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【問題】
【難易度】★☆☆☆☆(易しい)
送電線路のフェランチ効果に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 受電端電圧の方が送電端電圧よりも高くなる現象である。
(2) 短距離送電線路よりも,長距離送電線路の方が発生しやすい。
(3) 無負荷や軽負荷の場合よりも,負荷が重い場合に発生しやすい。
(4) フェランチ効果発生時の線路電流の位相は,電圧に対して進んでいる。
(5) 分路リアクトルの運転により防止している。
【ワンポイント解説】
フェランチ効果に関する問題です。
フェランチ効果は電験のテキストには必ずといって良いほど記載がある重要な内容ですが,平成24年問12にほぼ同内容の類題が出題されているため,かなり正答率は高かったことが予想されます。
合格に向けては必ず正答しておきたい問題です。
1.フェランチ効果
送電線の受電端電圧が送電端電圧より高くなる現象で,夜間・休日等軽負荷時,ケーブル等の静電容量が影響して,送電線電流が進み電流となった場合に生じることが多い現象です。
図1のように,通常時であれば,負荷はほぼ遅れ力率であるため,電流は電圧より位相が遅れ,青線のようなベクトル図となります。しかし,電流が進み電流になると,ベクトル図が赤線のような形となり,送電端電圧\( \ {\dot V}_{\mathrm {s}} \ \)が受電端電圧\( \ {\dot V}_{\mathrm {r}} \ \)よりも小さくなる現象が発生することがあります。
2.フェランチ効果による影響
・受電端電圧が高くなることで,機器にかかる電圧が高くなり,正常範囲を逸脱してしまう可能性がある。
・機器に過電圧がかかり,絶縁破壊を生じる可能性がある。
【解答】
解答:(3)
(1):正しい
ワンポイント解説「1.フェランチ効果」の通り,受電端電圧の方が送電端電圧よりも高くなり,受電端側の機器に悪影響を及ぼすおそれがある現象です。
(2):正しい
問題文の通り,短距離送電線路よりも,長距離送電線路の方が線路の静電容量が大きくなりやすく,フェランチ効果が発生しやすいです。
(3):誤り
ワンポイント解説「1.フェランチ効果」の通り,無負荷や軽負荷の方が,負荷が重い場合よりも発生しやすいです。
(4):正しい
ワンポイント解説「1.フェランチ効果」の通り,フェランチ効果発生時の線路電流の位相は,電圧に対して進んでいる状態となります。
(5):正しい
問題文の通り,分路リアクトルを接続することで,分路リアクトルに遅れ電流が流れるため,全体として進み電流を改善することができます。