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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
次の文章は,電力の需給に関する記述である。
電力システムにおいて,需要と供給の間に不均衡が生じると,周波数が変動する。これを防止するため,需要と供給の均衡を常に確保する必要がある。
従来は,電力需要にあわせて電力供給を調整してきた。
しかし,近年,\(\fbox { (ア) }\)状況に応じ,スマートに\(\fbox { (イ) }\)パターンを変化させること,いわゆるディマンドリスポンス(「デマンドレスポンス」ともいう。以下同じ。)の重要性が強く認識されるようになっている。この取組の一つとして,電気事業者(小売電気事業者及び系統運用者という。以下同じ。)やアグリゲーター(複数の\(\fbox { (ウ) }\)を束ねて,ディマンドリスポンスによる\(\fbox { (エ) }\)削減量を電気事業者と取引する事業者)と\(\fbox { (ウ) }\)の間の契約に基づき,電力の\(\fbox { (エ) }\)削減の量や容量を取引する取組(要請による\(\fbox { (エ) }\)の削減量に応じて,\(\fbox { (ウ) }\)がアグリゲーターを介し電気事業者から報酬を得る。),いわゆるネガワット取引の活用が進められている。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{ccc}
& (ア) & (イ) & (ウ)& (エ) \\
\hline
(1) & 電力需要 & 発電 & 需要家 & 需要 \\
\hline
(2) & 電力供給 & 発電 & 発電事業者 & 供給 \\
\hline
(3) & 電力供給 & 消費 & 需要家 & 需要 \\
\hline
(4) & 電力需要 & 消費 & 発電事業者 & 需要 \\
\hline
(5) & 電力供給 & 発電 & 需要家 & 供給 \\
\hline
\end{array}
\]
【ワンポイント解説】
デマンドレスポンスは2017年に開始された取組で,早くも電験に出題されてしまったといったところが私の率直な感想です。文脈から需要側で調整することが読み取れると思いますので,文脈に合う選択肢を選択すれば解けると思います。
1.デマンドレスポンス
デマンドレスポンスは東日本大震災の際,関東地方で電力不足が起こったことを発端とし,電力の需給を発電側で調整するのではなく,需要家側でも調整し,節電量に応じて報酬を支払おうとする取り組みです。
これまでは大口需要家のみを対象とし電力会社が直接需給調整契約を結んでいましたが,アグリゲーター(仲介事業者)が入ることにより,中小企業や家庭等でも実施できるように普及を進めています。
2020年に発送電分離が予定されていますので,図1の電力会社は発電事業者と送電事業者を分けて考えると理解がしやすいと思います。
【解答】
解答:(3)
(ア)
デマンドレスポンスは従来の需給調整と逆で電力供給状況に応じて,需要をコントロールする方法です。
(イ)
デマンドレスポンスは従来と逆で消費パターンを変化させる方法です。
(ウ)
アグリゲーターは複数の需要家(企業など)を束ねる組織です。
(エ)
デマンドレスポンスなので,アグリゲーターが需要削減の指令を出し,需要家が削減量に応じて報酬を得る取組となります。