《電力》〈送電〉[H27:問9]がいしの塩害現象及びその対策に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

架空送電線路のがいしの塩害現象及びその対策に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) がいし表面に塩分等の導電性物質が付着した場合,漏れ電流の発生により,可聴雑音や電波障害が発生する場合がある。

(2) 台風や季節風などにより,がいし表面に塩分が急速に付着することで,がいしの絶縁が低下して漏れ電流の増加やフラッシオーバが生じ,送電線故障を引き起こすことがある。

(3) がいしの塩害対策として,がいしの洗浄,がいし表面へのはっ水性物質の塗布の採用や多導体方式の適用がある。

(4) がいしの塩害対策として,雨洗効果の高い長幹がいし,表面漏れ距離の長い耐霧がいしや耐塩がいしが用いられる。

(5) 架空送電線路の耐汚損設計において,がいしの連結個数を決定する場合には,送電線路が通過する地域の汚損区分と電圧階級を加味する必要がある。

【ワンポイント解説】

がいしの塩害は台風や季節風等により,海水の塩分ががいしに付着し,絶縁強度が大幅に下がりフラッシオーバに至る事象です。したがって,海岸近くではその影響がより大きくなり,対策が必要となります。

1.塩害の対策方法
①密閉化
 そもそもがいしに付着しない様,密閉化することが一番ですが,現実的にすべてのがいしを密閉化することは困難です。

②がいし洗浄
 定期的もしくは観測しながらがいしを洗い流すことでがいしに付着した塩分を取り除く方法です。

③絶縁強化
 耐塩がいしや長幹がいしを使用して,絶縁強度を高くする方法です。

④はっ水性物質の塗布
 シリコンコンパウンドを塗布することで,がいしに塩分や水分をつきにくくする方法です。半年~1年程度で塗りなおしが必要となるため,場所が限定されます。

【解答】

解答:(3)
(1):正しい
がいし表面に塩分等の導電性物質が付着した場合,漏れ電流の発生により「ジリジリ」と音が鳴ったり,付近の電波障害を発生したりする場合があります。

(2):正しい
塩害そのものの説明です。台風や季節風などの強風により,海水の塩分が飛ばされ,海岸付近のがいし表面に塩分が急速に付着することで,がいしの絶縁が低下して漏れ電流の増加やフラッシオーバが生じ,送電線故障を引き起こすことがあります。

(3):誤り
ワンポイント解説「1.塩害の対策方法」の通り,がいしの塩害対策としてがいし洗浄,はっ水性物質の塗布の採用はありますが,多導体方式は関係ありません。多導体方式は,送電線の\( \ 1 \ \)相あたり\( \ 2 \ \)条以上の電線を用いる方法で,コロナ放電の対策として有効です。

(4):正しい
ワンポイント解説「1.塩害の対策方法」の通りです。

(5):正しい
海岸付近等により汚損区分を分け,がいしの連結個数を決定する必要があります。