《法規》〈電気設備技術基準〉[H24:問5]「電気設備技術基準」における電路の絶縁に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,「電気設備技術基準」における電路の絶縁に関する記述である。

“電路は大地から絶縁しなければならない。ただし,構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用状態を考慮し危険のおそれがない場合,又は混触による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための接地その他保安上必要な措置を講ずる場合は,この限りでない。”

次のaからdのうち,下線部の場合に該当するものの組み合わせを,「電気設備技術基準の解釈」に基づき,下記の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

a.架空単線式電気鉄道の帰線

b.電気炉の炉体及び電源から電気炉用電極に至る導線

c.電路の中性点に施す接地工事の接地点以外の接地側電路

d.計器用変成器の2次側電路に施す接地工事の接地点

 (1) a,b  (2) b,c  (3) c,d  (4) a,d  (5) b,d

【ワンポイント解説】

電気設備に関する技術基準を定める省令第5条及び電気設備技術基準の解釈第13条からの出題です。aは帰線が何なのか分かっていれば解ける内容,bは安全性を考慮しても確実に大地から絶縁しなければならないと考えられます。条文というよりは,安全性の判断及び知識があるかどうかが問われているという問題と言えます。

【解答】

解答:(4)
a.該当する
電気設備技術基準の解釈第13条第1項の2イの通り,単線式電気鉄道の帰線は大地から絶縁する必要はありません。単線式電気鉄道の帰線とはレールのことです。なので,大地から絶縁することは困難と言えます。

b.該当しない
電気設備技術基準の解釈第13条の通り,電気炉の炉体及び電源から電気炉用電極に至る導線は絶縁する必要があります。

c.該当しない
電気設備技術基準の解釈第13条の通り,電路の中性点に施す接地工事の接地点以外の接地側電路は絶縁する必要があります。

d.該当する
電気設備技術基準の解釈第13条第1項の1の通り,接地工事を施す場合の接地点は絶縁する必要がありません。というよりも接地点が絶縁されていたら接地を施す意味がありません。

<電気設備に関する技術基準を定める省令第5条>
電路は、大地から絶縁しなければならない。ただし、構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合、又は混触による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための接地その他の保安上必要な措置を講ずる場合は、この限りでない。
2 前項の場合にあっては、その絶縁性能は、第二十二条及び第五十八条の規定を除き、事故時に想定される異常電圧を考慮し、絶縁破壊による危険のおそれがないものでなければならない。
3 変成器内の巻線と当該変成器内の他の巻線との間の絶縁性能は、事故時に想定される異常電圧を考慮し、絶縁破壊による危険のおそれがないものでなければならない。

<電気設備技術基準の解釈第13条>
電路は、次の各号に掲げる部分を除き大地から絶縁すること。
一 この解釈の規定によりd.接地工事を施す場合の接地点

二 次に掲げるものの絶縁できないことがやむを得ない部分

イ 第173条第7項第三号ただし書の規定により施設する接触電線、第194条に規定するエックス線発生装置、試験用変圧器、電力線搬送用結合リアクトル、電気さく用電源装置、電気防食用の陽極、a.単線式電気鉄道の帰線(第201条第六号に規定するものをいう。)、電極式液面リレーの電極等、電路の一部を大地から絶縁せずに電気を使用することがやむを得ないもの

ロ 電気浴器、電気炉、電気ボイラー、電解槽等、大地から絶縁することが技術上困難なもの