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【問題】
【難易度】★★★★☆(やや難しい)
「電気設備技術基準」及び「電気設備技術基準の解釈」に基づく,電線の接続に関する記述として,適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 電線を接続する場合は,接続部分において電線の絶縁性能を低下させないように接続するほか,短絡による事故(裸電線を除く。)及び通常の使用状態において異常な温度上昇のおそれがないように接続する。
(2) 裸電線と絶縁電線とを接続する場合に断線のおそれがないようにするには,電線に加わる張力が電線の引張強さに比べて著しく小さい場合を含め,電線の引張強さを\( \ 25 \ \mathrm {[%]} \ \)以上減少させないように接続する。
(3) 屋内に施設する低圧用の配線器具に電線を接続する場合は,ねじ止めその他これと同等以上の効力のある方法により,堅ろうに接続するか,又は電気的に完全に接続する。
(4) 低圧屋内配線を合成樹脂管工事又は金属管工事により施設する場合に,絶縁電線相互を管内で接続する必要が生じたときは,接続部分をその電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のあるもので十分被覆し,接続する。
(5) 住宅の屋内電路(電気機械器具内の電路を除く。)に関し,定格消費電力が\( \ 2 \ \mathrm {[kW]} \ \)以上の電気機械器具のみに三相\( \ 200 \ \mathrm {[V]} \ \)を使用するための屋内配線を施設する場合において,電気機械器具は,屋内配線と直接接続する。
【ワンポイント解説】
電気設備に関する技術基準を定める省令第7条,電気設備の技術基準の解釈第12条,第143条,第150条,第158条及び第159条からの出題です。
勉強していくといくつかの誤答は選択できるようになるかもしれませんが,4つの選択肢の間違いに気づくには相当な知識を要することになり,問題としてはかなり難問の部類に入るかと思います。
【解答】
解答:(5)
(1)不適切
電気設備に関する技術基準を定める省令第7条に規定されている通り,電線を接続する場合は,接続部分において電線の電気抵抗を増加させないように接続するほか,絶縁性能の低下(裸電線を除く。)及び通常の使用状態において断線のおそれがないようにしなければなりません。
(2)不適切
電気設備の技術基準の解釈第12条に規定されている通り,断線のおそれがないようにするには,電線の引張強さを\( \ 25 \ \mathrm {[%]} \ \)以上ではなく\( \ \color{red}{\underline {20 \ \mathrm {% }}} \ \)以上減少させないように接続する必要があります。
(3)不適切
電気設備の技術基準の解釈第150条に規定されている通り,屋内に施設する低圧用の配線器具に電線を接続する場合は,ねじ止めその他これと同等以上の効力のある方法により,堅ろうに,かつ,電気的に完全に接続するとともに,接続点に張力が加わらないようにしなければなりません。
(4)不適切
電気設備の技術基準の解釈第158条及び第159条に規定されている通り,合成樹脂管工事又は金属管工事による低圧屋内配線の電線を施設する場合には,管内では電線に接続点を設けてはいけません。その他,金属可とう電線管工事や金属線ぴ工事,金属ダクト工事等も一部例外規定はありますが,接続点を設けてはならないという規定があります。
(5)適切
電気設備の技術基準の解釈第143条に規定されている通り,住宅の屋内電路の対地電圧は,\( \ 150 \ \mathrm {V} \ \)以下すなわち\( \ 100 \ \mathrm {V} \ \)が原則ですが,エアコン等の定格消費電力が\( \ 2 \ \mathrm {kW} \ \)以上の電気機械器具は,屋内配線と直接接続する等の規定を満たせば施設することが可能となります。
<電気設備に関する技術基準を定める省令第7条>
(1)電線を接続する場合は、接続部分において電線の電気抵抗を増加させないように接続するほか、絶縁性能の低下(裸電線を除く。)及び通常の使用状態において断線のおそれがないようにしなければならない。
<電気設備の技術基準の解釈第12条(抜粋)>
電線を接続する場合は、第181条、第182条又は第192条の規定により施設する場合を除き、電線の電気抵抗を増加させないように接続するとともに、次の各号によること。
一 裸電線(多心型電線の絶縁物で被覆していない導体を含む。以下この条において同じ。)相互、又は裸電線と絶縁電線(多心型電線の絶縁物で被覆した導体を含み、平形導体合成樹脂絶縁電線を除く。以下この条において同じ。)、キャブタイヤケーブル若しくはケーブルとを接続する場合は、次によること。
