《法規》〈電気設備技術基準〉[H24:問10]B種接地工事の接地抵抗値に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

公称電圧\( \ 6600 \ \mathrm {[V]} \ \)の三相\( \ 3 \ \)線式中性点非接地方式の架空配電線路(電線はケーブル以外を使用)があり,そのこう長は\( \ 20 \ \mathrm {[km]} \ \)である。この配電線路に接続される柱上変圧器の低圧電路側に施設される\( \ \mathrm {B} \ \)種接地工事の接地抵抗値\( \ \mathrm {[\Omega ]} \ \)の上限として,「電気設備技術基準の解釈」に基づき,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし,高圧電路と低圧電路の混触により低圧電路の対地電圧が\( \ 150 \ \mathrm {[V]} \ \)を超えた場合に,\( \ 1 \ \)秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置を施設しているものとする。

なお,高圧配電線路の\( \ 1 \ \)線地絡電流\( \ I_{1} \ \mathrm {[A]} \ \)は,次式によって求めるものとする。
\[
\begin{eqnarray}
I_{1} &=& 1+\frac {\displaystyle \frac {V}{3}L-100}{150} \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] \( \ V \ \)は,配電線路の公称電圧を\( \ 1.1 \ \)で除した電圧\( \ \mathrm {[kV]} \ \)
\( \ L \ \)は,同一母線に接続される架空配電線路の電線延長\( \ \mathrm {[km]} \ \)

 (1) \( \ 75 \ \)  (2) \( \ 150 \ \)  (3) \( \ 225 \ \)  (4) \( \ 300 \ \)  (5) \( \ 600 \ \)

【ワンポイント解説】

電気設備技術基準の解釈第17条からの出題です。\( \ \mathrm {B} \ \)種接地工事の接地抵抗値は法規の中でもかなり出題率が高い分野です。確実に理解しておくようにしましょう。一方で,本問では地絡電流の導出計算で切り上げが必要となることも触れられているので,合わせて覚えておきましょう。

【解答】

解答:(4)
\( \ 1 \ \)線地絡電流\( \ I_{1} \ \)を求める式における\( \ V \ \)は,配電線路の公称電圧を\( \ 1.1 \ \)で除した電圧であるため,
\[
\begin{eqnarray}
V &=& \frac {6600}{1.1} \\[ 5pt ] &=& 6000 \ \mathrm {[V]} → 6 \ \mathrm {[kV]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となり,\( \ 1 \ \)線地絡電流\( \ I_{1} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
I_{1} &=& 1+\frac {\displaystyle \frac {V}{3}L-100}{150} \\[ 5pt ] &=& 1+\frac {\displaystyle \frac {6}{3}\times 20\times 3-100}{150} \\[ 5pt ] &≒& 1.133 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となる。電気設備技術基準の解釈第17条第2項の2ロの通り,「計算結果は小数点以下を切り上げ\( \ 2 \ \mathrm {A} \ \)未満となる場合は\( \ 2 \ \mathrm {A} \ \)とする」ので,
\[
\begin{eqnarray}
I_{1} &=& 2 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となる。よって,電気設備技術基準の解釈第17条第2項17-1表より,高圧電路と低圧電路の混触により,低圧電路の対地電圧が\( \ 150 \ \mathrm {[V]} \ \)を超えた場合に,\( \ 1 \ \)秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置を施設しているので,\( \ \mathrm {B} \ \)種接地工事の接地抵抗値\( \ R_{\mathrm {B}} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
R_{\mathrm {B}} &=& \frac {600}{I_{1}} \\[ 5pt ] &=& \frac {600}{2} \\[ 5pt ] &=& 300 \ \mathrm {[\Omega ]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。

<電気設備技術基準の解釈第17条(抜粋)>
2 \( \ \mathrm {B} \ \)種接地工事は、次の各号によること。
一 接地抵抗値は、17-1表に規定する値以下であること。

二 17-1表における\( \ 1 \ \)線地絡電流\( \ I_{\mathrm {g}} \ \)は、次のいずれかによること。
イ 実測値
ロ 高圧電路においては、17-2表に規定する計算式により計算した値。ただし、計算結果は、小数点以下を切り上げ、\( \ \underline {2 \ \mathrm {A}} \ \)未満となる場合は\( \ \underline {2 \ \mathrm {A}} \ \)とする。