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【問題】
【難易度】★★★★★(難しい)
次の文章は,電気事業法に基づく保安規程に関する記述である。
保安規程は,電気設備規模等によって記載内容が異なり,特定発電用電気工作物の小売電気事業等用接続最大電力の合計が,\( \ \fbox { (ア) } \ \)万\( \ \mathrm {kW} \ \)(沖縄電力株式会社の供給域内にあっては\( \ 10 \ \)万\( \ \mathrm {kW} \ \))を超える大規模な事業者の場合には保安規程に記載すべき事項が多くなっている。
空欄(ア)と上記の大規模な事業者のみが保安規程に記載すべき事項の組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{ccc}
& (ア) & 大規模な事業者のみが保安規程に記載すべき事項 \\
\hline
(1) & 100 & {\displaystyle 発電所の運転を相当期間停止する場合における保全}\atop {\displaystyle の方法に関すること。 } \\
\hline
(2) & 200 & {\displaystyle 保安規程の定期的な点検及びその必要な改善に関す}\atop {\displaystyle ること。 } \\
\hline
(3) & 100 & {\displaystyle 事業用電気工作物の工事,維持又は運用に関する業}\atop {\displaystyle 務を管理する者の職務及び組織に関すること。 } \\
\hline
(4) & 60 & {\displaystyle 発電所の運転を相当期間停止する場合における保全}\atop {\displaystyle の方法に関すること。 } \\
\hline
(5) & 200 & {\displaystyle 事業用電気工作物の工事,維持又は運用に関する業}\atop {\displaystyle 務を管理する者の職務及び組織に関すること。 } \\
\hline
\end{array}
\]
【ワンポイント解説】
電気事業法の保安規程に関する問題です。
この問題は非常に難易度が高く,大規模な発電設備の建設所で申請業務を携わった経験がある方以外はほぼ解けなかったものと予想されます。
このような問題は基本的に捨問として,他の問題で合格点が取れるように準備しましょう。
【解答】
解答:(2)
(ア)
電気事業法第38条第4項第5号において,事業の用に供する電気工作物として主務省令で定める要件に該当するものとして「発電事業であって、その事業の用に供する発電等用電気工作物が主務省令で定める要件に該当するもの」となっており,電気事業法施行規則第48条の2第1項第1号において,「特定発電等用電気工作物の小売電気事業等用接続最大電力の合計が\( \ 200 \ \)万\( \ \mathrm {kW} \ \)を超えること」となっていることから,「\( \ 200 \ \)万\( \ \mathrm {kW} \ \)」であることがわかります。
大規模な事業者のみが保安規程に記載すべき事項
電気事業法施行規則第50条第1項に保安規程に記載すべき事項について,事業の用に供する電気工作物(第2項)と自家用電気工作物(第3項)とに区分けされており,第2項のみに定められているのが第14号の「保安規程の定期的な点検及びその必要な改善に関すること。」となります。
<電気事業法第38条>
この法律において「一般用電気工作物」とは、次に掲げる電気工作物であって、構内(これに準ずる区域内を含む。以下同じ。)に設置するものをいう。ただし、小規模発電設備(低圧(経済産業省令で定める電圧以下の電圧をいう。第一号において同じ。)の電気に係る発電用の電気工作物であって、経済産業省令で定めるものをいう。以下同じ。)以外の発電用の電気工作物と同一の構内に設置するもの又は爆発性若しくは引火性の物が存在するため電気工作物による事故が発生するおそれが多い場所として経済産業省令で定める場所に設置するものを除く。
一 電気を使用するための電気工作物であって、低圧受電電線路(当該電気工作物を設置する場所と同一の構内において低圧の電気を他の者から受電し、又は他の者に受電させるための電線路をいう。次号ロ及び第3項第一号ロにおいて同じ。)以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないもの
二 小規模発電設備であって、次のいずれにも該当するもの
イ 出力が経済産業省令で定める出力未満のものであること。
ロ 低圧受電電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないものであること。
三 前二号に掲げるものに準ずるものとして経済産業省令で定めるもの
2 この法律において「事業用電気工作物」とは、一般用電気工作物以外の電気工作物をいう。
3 この法律において「小規模事業用電気工作物」とは、事業用電気工作物のうち、次に掲げる電気工作物であつて、構内に設置するものをいう。ただし、第1項ただし書に規定するものを除く。
一 小規模発電設備であって、次のいずれにも該当するもの
イ 出力が第1項第二号イの経済産業省令で定める出力以上のものであること。
ロ 低圧受電電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないものであること。
二 前号に掲げるものに準ずるものとして経済産業省令で定めるもの
4 この法律において「自家用電気工作物」とは、次に掲げる事業の用に供する電気工作物及び一般用電気工作物以外の電気工作物をいう。
一 一般送配電事業
二 送電事業
三 配電事業
四 特定送配電事業
五 発電事業であって、その事業の用に供する発電等用電気工作物が(ア)主務省令で定める要件に該当するもの
<電気事業法施行規則第48条の2>
法第38条第4項第五号の主務省令で定める要件は、次の各号のいずれかに該当することとする。
