五十一条第一項の自主検査又は第五十二条第一項の事業者検査を伴うものにあつては、その工事)の開始前に、主務大臣に届け出なければならない。
2 事業用電気工作物を設置する者は、保安規程を変更したときは、遅滞なく、変更した事項を主務大臣に届け出なければならない。
3 主務大臣は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため必要があると認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、保安規程を変更すべきことを命ずることができる。
4 事業用電気工作物を設置する者及びその従業者は、保安規程を守らなければならない。
<電気事業法第43条>
(4)事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主務省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。
2 自家用電気工作物を設置する者は、前項の規定にかかわらず、主務大臣の許可を受けて、主任技術者免状の交付を受けていない者を主任技術者として選任することができる。
3 事業用電気工作物を設置する者は、主任技術者を選任したとき(前項の許可を受けて選任した場合を除く。)は、遅滞なく、その旨を主務大臣に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
4 主任技術者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督の職務を誠実に行わなければならない。
5 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者は、主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。
<電気事業法施行規則第48条(抜粋)>
法第三十八条第一項の経済産業省令で定める場所は、次のとおりとする。
一 火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)第二条第一項に規定する火薬類(煙火を除く。)を製造する事業場
二 鉱山保安法施行規則(平成十六年経済産業省令第九十六号)が適用される鉱山のうち、同令第一条第二項第八号に規定する石炭坑
2 法第三十八条第一項第一号の経済産業省令で定める電圧は、(3)六百ボルトとする。
3 法第三十八条第二項の経済産業省令で定める電圧は、(3)六百ボルトとする。
4 法第三十八条第二項の経済産業省令で定める発電用の電気工作物は、次のとおりとする。ただし、次の各号に定める設備であって、同一の構内に設置する次の各号に定める他の設備と電気的に接続され、それらの設備の出力の合計が五十キロワット以上となるものを除く。
一 太陽電池発電設備であって出力五十キロワット未満のもの
二 風力発電設備であって出力二十キロワット未満のもの
三 次のいずれかに該当する水力発電設備であって、出力二十キロワット未満のもの
イ 最大使用水量が毎秒一立方メートル未満のもの(ダムを伴うものを除く。)
ロ 特定の施設内に設置されるものであって別に告示するもの
四 内燃力を原動力とする火力発電設備であって出力十キロワット未満のもの
五 次のいずれかに該当する燃料電池発電設備であって、出力十キロワット未満のもの
イ 固体高分子型又は固体酸化物型の燃料電池発電設備であって、燃料・改質系統設備の最高使用圧力が〇・一メガパスカル(液体燃料を通ずる部分にあっては、一・〇メガパスカル)未満のもの
ロ 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項に規定する自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車並びに被牽引自動車を除く。)に設置される燃料電池発電設備(当該自動車の動力源として用いる電気を発電するものであって、圧縮水素ガスを燃料とするものに限る。)であって、道路運送車両の保安基準(昭和二十六年運輸省令第六十七号)第十七条第一項及び第十七条の二第三項の基準に適合するもの
六 発電用火力設備に関する技術基準を定める省令(平成九年通商産業省令第五十一号)第七十三条の二第一項に規定するスターリングエンジンで発生させた運動エネルギーを原動力とする発電設備であって、出力十キロワット未満のもの
<電気事業法施行規則第52条(抜粋)>
2 次の各号のいずれかに掲げる自家用電気工作物に係る当該各号に定める事業場のうち、当該自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督に係る業務(以下「保安管理業務」という。)を委託する契約(以下「委託契約」という。)が次条に規定する要件に該当する者と締結されているものであって、保安上支障がないものとして(1)経済産業大臣(事業場が一の産業保安監督部の管轄区域内のみにある場合は、その所在地を管轄する産業保安監督部長。次項並びに第五十三条第一項、第二項及び第五項において同じ。)の承認を受けたもの並びに発電所、変電所及び送電線路以外の自家用電気工作物であって鉱山保安法が適用されるもののみに係る前項の表第三号又は第六号の事業場については、同項の規定にかかわらず、電気主任技術者を選任しないことができる。
