《電力》〈送電〉[H20:問10]がいしの塩害とその対策に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

送配電線路や変電所におけるがいしの塩害とその対策に関する記述として,誤っているのは次のうちどれか。

(1) がいしの塩害による地絡事故は,雷害による地絡事故と比べて再開路に失敗する場合の割合が多い。

(2) がいしの塩害は,フラッシオーバ事故に至らなくても可聴雑音や電波障害の原因にもなる。

(3) がいしの塩害発生は,海塩等の水溶性電解質物質の付着密度だけでなく,塵壊(じんあい)などの不溶性物質の付着密度にも影響される。

(4) がいしの塩害に対する基本的な対策は,がいしの沿面距離を伸ばすことや,がいし連の直列連結個数を増やすことである。

(5) がいしの塩害対策として,絶縁電線の採用やがいしの洗浄,がいし表面へのはっ水性物質の塗布等がある。

【ワンポイント解説】

がいしの塩害とその対策に関する問題です。
塩害に対する知識も必要ですが,問題文の中に間違いがサラッと記載してあるため,誤りを見つける能力を要する問題です。
試験本番でも落ち着いて一文一文確認していくようにして下さい。

1.塩害発生のメカニズム
下図が塩害のイメージ図となります。
海岸付近では,日常的に海水に含まれる塩分が風により屋外変電所まで運ばれ,がいし表面に付着しますが,通常は降雨等による雨洗効果等で碍子表面の塩分は除去され,がいしの絶縁は保たれます。
しかしながら,台風や季節風等の強風が継続的に続くとがいしの汚損は一気に進行し,さらに霧や小雨等によりがいし表面が湿潤状態になると,がいし表面の絶縁が確保できず,アークやフラッシオーバが発生したり,可聴雑音や電波障害等が発生することがあります。

2.送電線における塩害の対策方法
①送電線ルートの適切な選定
 海岸に近く,季節風や台風等で強風が吹く場合塩害は発生しやすいので,送電線ルート選定時に塩害の少ないルートを選定することが有効です。

②がいし洗浄
 定期的もしくは観測しながらがいしを洗い流すことでがいしに付着した塩分を取り除く方法です。


出典:日本ガイシ株式会社 HP
https://www.ngk.co.jp/product/search-business/insulator/

③絶縁強化
 耐塩がいしや長幹がいしを使用して,がいしの表面漏れ距離を長くし,絶縁強度を高くする方法です。

④はっ水性物質の塗布
 シリコンコンパウンドを塗布することで,がいしに塩分や水分をつきにくくする方法です。\( \ 0.5 \ \)~\( \ 2 \ \)年程度で塗りなおしが必要となるため,場所が限定されます。

【解答】

解答:(5)
(1)正しい
問題文の通り,がいしの塩害は雷と異なり一過性のものではないため,一度塩分付着により絶縁が低下してしまった場合には塩分を取り除かないと再閉路に失敗する可能性が高いです。

(2)正しい
ワンポイント解説「1.塩害発生のメカニズム」の通り,塩分付着によりフラッシオーバ事故に至らなくてもジージーといった可聴雑音や電波障害の原因にもなります。

(3)正しい
問題文の通り,がいしの塩害は,塵壊(じんあい)などの不溶性物質の付着密度も含め,がいし絶縁強度が低下するものに影響されます。

(4)正しい
ワンポイント解説「2.送電線における塩害の対策方法」の通り,がいしの沿面距離を伸ばすことや,がいし連の直列連結個数を増やすことは有効な対策です。

(5)誤り
ワンポイント解説「3.架空地線」の通り,がいしの塩害対策としてがいしの洗浄,がいし表面へのはっ水性物質の塗布は有効な対策ですが,絶縁電線の採用はがいしの塩害とは関係がありません。絶縁電線は導体の周りを絶縁被覆で覆った電線です。