《機械》〈情報伝送及び処理〉[R4上:問13]電気信号や光信号をやりとりする電気通信に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

文字や音声,画像などの情報を電気信号や光信号に変換してやりとりすることを電気通信といい,様々な用途や場所で利用されている。電気通信に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 通信には,通信ケーブルを伝送路として用いる有線通信と,空間を伝送路として用いる無線通信がある。通信の用途に応じて適切な方式が選択される。

(2) 電気信号に変換した情報を扱う方式として,アナログ方式とディジタル方式がある。アナログ方式は古くから使用されてきたが,ディジタル方式は,雑音(ノイズ)の影響を受けにくいことや,小型化しやすいこと,コンピュータで処理しやすいことなどから,近年では採用されることが多くなっている。

(3) 光通信の伝送路として主に用いられる光ファイバケーブルでは,入射した光信号は屈折率の異なるコアとクラッドの間で全反射しながら進んでいく。光ファイバケーブルは伝送損失が非常に少なく,無誘導のため漏話しにくいことから,長距離の伝送に適している。

(4) 無線通信に用いられる電波の伝わり方は,周波数や波長によって異なるために,通信の用途にあったものが用いられる。周波数の低い,すなわち波長の長い電波は直進性が強いために,特定の方向に向けて発信するのに適している。

(5) データ通信における誤りの検出方法としてよく使用されるパリティチェック方式は,伝送データのビット列に対して,状態が”1″のビットの個数が奇数または偶数になるように,検査のためのビットを付け加えて送ることで,受信側で誤りを検出する方式である。

【ワンポイント解説】

電気通信に関する問題です。
これまで原則選択問題でしか出題されなかった問題が必須問題として出題されました。
今後の新たな傾向として考えていく必要があると思います。

1.ディジタル伝送方式
ディジタル伝送方式は,アナログ量である情報をディジタル量に変換(\( \ \mathrm {A / D} \ \)変換)してから情報を伝送する仕組みで,下記のような過程を経て情報を伝送します。量子化されていることから雑音(ノイズ)の影響を受けにくいことやコンピュータで処理しやすい等の特長がありいます。

①標本化(サンプリング)
 アナログ量の大きさを一定周期\( \ T \ \)ごとに読み取り,期間\( \ T \ \)の間はその値が一定であるようにすることです。\( \ \displaystyle \frac {1}{T} \ \)をサンプリング周波数と言います。サンプリング周波数の\( \ \displaystyle \frac {1}{2} \ \)以上の周波数(ナイキスト周波数)を持つと,折り返し誤差が発生する(エイリアシング現象)ので,フィルタで除去する必要があります。

②量子化
 標本化した情報を\( \ \mathrm {A / D} \ \)変換器でディジタル値に変換することを言います。

③符号化
 量子化した情報をサンプリング周波数毎のパルス化することを言います。

2.電波の周波数の違いによる用途の違い
一般に周波数の低い(波長が長い)ほど,障害物等の回り込みがしやすく幅広い方向に伝搬可能で,周波数が高い(波長が短い)ほど直進性が強く伝搬容量が大きくなります。
したがって,用途に応じて使用される電波が分かれていますので,以下の図を参考に見ておくと良いかと思います。


出典:NTTドコモ HP
https://www.docomo.ne.jp/area/know/

3.光通信システム
送信器で電気信号を光信号に変換し,光ファイバーで伝送した後,受信器で光信号を電気信号に変換する方法です。以下の理由により,長距離・大容量伝送に適しています。
・電磁波の影響を受けないので,信号が安定する
・光なので通信速度が速い
・光の波長の違いを利用して大容量を伝送できる

4.パリティチェック
データ誤りの検出方法として使用され,伝送データのビット列に対して,状態が”1″のビットの個数が奇数または偶数になるように,検査のためのビットを付け加えて送ることで,受信側で誤りを検出する方式です。
例えば奇数で”1″,偶数で”0″をパリティチェックのビットを付け加える場合,
 1100100 → 11001001
 0001010 → 00010100
のような形で伝送します。

【解答】

解答:(4)
(1):正しい
問題文の通り,通信には,通信ケーブルを伝送路として用いる有線通信と,空間を伝送路として用いる無線通信があります。こちらは常識的にわかるかと思います。

(2):正しい
問題文の通り,電気信号に変換した情報を扱う方式として,アナログ方式とディジタル方式があります。ワンポイント解説「1.ディジタル伝送方式」の通り,ディジタル方式は,雑音(ノイズ)の影響を受けにくいことや,小型化しやすいこと,コンピュータで処理しやすいことなどから,近年では採用されることが多くなっています。

(3):正しい
問題文の通り,光通信の伝送路として主に用いられる光ファイバケーブルでは,入射した光信号は屈折率の異なるコアとクラッドの間で全反射しながら進んでいきます。ワンポイント解説「3.光通信システム」の通り,光ファイバケーブルは伝送損失が非常に少なく,無誘導のため漏話しにくいことから,長距離の伝送に適しています。

(4):誤り
ワンポイント解説「2.電波の周波数の違いによる用途の違い」の通り,無線通信に用いられる電波の伝わり方は,周波数や波長によって異なるために,通信の用途にあったものが用いられます。周波数の高い,すなわち波長の短い電波は直進性が強いために,特定の方向に向けて発信をするのに適していますが,周波数の低い,すなわち波長の長い電波は回り込みがしやすいため幅広い方向への発信をするのに適しています。

(5):正しい
ワンポイント解説「4.パリティチェック」の通り,データ通信における誤りの検出方法としてよく使用されるパリティチェック方式は,伝送データのビット列に対して,状態が”1″のビットの個数が奇数または偶数になるように,検査のためのビットを付け加えて送ることで,受信側で誤りを検出する方式です。