一 特定発電等用電気工作物の小売電気事業等用接続最大電力の合計が(ア)\( \ \color{red}{\underline {200}} \ \)万 kW(沖縄電力株式会社の供給区域にあっては、10 万 kW )を超えること。
二 一般送配電事業者が離島等供給の用に供するため又はその供給する電気の電圧及び周波数の値を一定の値に維持するため、当該一般送配電事業者が維持し、及び運用するものであること。
<電気事業法施行規則第50条(抜粋)>
法第42条第1項の保安規程は、次の各号に掲げる事業用電気工作物の種類ごとに定めるものとする。
一 事業用電気工作物であって、一般送配電事業、送電事業、配電事業又は発電事業(法第38条第4項第五号に掲げる事業に限る。次項において同じ。)の用に供するもの
二 事業用電気工作物であって、前号に掲げるもの以外のもの
2 前項第一号に掲げる事業用電気工作物を設置する者は、法第四十二条第一項の保安規程において、次の各号(その者が発電事業(その事業の用に供する発電等用電気工作物が第48条の2第一号に掲げる要件に該当するものに限る。)を営むもの以外の者である場合にあっては、第五号から第七号まで及び第十一号を除く。)に掲げる事項を定めるものとする。
一 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する保安のための関係法令及び保安規程の遵守のための体制(経営責任者の関与を含む。)に関すること。
二 事業用電気工作物の工事、維持又は運用を行う者の職務及び組織に関すること(次号に掲げるものを除く。)。
三 主任技術者の職務の範囲及びその内容並びに主任技術者が保安の監督を行う上で必要となる権限及び組織上の位置付けに関すること。
四 事業用電気工作物の工事、維持又は運用を行う者に対する保安教育に関することであって次に掲げるもの
イ 関係法令及び保安規程の遵守に関すること。
ロ 保安のための技術に関すること。
ハ 保安教育の計画的な実施及び改善に関すること。
五 発電用の事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する保安を計画的に実施し、及び改善するための措置であって次に掲げるもの(前号に掲げるものを除く。)
イ 発電用の事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する保安についての方針及び体制に関すること。
ロ 発電用の事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する保安についての計画に関すること。
ハ 発電用の事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する保安についての実施に関すること。
ニ 発電用の事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する保安についての評価に関すること。
ホ 発電用の事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する保安についての改善に関すること。
六 発電用の事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する保安のために必要な文書の作成、変更、承認及び保存の手順に関すること。
七 前号に規定する文書についての保安規程上の位置付けに関すること。
八 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する保安についての適正な記録に関すること。
九 事業用電気工作物の保安のための巡視、点検及び検査に関すること。
十 事業用電気工作物の運転又は操作に関すること。
十一 発電用の事業用電気工作物の保安に係る外部からの物品又は役務の調達の内容及びその重要度に応じた管理に関すること。
十二 発電所又は蓄電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること。
十三 災害その他非常の場合に採るべき措置に関すること。
十四 保安規程の定期的な点検及びその必要な改善に関すること。
十五 その他事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安に関し必要な事項
3 第1項第二号に掲げる事業用電気工作物を設置する者は、法第42条第1項の保安規程において、次の各号に掲げる事項を定めるものとする。ただし、鉱山保安法、鉄道営業法、軌道法又は鉄道事業法が適用され又は準用される自家用電気工作物については発電所、蓄電所、変電所及び送電線路に係る次の事項について定めることをもって足りる。
一 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務を管理する者の職務及び組織に関すること。
二 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者に対する保安教育に関すること。
三 事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安のための巡視、点検及び検査に関すること。
四 事業用電気工作物の運転又は操作に関すること。
五 発電所又は蓄電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること。
六 災害その他非常の場合に採るべき措置に関すること。
七 事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安についての記録に関すること。
八 事業用電気工作物(使用前自主検査、溶接自主検査若しくは定期自主検査(以下「法定自主検査」と総称する。)又は法第51条の2第1項若しくは第2項の確認(以下「使用前自己確認」という。)を実施するものに限る。)の法定自主検査又は使用前自己確認に係る実施体制及び記録の保存に関すること。
九 その他事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安に関し必要な事項