【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
電気設備に使用される電気絶縁材料に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) ガス遮断器などに使用される\( \ \mathrm {SF_{6}} \ \)ガスは,大気圧よりも高い圧力で使用され,同じ圧力の空気と比較して絶縁破壊強度が高く,アーク放電が発生した際の消弧能力にも優れる。\( \ \mathrm {SF_{6}} \ \)ガスは,反応性が非常に小さく安定した不燃性のガスであるが,大気中に排出されると,地球温暖化への影響が大きいガスである。
(2) 変圧器の絶縁油は,鉱油系絶縁油,合成絶縁油,植物性絶縁油の\( \ 3 \ \)種類があり,鉱油系絶縁油が主流である。絶縁油は,変圧器内部を絶縁する役割のほかに,変圧器内部で発生する熱を対流等によって放散冷却する役割があるため,粘度が高い方がよい。
(3) \( \ \mathrm {CV} \ \)ケーブルに使用される架橋ポリエチレン絶縁体は,ポリエチレンの分子構造を架橋反応により立体網目状分子構造とした絶縁体であり,絶縁特性と耐熱変形性の双方に優れている。
(4) \( \ \mathrm {OF} \ \)ケーブルに使用される油浸紙絶縁体は,多層に巻き上げた絶縁紙の積層体に絶縁油を含浸させた絶縁体であり,大気圧よりも高い油圧を加えることで絶縁破壊強度を高めている。
(5) がいしに使用される絶縁体は,一般に磁器,ガラス,ポリマの\( \ 3 \ \)種類があり,我が国では磁器がいしが主流である。最近では,軽量性や耐衝撃性などの観点から,内側に高い機械強度と絶縁強度を有するガラス繊維強化プラスチック製のコア材を配置し,その外側にポリマ製の笠付き外被で覆ったポリマがいしの利用が進んでいる。
【ワンポイント解説】
電気設備に使用される固体・液体・気体絶縁材料に関する問題です。
内容自体はテキストに掲載されている重要事項ばかりですが,文章が長いためよく読んでいかないと解けない問題です。
本問は平成29年問14の類題で,より間違いが見つけにくくなった問題と言えます。本問を理解したら,一緒に学習しておくと良いでしょう。
1.\( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスの特徴
\( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスは,気体絶縁材料としてガス遮断器\( \ \left( \mathrm {GCB}\right) \ \)やガス絶縁開閉装置\( \ \left( \mathrm {GIS}\right) \ \),ガス絶縁変圧器等に利用され,以下の特徴を有しています。
・高い絶縁耐力を持つ
・高いアーク消弧能力を持つ
・無色,無臭,無毒のガスで安全である
・化学的,熱的に安定している
・熱伝達係数が大きく,冷却能力が高い
・固体液体材料に比べても誘電率,誘電正接が小さいため,誘電損が少ない
・空気より重い
・圧力により絶縁性能が変化する
・地球温暖化に影響を及ぼす(同量の二酸化炭素の\( \ 20 \ 000 \ \)倍以上)
2.\( \ \mathrm {CV} \ \)ケーブルの特徴
\( \ \mathrm {CV} \ \)ケーブルはポリエチレンの分子構造を架橋反応により立体網目状分子構造とした架橋ポリエチレンを絶縁体に使用したケーブルです。\( \ \mathrm {CV} \ \)ケーブルの特徴のうち,\( \ \mathrm {OF} \ \)ケーブルと比較した特徴は以下の通りとなります。
①絶縁体に架橋ポリエチレンを使用し,\( \ \mathrm {OF} \ \)ケーブルのように絶縁油を使用しないため,給油設備を必要とせず,火災のリスクも少ない。
②連続使用時の最高許容温度が\( \ 90 \ \)℃と高いので,許容電流が大きくなり,送電容量が大きくなる。
③誘電正接\( \ \mathrm {tan} \delta \ \)(誘電正接)や比誘電率が小さいため誘電体損失や充電電流が小さくなる。
④絶縁体自体を薄くでき軽量であるため,取り回しが良い。
⑤耐薬品性,耐摩耗性,耐衝撃性に優れる。
⑥水分が含まれると水トリーと呼ばれる樹枝状に絶縁劣化する現象が発生する。
3.絶縁油に求められる特性
絶縁油は変圧器やコンデンサ等の電気機器に多用途に使用されるため,高い信頼性と安全性が求められます。石油を精製して作られる鉱物油が主に利用されていますが,近年では可燃性であることや水分や空気等に触れることで経年劣化すること,環境負荷が大きいこと等から,難燃性でより劣化しにくい合成絶縁油や,環境負荷の少ない植物油等も採用されてきています。
① 絶縁耐力が大きいこと
② 耐熱性に優れていること
③ 経年劣化しにくいこと
④ 粘度が低く,流動性が良いこと
⑤ 放熱性が良いこと
⑥ 化学的に安定であること
⑦ 引火点や発火点の温度が高いこと
⑧ 誘電損(誘電正接)が小さいこと
【解答】
解答:(2)
(1)正しい
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスの特徴」の通り,\( \ \mathrm {SF_{6}} \ \)ガスは,圧力の空気と比較して絶縁破壊強度が高く,アーク放電が発生した際の消弧能力にも優れ,安定した不燃性のガスですが,地球温暖化への影響が大きいガスとなります。
(2)誤り
問題文の通り,変圧器の絶縁油は,鉱油系絶縁油,合成絶縁油,植物性絶縁油の\( \ 3 \ \)種類があり,鉱油系絶縁油が主流です。絶縁油は,変圧器内部で発生する熱を対流等によって放散冷却する役割があるため,ワンポイント解説「3.絶縁油に求められる特性」の通り,粘度は低い方が良いです。
(3)正しい
ワンポイント解説「2.\( \ \mathrm {CV} \ \)ケーブルの特徴」の通り,\( \ \mathrm {CV} \ \)ケーブルに使用される架橋ポリエチレン絶縁体は,絶縁特性と耐熱変形性の双方に優れています。
(4)正しい
問題文の通り,\( \ \mathrm {OF} \ \)ケーブルは図3に示すような構造をしたケーブルで,絶縁物として使用される油浸紙絶縁体は,多層に巻き上げた絶縁紙の積層体に絶縁油を含浸させた絶縁体で,大気圧よりも高い油圧を加えることで絶縁破壊強度を高めています。
(5)正しい
問題文の通り,がいしに使用される絶縁体は,一般に磁器,ガラス,ポリマの\( \ 3 \ \)種類があり,磁器がいしが主流です。最近では,軽量性や耐衝撃性などの観点から,内側に高い機械強度と絶縁強度を有するガラス繊維強化プラスチック製のコア材を配置し,その外側にポリマ製の笠付き外被で覆ったポリマがいしの利用が進んでいます。












