《機械》〈回転機〉[R4上:問4]三相同期発電機の並行運転に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,三相同期発電機の並行運転に関する記述である。

ある母線に同期発電機\( \ \mathrm {A} \ \)を接続して運転しているとき,同じ母線に同期発電機\( \ \mathrm {B} \ \)を並列に接続するには,同期発電機\( \ \mathrm {A} \ \),\( \ \mathrm {B} \ \)の\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)の大きさが等しくそれらの位相が一致していることが必要である。\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)の大きさを等しくするには\( \ \mathrm {B} \ \)の\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)電流を,位相を一致させるには\( \ \mathrm {B} \ \)の原動機の\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)を調整する。位相が一致しているかどうかの確認には\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)が用いられる。

並行運転中に両発電機間で\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)の位相が等しく大きさが異なるとき,両発電機間を\( \ \fbox {  (オ)  } \ \)横流が循環する。これは電機子巻線の抵抗損を増加させ,巻線を加熱させる原因となる。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{cccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) \\
\hline
(1) & 起電力 & 界磁 & 極数 & 位相検定器 & 有効 \\
\hline
(2) & 起電力 & 界磁 & 回転速度 & 同期検定器 & 無効 \\
\hline
(3) & 起電力 & 電機子 & 極数 & 位相検定器 & 無効 \\
\hline
(4) & 有効電力 & 界磁 & 回転速度 & 位相検定器 & 有効 \\
\hline
(5) & 有効電力 & 電機子 & 極数 & 同期検定器 & 無効 \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

三相同期発電機の並行運転に関する問題です。
系統へ接続する同期発電機はその負荷の状況や季節,点検等を踏まえ,発電機の台数がコントロールされます。
系統への並行運転を開始することを並列,発電機の遮断器を開放し並行運転をやめることを解列といいます。

1.同期発電機の並列条件
同期発電機の並列条件と調整方法は以下の5つです。電圧,周波数,位相の一致が必須であることを覚えておきましょう。
①電圧の大きさが等しいこと → 励磁電流を調整する。
②周波数が等しいこと    → 原動機の回転数を調整する。
③位相が等しいこと     → 同期検定器を使用し,位相が合った所で並列する。
④電圧の波形が等しいこと  → 回転子の回転速度を一定にする。
⑤相回転が等しいこと    → 発電機点検後に相回転方向を確認しておく。

【解答】

解答:(2)
(ア)
ワンポイント解説「1.同期発電機の並列条件」の通り,同期発電機を並列に接続するには起電力(電圧)の大きさが等しくないといけません。有効電力は系統並列してから徐々に増やしていくので,一致している必要はありません。

(イ)
ワンポイント解説「1.同期発電機の並列条件」の通り,起電力の大きさを等しくするには界磁電流を調整する必要があります。同期機の\( \ \mathrm {V} \ \)曲線の特性は覚えておくようにして下さい。

(ウ)
ワンポイント解説「1.同期発電機の並列条件」の通り,位相を一致させないと同期することができませんので,同期発電機\( \ \mathrm {B} \ \)の回転速度を調整し,位相が系統の位相と合うように調整します。

(エ)
ワンポイント解説「1.同期発電機の並列条件」の通り,位相が一致しているかどうかの確認には同期検定器を使用します。

(オ)
電圧の大きさが大きく異なると,両発電機間には大きな無効横流が循環します。これは発電機\( \ \mathrm {A} \ \)と発電機\( \ \mathrm {B} \ \)を同期インピーダンスによるものなので無効電流となります。