イ (2)電線の引張強さを\( \ \color{red}{\underline {20 \ \mathrm {% }}} \ \)以上減少させないこと。ただし、ジャンパー線を接続する場合その他電線に加わる張力が電線の引張強さに比べて著しく小さい場合は、この限りでない。
ロ 接続部分には、接続管その他の器具を使用し、又はろう付けすること。ただし、架空電線相互若しくは電車線相互又は鉱山の坑道内において電線相互を接続する場合であって、技術上困難であるときは、この限りでない。
<電気設備の技術基準の解釈第143条(抜粋)>
住宅の屋内電路(電気機械器具内の電路を除く。以下この項において同じ。)の対地電圧は、\( \ 150 \ \mathrm {V} \ \)以下であること。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一 (5)定格消費電力が\( \ \color{blue}{\underline {2 \ \mathrm {kW}}} \ \)以上の電気機械器具及びこれに電気を供給する屋内配線を次により施設する場合
イ 屋内配線は、当該電気機械器具のみに電気を供給するものであること。
ロ 電気機械器具の使用電圧及びこれに電気を供給する屋内配線の対地電圧は、\( \ 300 \ \mathrm {V} \ \)以下であること。
ハ 屋内配線には、簡易接触防護措置を施すこと。
ニ 電気機械器具には、簡易接触防護措置を施すこと。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
(イ) 電気機械器具のうち簡易接触防護措置を施さない部分が、絶縁性のある材料で堅ろうに作られたものである場合
(ロ) 電気機械器具を、乾燥した木製の床その他これに類する絶縁性のものの上でのみ取り扱うように施設する場合
ホ (5)電気機械器具は、屋内配線と直接接続して施設すること。
ヘ 電気機械器具に電気を供給する電路には、専用の開閉器及び過電流遮断器を施設すること。ただし、過電流遮断器が開閉機能を有するものである場合は、過電流遮断器のみとすることができる。
ト 電気機械器具に電気を供給する電路には、電路に地絡が生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。ただし、次に適合する場合は、この限りでない。
(イ) 電気機械器具に電気を供給する電路の電源側に、次に適合する変圧器を施設すること。
(1) 絶縁変圧器であること。
(2) 定格容量は\( \ 3 \ \mathrm {kVA} \ \)以下であること。
(3) \( \ 1 \ \)次電圧は低圧であり、かつ、\( \ 2 \ \)次電圧は\( \ 300 \ \mathrm {V} \ \)以下であること。
(ロ) (イ)の規定により施設する変圧器には、簡易接触防護措置を施すこと。
(ハ) (イ)の規定により施設する変圧器の負荷側の電路は、非接地であること。
<電気設備の技術基準の解釈第150条(抜粋)>
低圧用の配線器具は、次の各号により施設すること。
一 充電部分が露出しないように施設すること。ただし、取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所に施設する場合は、この限りでない。
二 湿気の多い場所又は水気のある場所に施設する場合は、防湿装置を施すこと。
三 (3)配線器具に電線を接続する場合は、ねじ止めその他これと同等以上の効力のある方法により、堅ろうに、かつ、電気的に完全に接続するとともに、接続点に張力が加わらないようにすること。
四 屋外において電気機械器具に施設する開閉器、接続器、点滅器その他の器具は、損傷を受けるおそれがある場合には、これに堅ろうな防護装置を施すこと。
<電気設備の技術基準の解釈第158条(抜粋)>
合成樹脂管工事による低圧屋内配線の電線は、次の各号によること。
一 絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く。)であること。
二 より線又は直径\( \ 3.2 \ \mathrm {mm} \ \)(アルミ線にあっては、\( \ 4 \ \mathrm {mm} \ \))以下の単線であること。ただし、短小な合成樹脂管に収めるものは、この限りでない。
三 合成樹脂管内では、(4)電線に接続点を設けないこと。
<電気設備の技術基準の解釈第159条(抜粋)>
金属管工事による低圧屋内配線の電線は、次の各号によること。
一 絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く。)であること。
二 より線又は直径\( \ 3.2 \ \mathrm {mm} \ \)(アルミ線にあっては、\( \ 4 \ \mathrm {mm} \ \))以下の単線であること。ただし、短小な金属管に収めるものは、この限りでない。
三 金属管内では、(4)電線に接続点を設けないこと。