《電力》〈火力〉[R3:問4]電気集じん装置のメカニズムに関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★★★(難しい)

次の文章は,電気集じん装置に関する記述である。

火力発電所で発生する灰じんなどの微粒子は,電気集じん装置により除去される。典型的な電気集じん装置は,集じん電極である\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)の間に放電電極である\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)を置いた構造である。電極間の\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)によって発生した\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)放電により生じたイオンで微粒子を帯電させ,クーロン力によって集じん電極で捕集する。集じん電極に付着した微粒子は一般的に,集じん電極\( \ \fbox {  (オ)  } \ \)取り除く。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\[
\begin{array}{cccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) \\
\hline
(1) & 線電極 & 平板電極 & 高電圧 & コロナ & に風を吹きつけて \\
\hline
(2) & 線電極 & 平板電極 & 大電流 & アーク & を槌でたたいて \\
\hline
(3) & 平板電極 & 線電極 & 大電流 & アーク & に風を吹きつけて \\
\hline
(4) & 平板電極 & 線電極 & 高電圧 & コロナ & を槌でたたいて \\
\hline
(5) & 平板電極 & 線電極 & 大電流 & コロナ & を槌でたたいて \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

電気集じん装置の構造やメカニズムに関する問題です。
燃料を燃やすことにより発生するばいじんは,肺や気管等に悪影響を及ぼすことがあるため,排出基準が設けられています。したがって,火力発電所においてはばいじん対策として,一般に電気集じん器と呼ばれる装置を使用しています。
本問の内容は非常に専門性が高く,電験としてはかなり厳しい問題かと思います。

1.電気集じん器の仕組み
電気集じん器は燃料を燃焼することにより発生するばいじんを\( \ 99 \ \mathrm {[%]} \ \)以上除去できる装置で,図1のような構造をした装置です。
以下のような動作により,ばいじんを捕集します。

①装置内に集じん極(+)と放電極(-)を設け,極間に高電圧をかけます。
②放電極からのコロナ放電により,放電極から電子が放出され,ばいじんの微粒子に付着し,負(-)に帯電します。
③クーロン力により,ばいじんが集じん極(+)に吸着されます。
④集じん極に堆積したばいじんは定期的に槌でたたいて落とします。その際,無電圧で行うとさらに効果的となります。

【解答】

解答:(4)
(ア)
ワンポイント解説「1.電気集じん器の仕組み」図1の通り,集じん電極は捕集しやすいように平板電極となっています。

(イ)
ワンポイント解説「1.電気集じん器の仕組み」図1の通り,放電電極は線電極となっています。

(ウ)
ワンポイント解説「1.電気集じん器の仕組み」の通り,電気集じん装置は,電極間に空気の絶縁耐力以上となるような高電圧をかける装置です。

(エ)
ワンポイント解説「1.電気集じん器の仕組み」の通り,高電圧をかけることにより発生する放電はコロナ放電といいます。

(オ)
ワンポイント解説「1.電気集じん器の仕組み」の通り,集じん電極に付着した微粒子は定期的に集じん電極を槌でたたいて取り除きます。