《理論》〈電磁気〉[R01:問1]平行平板コンデンサに関する計算問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,コンデンサ内の変位電流に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。

極板の面積が\( \ S \ \)で,極板間の距離が\( \ d \ \)である平行平板コンデンサがあり,その極板間は誘電率\( \ \varepsilon \ \)の誘電体で満たされている。誘電体に導電性はなく,端効果は無視できるものとする。

コンデンサにはあらかじめ電荷は蓄えられておらず,時刻\( \ t=0 \ \)において電源を接続して一定の充電電流\( \ I \ \)を流し始める。時刻\( \ t \ \left( >0 \right) \ \)における誘電体内の電界の大きさ\( \ E \ \)と磁束密度の大きさ\( \ D \ \)はそれぞれ\( \ \fbox {  (1)  } \ \)と\( \ \fbox {  (2)  } \ \)である。

ここで,誘電体内部の変位電流を考える。変位電流密度は\( \ \displaystyle J=\frac {\partial D}{\partial t} \ \)で与えられ,時刻\( \ t \ \left( >0 \right) \ \)における誘電体内の変位電流密度は一様であり,その大きさ\( \ J \ \)は\( \ \fbox {  (3)  } \ \)である。このとき,充電電流\( \ I \ \)を変位電流密度\( \ J \ \)で表すと\( \ \fbox {  (4)  } \ \)となる。このことから,次の(A)~(C)のうち,変位電流を考えることで導かれる事実は,\( \ \fbox {  (5)  } \ \)である。

(A) 電源からの電流が変位電流として誘電体内を流れる。
(B) 誘電体内で一定のエネルギーが消費される。
(C) 誘電体内に\( \ t \ \)に比例した自由電荷が蓄えられる。

〔問1の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& \frac {SIt}{\varepsilon }   &(ロ)& J   &(ハ)& \left( \mathrm {B}\right) \\[ 5pt ] &(ニ)& SIt   &(ホ)& \frac {-I}{St^{2}}   &(ヘ)& SJ \\[ 5pt ] &(ト)& 0  &(チ)& \frac {It}{S}    &(リ)& \left( \mathrm {C}\right) \\[ 5pt ] &(ヌ)& \frac {I}{S}   &(ル)& \frac {\varepsilon I}{St}   &(ヲ)& \left( \mathrm {A}\right) \\[ 5pt ] &(ワ)& \frac {It}{\varepsilon S}   &(カ)& Jt   &(ヨ)& \frac {I}{St} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

電磁気の基本公式と平行平板コンデンサの特徴を理解しているかを問う問題となっています。本問を解くのにはたくさんの公式を理解している必要があり,3種より高度な問題となっていると言えるでしょう。

1.平行平板コンデンサの極板間に現れる電荷\( \ Q \ \)
静電容量\( \ C \ \)のコンデンサに電圧\( \ V \ \)をかけ十分に時間が経った時に各極板に現れる電荷\( \ Q \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
Q&=&CV \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。

2.平行平板コンデンサの静電容量\( \ C \ \)
極板間の誘電率\( \ \varepsilon \ \),各極板の面積\( \ S \ \),極板間の距離\( \ d \ \)とすると,このコンデンサの静電容量\( \ C \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
C&=&\frac {\varepsilon S}{d} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。また,極板間に比誘電率\( \ \varepsilon _{\mathrm {r}} \ \)の誘電体を挿入すると,極板間の誘電率\( \ \varepsilon \ \)は,真空の誘電率\( \ \varepsilon _{0} \ \)を用いて,
\[
\begin{eqnarray}
\varepsilon &=&\varepsilon _{\mathrm {r}}\varepsilon _{0} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] の関係があります。

3.平行平板コンデンサ内の電界\( \ E \ \)
極板間の距離\( \ d \ \)の平行平板コンデンサに電圧\( \ V \ \)をかけた時,平行平板コンデンサ内の電界\( \ E \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
E &=&\frac {V}{d} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。

4.コンデンサの電束密度\( \ D \ \)と電界\( \ E \ \)の関係
コンデンサの電束密度\( \ D \ \)と電界\( \ E \ \)の関係は,コンデンサ内の誘電率を\( \ \varepsilon \ \)とすると,
\[
\begin{eqnarray}
D &=&\varepsilon E \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] の関係があります。

【解答】

(1)解答:ワ
一定の充電電流\( \ I \ \)を流し始め,時刻\( \ t \ \)が経過した際にコンデンサに蓄えられる電荷\( \ Q \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
Q &=&It \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] である。また,ワンポイント解説「2.平行平板コンデンサの静電容量\( \ C \ \)」より,コンデンサの静電容量\( \ C \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
C&=&\frac {\varepsilon S}{d} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] であるから,ワンポイント解説「1.平行平板コンデンサの極板間に現れる電荷\( \ Q \ \)」より,コンデンサ間の電圧\( \ V \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
V&=&\frac {Q}{C} \\[ 5pt ] &=&\frac {It}{\displaystyle \frac {\varepsilon S}{d}} \\[ 5pt ] &=&\frac {Itd}{\varepsilon S} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となる。ワンポイント解説「3.平行平板コンデンサ内の電界\( \ E \ \)」より,コンデンサ内の電界\( \ E \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
E&=&\frac {V}{d} \\[ 5pt ] &=&\frac {\displaystyle \frac {Itd}{\varepsilon S} }{d} \\[ 5pt ] &=&\frac {It}{\varepsilon S} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。

(2)解答:チ
ワンポイント解説「4.コンデンサの電束密度\( \ D \ \)と電界\( \ E \ \)の関係」より,
\[
\begin{eqnarray}
D &=&\varepsilon E \\[ 5pt ] &=&\varepsilon \cdot \frac {It}{\varepsilon S} \\[ 5pt ] &=&\frac {It}{S} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。

(3)解答:ヌ
題意より,変位電流密度は\( \ \displaystyle J=\frac {\partial D}{\partial t} \ \)で与えられるので,
\[
\begin{eqnarray}
J &=&\frac {\partial D}{\partial t} \\[ 5pt ] &=&\frac {\partial }{\partial t}\frac {It}{S} \\[ 5pt ] &=&\frac {I}{S} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。

(4)解答:ヘ
(3)解答式より,
\[
\begin{eqnarray}
I &=&SJ \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。

(5)解答:ヲ
\[
\begin{eqnarray}
J &=&\frac {I}{S} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] の関係式より,変位電流密度には(A)の関係が導かれることが分かる。



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