《電力》〈送電〉[R4下:問10]地中送配電線の各布設方式の特徴に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

地中送配電線の主な布設方式である直接埋設式,管路式及び暗きょ式について,各方式の特徴に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 直接埋設式は,他の方式と比較して工事費が少なく,工事期間が短い。

(2) 管路式は,直接埋設式と比較してケーブル外傷事故の危険性が少なく,ケーブルの増設や撤去に便利である。

(3) 管路式は,他の方式と比較して熱放散が良く,ケーブル条数が増加しても送電容量の制限を受けにくい。

(4) 暗きょ式は,他の方式と比較して工事費が多大であり,工事期間が長い。

(5) 暗きょ式は,他の方式と比較してケーブルの保守点検作業が容易であり,多条数の布設に適している。

【ワンポイント解説】

直接埋設式,管路式及び暗きょ式の比較に関する問題です。
出題形式を変えた類題が試験\( \ 4 \ \)回毎ぐらいの間隔で出題されています。(近年では令和元年問11平成26年問10に出題)
捻った問題が少ないので,一度理解してしまえば確実に得点源となる印象があります。

1.地中送電線の布設方式
①直接埋設式
 コンクリートトラフにケーブルを入れ,地上から規定された深さまで埋設し土で埋める方式です。
 <長所>
 ・工事が簡単で,工期が短くなり,工事費も少ない
 ・放熱性が良い
 <短所>
 ・作業を行うためには掘り返さないといけない
 ・事故復旧に時間がかかる

②管路式
 穴を空けたコンクリート内にケーブルを布設する方法です。
 <長所>
 ・直接埋設式に比べ,保守点検が容易
 ・増設工事等が比較的容易
 ・外傷を受けにくい
 <短所>
 ・直接埋設式に比べ,工事費が高い
 ・放熱性が悪いため,許容電流が小さくなる

③暗きょ式
 コンクリートのトンネルの中にケーブルを布設する方式です。
 <長所>
 ・保守点検が容易
 ・工事が容易
 ・放熱性が良い
 ・ガス管や通信線,水道管等も布設できる(共同溝)
 <短所>
 ・建設費が高く,工期も長くなる

【解答】

解答:(3)
(1)正しい
ワンポイント解説「1.地中送電線の布設方式」の通り,直接埋設式は,他の方式と比較して工事費が少なく工事期間が短いです。

(2)正しい
ワンポイント解説「1.地中送電線の布設方式」の通り,管路式は,直接埋設式と比較してケーブル外傷事故の危険性が少なく,ケーブルの増設や撤去が比較的容易です。

(3)誤り
ワンポイント解説「1.地中送電線の布設方式」の通り,管路式は,他の方式と比較して熱放散が悪く,さらにケーブル条数が増加すると他のケーブルの温度上昇の影響を受けるためさらに熱放散が悪くなり,送電容量が制限されやすくなります。

(4)正しい
ワンポイント解説「1.地中送電線の布設方式」の通り,暗きょ式は,他の方式と比較して工事費が多大であり,工事期間も長くなりやすいです。

(5)正しい
ワンポイント解説「1.地中送電線の布設方式」の通り,暗きょ式は,他の方式と比較してケーブルの保守点検作業が容易であり,多条数の布設に適しています。