《理論》〈電磁気〉[H19:問3]電気力線の特徴からの未知の電荷の導出に関する計算問題

【問題】

【難易度】★☆☆☆☆(易しい)

図1に示すように,誘電率\( \ \varepsilon _{0} \ \mathrm {[F / m]} \ \)の真空中に置かれた静止した二つの電荷\( \ \mathrm {A} \ \mathrm {[C]} \ \)及び\( \ \mathrm {B} \ \mathrm {[C]} \ \)があり,図中にその周囲の電気力線が描かれている。電荷\( \ \mathrm {A}=16\varepsilon _{0} \ \mathrm {[C]} \ \)であるとき,電荷\( \ \mathrm {B} \ \mathrm {[C]} \ \)の値として,正しいのは次のうちどれか。

 (1) \( \ 16\varepsilon _{0} \ \mathrm {[C]} \ \)  (2) \( \ 8\varepsilon _{0} \ \mathrm {[C]} \ \)  (3) \( \ -4\varepsilon _{0} \ \mathrm {[C]} \ \) 
 (4) \( \ -8\varepsilon _{0} \ \mathrm {[C]} \ \)  (5) \( \ -16\varepsilon _{0} \ \mathrm {[C]} \ \)  

【ワンポイント解説】

電気力線の特徴に関する問題です。
本問のポイントは電気力線の本数と出ているか入っているかです。そこに注目して解くようにして下さい。

1.電気力線の特徴
電気力線は正電荷から負電荷に向かう仮想の線で,以下のような特徴があります。言葉ではなく図で覚えておいて,内容を理解した方が良いと思います。
①電気力線の本数は電荷\( \ Q \ \mathrm {[C]} \ \),誘電率\( \ \varepsilon \ \mathrm {[F/m]} \ \)を用いると,\( \ \displaystyle \frac {Q}{\varepsilon } \ \)本である。
②電気力線は正電荷から垂直に出て,負電荷に垂直に入る。
③電気力線同士は反発し合う。
④電気力線は枝分かれしたり,交差したりしない。
⑤電気力線の向きは電界の向きと一致し,電気力線の密度は電界の大きさに比例する。

【解答】

解答:(4)
問題図より電気力線は導体球\( \ \mathrm {A} \ \)から出ており,導体球\( \ \mathrm {B} \ \)に一部が入っているため,ワンポイント解説「1.電気力線の特徴」の通り,\( \ \mathrm {B} <0 \ \)となる。

また,ワンポイント解説「1.電気力線の特徴」の通り,電気力線の本数は導体球の電気量に比例する。よって,電気量\( \ \mathrm {A}=16\varepsilon _{0} \ \mathrm {[C]} \ \)の導体球\( \ \mathrm {A} \ \)から出ている電気力線の本数が\( \ 16 \ \)本であり,導体球\( \ \mathrm {B} \ \)に入る電気力線の本数が\( \ 8 \ \)本であるため,導体球\( \ \mathrm {B} \ \)の電気量は導体球\( \ \mathrm {A} \ \)の半分となる。

以上から,\( \ \mathrm {B}=-8\varepsilon _{0} \ \mathrm {[C]} \ \)と求められる。