《機械》〈変圧器〉[H24:問8]三相変圧器の並行運転に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

三相変圧器の並行運転に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 各変圧器の極性が一致していないと,大きな循環電流が流れて巻線の焼損を引き起こす。

(2) 各変圧器の変圧比が一致していないと,負荷の有無にかかわらず循環電流が流れて巻線の過熱を引き起こす。

(3) 一次側と二次側との誘導起電力の位相変位(角変位)が各変圧器で等しくないと,その程度によっては,大きな循環電流が流れて巻線の焼損を引き起こす。したがって、\( \ \Delta ― \mathrm {Y} \ \)と\( \ \mathrm {Y} ― \mathrm {Y} \ \)との並行運転はできるが,\( \ \Delta ― \Delta \ \)と\( \ \Delta ― \mathrm {Y} \ \)との並行運転はできない。

(4) 各変圧器の巻線抵抗と漏れリアクタンスとの比が等しくないと,各変圧器の二次側に流れる電流に位相差が生じ取り出せる電力は各変圧器の出力の和より小さくなり,出力に対する銅損の割合が大きくなって利用率が悪くなる。

(5) 各変圧器の百分率インピーダンス降下が等しくないと,各変圧器が定格容量に応じた負荷を分担することができない。

【ワンポイント解説】

誤答選択問題としては変圧器の知識があれば,比較的誤りを見つけやすい問題と言えると思います。\(\mathrm {Y-\Delta }\)結線でなぜ\(30°\)の位相差が生じるかは相電圧と線電圧の関係によるもので,わからない方は理論科目の問題で復習しましょう。

1.変圧器の結線方式
①\( \ \mathrm {Y-Y} \ \)結線
 ・\(\Delta \)結線がないので,第\( \ 3 \ \)次高調波の流れる回路がないため,相電圧波形がひずみを持ってしまいます。
 ・上記理由で使用されず,通常三次巻線に\(\Delta \)結線を加えた\(\mathrm {Y-Y-\Delta }\)結線として使用します。

②\( \ \mathrm {Y-Y-\Delta } \ \)結線
 ・\(\mathrm {Y-Y}\)結線の欠点を補うため,三次巻線に\(\Delta \)結線を加えた結線方式で,第3次高調波を還流させることができます。
 ・一次と二次の電圧に位相差がなく,取扱いが容易となります。
 ・一次,二次とも中性点を接地することができます。

③\( \ \mathrm {Y-\Delta } \ \)結線
 ・\(\Delta \)結線で,第\( \ 3 \ \)次高調波を還流させることができます。
 ・中性点を接地する時は,\(\mathrm {Y}\)結線側を使用します。
 ・一次電圧と二次電圧に\(30°\)の位相差が生じます。

④\( \ \mathrm {\Delta -\Delta } \ \)結線
 ・\(\Delta \)結線で,第\( \ 3 \ \)次高調波を還流させることができます。
 ・一次,二次の電圧に位相差がありません。
 ・中性点がないので,中性点接地を行う場合は,接地変圧器が必要となります。

2.変圧器の並行運転の条件
①極性が一致している
②変圧比(≒巻き数比)が一致している
③角変位が一致している
④百分率インピーダンス等しい
⑤変圧器本体の抵抗とリアクタンスの比が等しい

【解答】

解答:(3)
(1)正しい
問題文の通りです。変圧器には,巻線の巻き方により一次側と二次側の磁束を強め合う加極性と一次側と二次側の磁束を弱め合う減極性があり,極性が一致していないと大きな循環電流が流れ巻線の焼損を引き起こす可能性があります。

(2)正しい
問題文の通りです。変圧器の変圧比が一致していないと,変圧器の二次側電圧に電位差が発生するため,循環電流が流れます。

(3)誤り
問題文の通り,一次側と二次側との誘導起電力の位相変位(角変位)が各変圧器で等しくないと,その程度によっては,大きな循環電流が流れます。並行運転できる条件は,\( \ \mathrm {Y-\Delta } \ \)同士,もしくは( \ \mathrm {Y-Y} \ \)結線と\( \ \mathrm {\Delta -\Delta } \ \)結線の組み合わせのみで,\( \ \underline {\Delta ― \mathrm {Y}} \ \)と\( \ \underline {\mathrm {Y} ― \mathrm {Y}} \ \)との並行運転はできない。

(4)正しい
問題文の通り,各変圧器の巻線抵抗と漏れリアクタンスとの比が等しくないと,各変圧器の二次側に流れる電流に位相差が生じます。そうなると,取り出せる電力は各変圧器の出力のベクトル和となるので,合計より小さくなり,出力に対する銅損の割合が大きくなって利用率が悪くなります。

(5)正しい
問題文の通り,百分率インピーダンス降下が等しくないと,各変圧器が定格容量に応じた負荷を分担することができません。