《電力》〈配電〉[H26:問7]配電線路の電圧降下に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

こう長\(2 \ \mathrm {km}\)の三相3線式配電線路が,遅れ力率\(85 \ %\)の平衡三相負荷に電力を供給している。負荷の端子電圧は\(6.6 \ \mathrm {kV}\)に保ったまま,線路の電圧降下率が\(5.0 \ %\)を超えないようにするための負荷電力の最大値\(\mathrm {[kW]}\)として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし,\(1 \ \mathrm {km}\)1線当たりの抵抗は\(0.45 \ \mathrm {\Omega }\),リアクタンスは\(0.25 \ \mathrm {\Omega }\)とし,その他の条件は無いものとする。なお,本問では送電端電圧と受電端電圧との相差角が小さいとして得られる近似式を用いて解答すること。

(1) 1023  (2) 1799  (3) 2117  (4) 3117  (5) 3600

【ワンポイント解説】

配電線の電圧降下に関する問題です。電圧降下の近似式は下記のように導出することができますが,非常によく出題される公式なので,確実に暗記しておくようにしましょう。

1.送電線の電圧降下\(v\)
線路負荷が遅れ力率\(\cos \theta \)であるとき,電源側の電圧\(E_{\mathrm {s}}\),受電側の電圧\(E_{\mathrm {r}}\),線路電流を\(I\)とすると,ベクトル図は図1のように描けます。
図1より,操作角\(\delta \)が十分に小さいとすると,
\[
\begin{eqnarray}
E_{\mathrm {s}}&≒&E_{\mathrm {r}}+RI\cos\theta +XI\sin \theta \\[ 5pt ] E_{\mathrm {s}}-E_{\mathrm {r}}&=&I (R\cos\theta +X\sin \theta ) \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。三相3線式交流に関しては,線間電圧\(V_{\mathrm {s}}\)と\(V_{\mathrm {r}}\)は,
\[
\begin{eqnarray}
V_{\mathrm {s}}&=&\sqrt {3} E_{\mathrm {s}} \\[ 5pt ] V_{\mathrm {r}}&=&\sqrt {3} E_{\mathrm {r}} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となるから,
\[
\begin{eqnarray}
E_{\mathrm {s}}-E_{\mathrm {r}}&=&I (R\cos\theta +X\sin \theta ) \\[ 5pt ] V_{\mathrm {s}}-V_{\mathrm {r}}&=&\sqrt {3}I (R\cos\theta +X\sin \theta ) \\[ 5pt ] v&=&\sqrt {3}I (R\cos\theta +X\sin \theta ) \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。

2.三相線路の電力\(P\)と電圧\(V\),電流\(I\)の関係
電圧と電圧の位相差を\(\theta \),力率を\(\cos \theta \)とすると,
\[
P=\sqrt {3}VI\cos \theta
\] となります。

【解答】

解答:(2)
送電線の1線当たりの抵抗\(R\)とリアクタンス\(X\)は,長さが\(2 \ \mathrm {km}\)であるから,
\[
\begin{eqnarray}
R&=&0.45\times 2 \\[ 5pt ] &=&0.9 \ \mathrm {[\Omega ]} \\[ 5pt ] X&=&0.25\times 2 \\[ 5pt ] &=&0.5 \ \mathrm {[\Omega ]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となる。また,力率\(\cos \theta =0.85\)であるので,
\[
\begin{eqnarray}
\sin \theta &=&\sqrt {1-\cos ^{2} \theta } \\[ 5pt ] &=&\sqrt {1-0.85 ^{2} } \\[ 5pt ] &≒&0.527 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となる。一方,題意より電圧降下率が\(5.0 \ %\)を超えないようにするため,電圧降下の最大値は,
\[
\begin{eqnarray}
v &=& 6.6\times 10^{3}\times 0.05 \\[ 5pt ] &=&330 \ \mathrm {[V]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となるので,ワンポイント解説「1.送電線の電圧降下\(v\)」より線路に流れる電流の最大値\(I\)は,
\[
\begin{eqnarray}
v&=&\sqrt {3}I (R\cos\theta +X\sin \theta ) \\[ 5pt ] I&=&\frac {v}{\sqrt {3} (R\cos\theta +X\sin \theta )} \\[ 5pt ] &=&\frac {330}{\sqrt {3} (0.9\times 0.85 +0.5\times 0.527 )} \\[ 5pt ] &≒&185.27 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となる。よって負荷電力の最大値\(P\)は,ワンポイント解説「2.三相線路の電力\(P\)と電圧\(V\),電流\(I\)の関係」より,
\[
\begin{eqnarray}
P&=&\sqrt {3}VI\cos \theta \\[ 5pt ] &=&\sqrt {3}\times 6.6\times 10^{3}\times 185.27 \times 0.85 \\[ 5pt ] &=&\frac {v}{\sqrt {3} (R\cos\theta +X\sin \theta )} \\[ 5pt ] &=&\frac {330}{\sqrt {3} (0.9\times 0.85 +0.5\times 0.527 )} \\[ 5pt ] &≒&1800000 \ \mathrm {[W]} → 1800 \ \mathrm {[kW]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。
(\(1799 \ \mathrm {kW}\)との違いは途中の有効数字の取り方の違いであると思います)