一 出力二千キロワット未満の発電所(水力発電所、火力発電所、太陽電池発電所及び風力発電所に限る。)であって電圧七千ボルト以下で連系等をするもの 前項の表第一号、第二号又は第六号の事業場
二 出力千キロワット未満の発電所(前号に掲げるものを除く。)であって電圧七千ボルト以下で連系等をするもの 前項の表第三号又は第六号の事業場
三 電圧七千ボルト以下で受電する需要設備 前項の表第三号又は第六号の事業場
四 電圧六百ボルト以下の配電線路 当該配電線路を管理する事業場
3 出力二千キロワット未満の水力発電所(自家用電気工作物であるものに限る。)に係る第一項の表第一号又は第六号に掲げる事業場のうち、当該水力発電所の保安管理業務の委託契約が次条に規定する要件に該当する者と締結されているものであって、保安上支障がないものとして経済産業大臣の承認を受けたものについては、同項の規定にかかわらず、ダム水路主任技術者を選任しないことができる。
4 事業用電気工作物を設置する者は、主任技術者に二以上の事業場又は設備の主任技術者を兼ねさせてはならない。ただし、事業用電気工作物の工事、維持及び運用の保安上支障がないと認められる場合であって、経済産業大臣(監督に係る事業用電気工作物が一の産業保安監督部の管轄区域内のみにある場合は、その設置の場所を管轄する産業保安監督部長。第五十三条の二において同じ。)の承認を受けた場合は、この限りでない。
<電気事業法施行規則第52条の2>
前条第二項又は第三項の要件は、次の各号に掲げる事業者の区分に応じ、当該各号に定める要件とする。
一 個人事業者(事業を行う個人をいう。)
イ 前条第二項の場合にあっては電気主任技術者免状の交付を、同条第三項の場合にあってはダム水路主任技術者免状の交付を、それぞれ受けていること。
ロ 別に告示する要件に該当していること。
ハ 別に告示する機械器具を有していること。
ニ 保安管理業務を実施する事業場の種類及び規模に応じて別に告示する算定方法で算定した値が別に告示する値未満であること。
ホ 保安管理業務の適確な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。
ヘ 次条第五項の規定による取消しにつき責めに任ずべき者であって、その取消しの日から二年を経過しないものでないこと。
二 法人
イ 前条第二項又は第三項の承認の申請に係る事業場(以下「申請事業場」という。)の保安管理業務に従事する者(以下「保安業務従事者」という。)が前号イ及びロの要件に該当していること。
ロ 別に告示する機械器具を有していること。
ハ 保安業務従事者であって申請事業場を担当する者(以下「保安業務担当者」という。)ごとに、担当する事業場の種類及び規模に応じて別に告示する算定方法で算定した値が別に告示する値未満であること。
ニ 保安管理業務を遂行するための体制が、保安管理業務の適確な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。
ホ 次条第五項の規定により取り消された承認に係る委託契約の相手方で、その取消しの日から二年を経過しない者でないこと。ただし、その取消しにつき、委託契約の相手方の責めに帰することができないときは、この限りでない。
ヘ 次条第五項の規定による取消しにつき責めに任ずべき者であって、その取消しの日から二年を経過しないものを保安管理業務に従事させていないこと。
<電気事業法施行規則第五十二条の二第一号ロの要件等に関する告示>
第一条 電気事業法施行規則(以下「規則」という。)第五十二条の二第一号ロの要件は、(2)事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する実務に従事した期間(電気主任技術者免状又はダム水路主任技術者免状の交付を受けた日前における期間については、その二分の一に相当する期間)が、通算して、次に掲げる期間以上であることとする。
一 第一種電気主任技術者免状の交付を受けている者 三年
二 第二種電気主任技術者免状の交付を受けている者 四年
三 第三種電気主任技術者免状の交付を受けている者 五年
四 第一種ダム水路主任技術者免状又は第二種ダム水路主任技術者免状の交付を受けている者 一年
<電気事業法施行規則第96条(抜粋)>
法第五十七条第一項の経済産業省令で定める場合は、次のとおりとする。
一 電線路維持運用者が維持し、及び運用する電線路と直接に電気的に接続する一般用電気工作物が、当該電線路を介して供給される電気を使用するものである場合以外の場合
二 電線路維持運用者が維持し、及び運用する電線路が、災害その他非常の場合に、一時的に、当該電線路と直接に電気的に接続する一般用電気工作物に供給される電気の電路となる場合
2 法第五十七条第一項の規定による調査は、次の各号により行うものとする。
一 調査は、一般用電気工作物が設置された時及び変更の工事(ロに掲げる一般用電気工作物にあっては、受電電力の容量の変更を伴う変更の工事に限る。)が完成した時に行うほか、次に掲げる頻度で行うこと。
イ ロに掲げる一般用電気工作物以外の(5)一般用電気工作物にあっては、四年に一回以上