《電力》〈水力〉[R01:問2]水車の構造と特徴に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,水車の構造と特徴についての記述である。

\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)を持つ流水がランナに流入し,ここから出るときの反動力により回転する水車を反動水車という。\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)は,ケーシング(渦形室)からランナに流入した水がランナを出るときに軸方向に向きを変えるように水の流れをつくる水車である。一般に,落差\( \ 40 \ \mathrm {m} \ ~ \ 500 \ \mathrm {m} \ \)の中高落差用に用いられている。

プロペラ水車ではランナを通過する流水が軸方向である。ランナには扇風機のような羽根がついている。流量が多く低落差の発電所で使用される。\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)はプロペラ水車の羽根を可動にしたもので,流量の変化に応じて羽根の角度を変えて効率がよい運転ができる。

一方,水の落差による\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)を\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)に変えてその流水をランナに作用させる構造のものが衝動水車である。\( \ \fbox {  (オ)  } \ \)は,水圧管路に導かれた流水が,ノズルから噴射されてランナバケットに当たり,このときの衝動力でランナが回転する水車である。高落差で流量の比較的少ない地点に用いられる。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{cccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) \\
\hline
(1) & 圧力水頭 & フランシス水車 & カプラン水車 & 速度水頭 & ペルトン水車 \\
\hline
(2) & 速度水頭 & ペルトン水車 & フランシス水車 & 圧力水頭 & カプラン水車 \\
\hline
(3) & 圧力水頭 & カプラン水車 & ペルトン水車 & 速度水頭 & フランシス水車 \\
\hline
(4) & 速度水頭 & フランシス水車 & カプラン水車 & 圧力水頭 & ペルトン水車 \\
\hline
(5) & 圧力水頭 & ペルトン水車 & フランシス水車 & 速度水頭 & カプラン水車 \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

水車の分類や名称に関する問題は非常によく出題される最重要問題と言えると思います。平成25年問1にも類題が出題されているので,合わせて確認しておくようにして下さい。

1.衝動水車
水のもつ位置エネルギーを運動エネルギーに変え,流水をランナに作用させる水車を衝動水車と言います。
代表的なものにペルトン水車があり,下図に示すように主にノズル,ニードル,ランナ等から構成され,ノズルから水を噴射し,ランナを回転させます。水量は主にニードルで調整します。


出典:長野県HP

2.反動水車
水のもつ位置エネルギーを圧力エネルギーに変換し,ランナに作用させる水車を反動水車と言います。
代表的なものにフランシス水車があり,下図のようにガイドベーンとランナの羽根の開度で出力を調整します。他にもランナを通過する流水の方向が斜めのものを斜流水車,流水がランナの軸方向に通過するものをプロペラ水車と言います。高落差のものからフランシス水車→斜流水車→プロペラ水車となります。


出典:長野県HP

【解答】

解答:(1)
(ア)
ワンポイント解説「2.反動水車」の通り,反動水車は流水の持つ圧力エネルギー(圧力水頭)を利用して回転させる水車です。

(イ)
ランナで向きを変えるように水の流れを作る水車はフランシス水車です。問題文の通り,落差\( \ 40 \ \mathrm {[m]} \ ~ \ 500 \ \mathrm {[m]} \ \)と非常に広範囲の落差をカバーできる水車で日本の水力発電の主流となっています。

(ウ)
プロペラ水車の羽根を可動とした水車をカプラン水車と呼びます。

(エ)
ワンポイント解説「1.衝動水車」の通り,衝動水車は水の持つ運動エネルギー(速度水頭)を利用した水車です。

(オ)
ワンポイント解説「1.衝動水車」の通り,衝動水車の代表的な水車はペルトン水車となります。