《電力》〈水力〉[H30:問15]調整池式発電所の出力に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

調整池の有効貯水量\( \ V \ \mathrm {[m^{3}]} \ \),最大使用水量\( \ 10 \ \mathrm {m^{3}/s} \ \)であって,発電機\(1\)台を有する調整池式発電所がある。

図のように,河川から調整池に取水する自然流量\( \ Q_{\mathrm {N}} \ \)は\( \ 6 \ \mathrm {m^{3}/s} \ \)で一日中一定とする。この条件で,最大使用水量\( \ Q_{\mathrm {P}}=10 \ \mathrm {m^{3}/s} \ \)で\(6\)時間運用(ピーク運用)し,それ以外の時間は自然流量より低い一定流量で運用(オフピーク運用)して,一日の自然流量分を全て発電運用に使用するものとする。

ここで,この発電所の一日の運用中の使用水量を変化させても,水車の有効落差,水車効率,発電機効率は変わらず,それぞれ\( \ 100 \ \mathrm {m} \ \),\( \ 90 \ % \ \),\( \ 96 \ % \ \)で一定とする。

この条件において,次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) このときの運用に最低限必要な有効貯水量\( \ V \ \mathrm {[m^{3}]} \ \)として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 (1) \(86200\)  (2) \(86400\)  (3) \(86600\)  (4) \(86800\)  (5) \(87000\)

(b) オフピーク運用中の発電機出力\( \ \mathrm {[kW]} \ \)として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 (1) \(2000\)  (2) \(2500\)  (3) \(3000\)  (4) \(3500\)  (5) \(4000\)

【ワンポイント解説】

調整池式水力発電所の運用方法に関する問題で,電験のB問題としては比較的易しめの計算問題であると思います。水力発電所の発電機出力の公式は非常によく出題される公式なので,確実に暗記しておくようにしましょう。ただし,単位には注意して下さい。

1.水力発電所の出力\(P\)
水力発電所の使用水量\( \ Q \ \mathrm {[m^{3}/s]} \ \),有効落差\( \ H \ \mathrm {[m]} \ \),水車効率\( \ \eta _{\mathrm {w}} \ \),発電機効率\( \ \eta _{\mathrm {g}} \ \)とすると,発電機の出力\( \ P \ \mathrm {[kW]} \ \)は
\[
\begin{eqnarray}
P &=&9.8QH\eta _{\mathrm {w}}\eta _{\mathrm {g}} \ \mathrm {[kW]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] で求められます。

【解答】

(a)解答:(2)
題意より,\(12\)時から\(18\)時の\(6\)時間をピーク運用するので,\(18\)時点で貯水量が\(0\)になっても良い。したがって,ピーク運用時の最大使用水量\( \ Q_{\mathrm {P}}=10 \ \mathrm {m^{3}/s} \ \)と取水する自然流量\( \ Q_{\mathrm {N}} = 6 \ \mathrm {m^{3}/s} \ \)の差分を調整池で賄う必要がある。\(1 \ \mathrm {[h]}= 3600 \ \mathrm {[s]}\)であるから,
\[
\begin{eqnarray}
V&=&\left( Q_{\mathrm {P}}- Q_{\mathrm {N}}\right) \times 6\times 3600 \\[ 5pt ] &=&\left( 10- 6\right) \times 6\times 3600 \\[ 5pt ] &=&86400 \ \mathrm {[m^{3}]}
\end{eqnarray}
\] と求められる。

(b)解答:(5)
調整池に取水する量と発電所での使用水量が等しいので,
\[
\begin{eqnarray}
Q_{\mathrm {N}}\times 3600 \times 24&=&Q_{\mathrm {P}}\times 3600 \times 6+ Q_{\mathrm {O}}\times 3600 \times 18 \\[ 5pt ] 6\times 3600 \times 24&=&10\times 3600 \times 6+ Q_{\mathrm {O}}\times 3600 \times 18 \\[ 5pt ] Q_{\mathrm {O}}&≒&4.6667 \ \mathrm {[m^{3}/s]}
\end{eqnarray}
\] となる。よって,ワンポイント解説「1.水力発電所の出力\(P\)」よりオフピーク運用中の出力\(P_{\mathrm {O}}\)は,
\[
\begin{eqnarray}
P_{\mathrm {O}}&=&9.8Q_{\mathrm {O}}H\eta _{\mathrm {w}}\eta _{\mathrm {g}} \\[ 5pt ] &=&9.8\times 4.6667\times 100\times 0.90 \times 0.96 \\[ 5pt ] &≒&3951 → 4000 \ \mathrm {[kW]}
\end{eqnarray}
\] と求められる。