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【問題】
【難易度】★★★★☆(やや難しい)
地中送電線路に使用される各種電力ケーブルに関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) \(\mathrm {OF}\)ケーブルは,絶縁体として絶縁紙と絶縁油を組み合わせた油浸紙絶縁ケーブルであり,油通路が不要であるという特徴がある。給油設備を用いて絶縁油に大気圧以上の油圧を加えることでボイドの発生を抑制して絶縁強度を確保している。
(2) \(\mathrm {POF}\)ケーブルは,油浸紙絶縁の線心3条をあらかじめ布設された防食鋼管内に引き入れた後に,絶縁油を高い油圧で充てんしたケーブルである。地盤沈下や外傷に対する強度に優れ,電磁遮蔽効果が高いという特徴がある。
(3) \(\mathrm {CV}\)ケーブルは,絶縁体に架橋ポリエチレンを使用したケーブルであり,\(\mathrm {OF}\)ケーブルと比較して絶縁体の誘電率,熱抵抗率が小さく,常時導体最高許容温度が高いため,送電容量の面で有利である。
(4) \(\mathrm {CVT}\)ケーブルは,ビニルシースを施した単心\(\mathrm {CV}\)ケーブル3条をより合わせたトリプレックス形\(\mathrm {CV}\)ケーブルであり,3心共通シース形\(\mathrm {CV}\)ケーブルと比較してケーブルの熱抵抗が小さいため電流容量を大きくできるとともに,ケーブルの接続作業性がよい。
(5) \(\mathrm {OF}\)ケーブルや\(\mathrm {POF}\)ケーブルは,油圧の常時監視によって金属シースや鋼管の欠陥,外傷などに起因する漏油を検知できるので,油圧の異常低下による絶縁破壊事故の未然防止を図ることができる。
【ワンポイント解説】
地中電線路で用いる代表的なケーブルは,\(\mathrm {OF}\)ケーブルと\(\mathrm {CV}\)ケーブルですが,現在は防災の観点から\(\mathrm {CV}\)が一般的に採用されています。私も以前所属していた部署で\(\mathrm {OF}\)ケーブルを扱っていましたが,メンテナンスに人手と時間を要する印象がありました。
【解答】
解答:(1)
(1):誤り
\(\mathrm {OF}\)ケーブルは,絶縁体として絶縁紙と絶縁油を組み合わせた油浸紙絶縁ケーブルであり,油通路が必要であるという特徴があります。\(\mathrm {OF}\)ケーブル誕生の過程で,従来から問題となっていた遮へい形ケーブルのボイドの発生を給油設備を用いて絶縁油に大気圧以上の油圧を加えることで抑制したというものがあります。
(2):正しい
問題文の通りです。\(\mathrm {POF}\)ケーブルの\(\mathrm {P}\)はパイプのことで,\(\mathrm {OF}\)ケーブルの絶縁油の油圧を高くするほど絶縁耐力が向上するという特性を利用し,より高い油圧で充てんしたケーブルのことです。鋼管を使用するので,当然外傷等には強くなります。
(3):正しい
問題文の通り,\(\mathrm {CV}\)ケーブルは絶縁体に架橋ポリエチレンを使用したケーブルで,現在の主流となっています。
(4):正しい
問題文の通りです。\(\mathrm {CVT}\)ケーブルは,ビニルシースを施した単心\(\mathrm {CV}\)ケーブル3条をより合わせたトリプレックス形\(\mathrm {CV}\)ケーブルです。
(5):正しい
問題文の通り,\(\mathrm {OF}\)ケーブルは常時油圧をかけているので,漏油等を圧力で監視することができます。