《法規》〈電気設備技術基準〉[H27:問8]爆発するおそれがある場所の屋内配線に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

次の文章は,可燃性のガスが漏れ又は滞留し,電気設備が点火源となり爆発するおそれがある場所の屋内配線に関する工事例である。「電気設備技術基準の解釈」に基づき,不適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 金属管工事により施設し,薄銅電線管を使用した。

(2) 金属管工事により施設し,管相互及び管とボックスその他の附属品とを\( \ 5 \ \)山以上ねじ合わせて接続する方法により,堅ろうに接続した。

(3) ケーブル工事により施設し,キャブタイヤケーブルを使用した。

(4) ケーブル工事により施設し,\( \ \mathrm {MI} \ \)ケーブルを使用した。

(5) 電線を電気機械器具に引き込むときは,引込口で電線が損傷するおそれがないようにした。

【ワンポイント解説】

屋内配線の工事に関する記述です。ケーブルの種類等はなかなか三種では出題されにくく,やや難しい問題ではないかと思います。

1.キャブタイヤケーブル
\( \ 600 \ \mathrm {V} \ \)以下の移動電線として使用され,水気にも強い特徴があります。難燃性のケーブルもありますが,電気設備技術基準の解釈にも規定されている通り,爆発するおそれのある場所には使用できません。


出典:電線ストア.com HP
https://denzai39.com/products/detail.php?product_id=1069

2.\( \ \mathrm {MI} \ \)ケーブル
銅と酸化マグネシウムで製造され,高温高圧下でも使用可能であり,耐水,耐油,耐薬品性等を有して,曲げ加工も容易にできるという特徴があります。


出典:株式会社 岡崎製作所 HP
https://www.okazaki-mfg.com/SpecialProducts/MICable.html

【解答】

解答:(3)
(1):適切
 電気設備の技術基準の解釈第176条第1項の一イ(イ)(1)の通り,「金属管は、薄鋼電線管又はこれと同等以上の強度を有するものであること。」となっているので薄銅電線管は適切となります。

(2):適切
 電気設備の技術基準の解釈第176条第1項の一イ(イ)(2)の通り,「管相互及び管とボックスその他の附属品、プルボックス又は電気機械器具とは、\( \ 5 \ \)山以上ねじ合わせて接続する方法その他これと同等以上の効力のある方法により、堅ろうに接続すること。」となっているので適切となります。

(3):不適切
 電気設備の技術基準の解釈第176条第1項の一イ(ロ)(1)の通り,「電線は、キャブタイヤケーブル以外のケーブルであること。」となっているので,キャブタイヤケーブルは不適切となります。ワンポイント解説「1.キャブタイヤケーブル」の通り,キャブタイヤケーブルは爆発するおそれがある場所の工事使用には不向きのケーブルです。

(4):適切
 電気設備の技術基準の解釈第176条第1項の一イ(ロ)(1)の通り,「電線は、キャブタイヤケーブル以外のケーブルであること。」となっているので,\( \ \mathrm {MI} \ \)ケーブルは適切となります。

(5):適切
 電気設備の技術基準の解釈第176条第1項の一イ(ロ)(3)の通り,「電線を電気機械器具に引き込むときは、引込口で電線が損傷するおそれがないようにすること。」となっているので,適切となります。

<電気設備の技術基準の解釈第176条(抜粋)>
可燃性のガス(常温において気体であり、空気とある割合の混合状態において点火源がある場合に爆発を起こすものをいう。)又は引火性物質(火のつきやすい可燃性の物質で、その蒸気と空気とがある割合の混合状態において点火源がある場合に爆発を起こすものをいう。)の蒸気(以下この条において「可燃性ガス等」という。)が漏れ又は滞留し、電気設備が点火源となり爆発するおそれがある場所における、低圧又は高圧の電気設備は、次の各号のいずれかにより施設すること。

 一 次によるとともに、危険のおそれがないように施設すること。

  イ 屋内配線、屋側配線、屋外配線、管灯回路の配線、第181条第1項に規定する小勢力回路の電線及び第182条に規定する出退表示灯回路の電線(以下この条において「屋内配線等」という。)は、次のいずれかによること。

   (イ) 金属管工事により、次に適合するように施設すること。

    (1) (1)金属管は、薄鋼電線管又はこれと同等以上の強度を有するものであること。

    (2) (2)管相互及び管とボックスその他の附属品、プルボックス又は電気機械器具とは、5山以上ねじ合わせて接続する方法その他これと同等以上の効力のある方法により、堅ろうに接続すること。

    (3) 電動機に接続する部分で可とう性を必要とする部分の配線には、第159条第4項第二号に規定する耐圧防爆型フレキシブルフィッチング又は同項第三号に規定する安全増防爆型フレキシブルフィッチングを使用すること。

   (ロ) ケーブル工事により、次に適合するように施設すること。

    (1) 電線は、(3),(4)キャブタイヤケーブル以外のケーブルであること。

    (2) 電線は、第120条第6項に規定する性能を満足するがい装を有するケーブル又はMIケーブルを使用する場合を除き、管その他の防護装置に収めて施設すること。

    (3) (5)電線を電気機械器具に引き込むときは、引込口で電線が損傷するおそれがないようにすること。