《電力》〈送電〉[R05下:問9]送電線路に施設する架空地線に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★☆☆☆☆(易しい)

次の文章は,送電線路における架空地線に関する記述である。

送電線路の鉄塔の上部に十分な強さをもった\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)を張り,鉄塔を通じて接地したものを架空地線といい,送電線への直撃雷を防止するために設置される。

図において,架空地線と送電線とを結ぶ直線と,架空地線から下ろした鉛直線との間の角度\( \ \theta \ \)を\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)と呼んでいる。この角度が\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)ほど直撃雷を防止する効果が大きい。

架空地線や鉄塔に直撃雷があった場合,鉄塔から送電線に\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)を生じることがある。これを防止するために,鉄塔の接地抵抗を小さくするような対策が講じられている。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{ccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) \\
\hline
(1) &  裸線  &  遮へい角  &  小さい  &  逆フラッシオーバ  \\
\hline
(2) &  絶縁電線  &  遮へい角  &  大きい  &  進行波  \\
\hline
(3) &  裸線  &  進入角  &  小さい  &  進行波  \\
\hline
(4) &  絶縁電線  &  進入角  &  大きい  &  進行波  \\
\hline
(5) &  裸線  &  進入角  &  大きい  &  逆フラッシオーバ  \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

送電線路に施設する架空地線に関する問題です。
送電線への直撃雷を防止する裸電線ですが,街中の鉄塔でも確認することができますので,ぜひ見上げてみるようにして下さい。
本問は平成15年問9からの再出題となります。

1.架空地線
<架空地線の役割>
架空地線は電線の上部、主に鉄塔の一番上に設ける裸電線で,以下のような役割があります。
①送電線への直撃雷を防止する。
②誘導雷(雷雲の電荷により反対の電荷が電線に現れ,落雷により雷雲の電荷がなくなるために電線で大きな電荷の移動が起こる現象)を軽減する。
③通信線への電磁誘導障害を軽減する。

<架空地線落雷時の対策>
また,架空地線や鉄塔に落雷した際の逆フラッシオーバに対する対策として,以下のような対策が取られます。
①埋設地線で鉄塔と大地の接地抵抗を小さくする。
②アークホーンでがいしの損傷を防止する。(逆フラッシオーバ自体の対策ではありません。)
③\( \ 2 \ \)回線送電線におけるがいしの連結個数に差をつけて,両回線同時事故を防ぐ。

【解答】

解答:(1)
(ア)
ワンポイント解説「1.架空地線」の通り,架空地線は鉄塔の上部に施設する裸線となります。

(イ)
ワンポイント解説「1.架空地線」の通り,架空地線と送電線とを結ぶ直線と,架空地線から下ろした鉛直線との間の角度を遮へい角といいます。

(ウ)
遮へい角は小さい方が直撃雷を防止する効果が大きいです。極端な例(\( \ 0 \ ° \ \)と\( \ 90 \ ° \ \)の比較)で考えるとイメージしやすいかと思います。

(エ)
ワンポイント解説「1.架空地線」の通り,架空地線や鉄塔に直撃雷があった場合,鉄塔から送電線に逆フラッシオーバを生じることがあります。