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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
\(R=10 \ \Omega \)の抵抗と誘導性リアクタンス\(X \ [ \Omega ] \)のコイルとを直列に接続し,\(100 \ \mathrm {V}\)の交流電源に接続した交流回路がある。いま,回路に流れる電流の値は\(I=5 \ \mathrm {A}\)であった。このとき,回路の有効電力\(P\)の値\(\mathrm {[ W ]} \)として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) \(250\) (2) \(289\) (3) \(425\) (4) \(500\) (5) \(577\)
【ワンポイント解説】
交流回路において,抵抗\(R\)とコイル等の誘導性リアクタンス\(X_{\mathrm {L}}\),コンデンサ等の容量性リアクタンス\(X_{\mathrm {C}}\)の特性は非常に重要な内容です。下記の特性についてはよく理解しておきましょう。
1.交流回路における各インピーダンスの諸特性
①抵抗\(R\)
電圧\(V\)と電流\(I\)の位相差はなく,
\[
I=\frac {V}{R}
\]
となります。
②コイル\(X_{\mathrm {L}}=\omega L\)
電流\(I\)は電圧\(V\)から\(\displaystyle \frac {\pi }{2} [\mathrm {rad}]\)遅れ,
\[
I=\frac {V}{X_{\mathrm {L}}}=\frac {V}{\omega L}
\]
となります。
③コンデンサ\(\displaystyle X_{\mathrm {C}}=\frac {1}{\omega C}\)
電流\(I\)は電圧\(V\)から\(\displaystyle \frac {\pi }{2} [\mathrm {rad}]\)進み,
\[
I=\frac {V}{X_{\mathrm {C}}}=\omega CV
\]
となります。
【解答】
解答:(1)
題意に沿って,回路図を描くと図2のようになり,さらに各インピーダンスの特性に注意してベクトル図を描くと図3のようになる。
図3より,
\[
E=\sqrt {\left( RI \right) ^{2} +\left( XI \right) ^{2}}
\]
となるから,各値を代入して整理すると,
\[
\begin{eqnarray}
E&=&\sqrt {\left( RI \right) ^{2} +\left( XI \right) ^{2}} \\[ 5pt ]
E^{2}&=&\left( RI \right) ^{2} +\left( XI \right) ^{2} \\[ 5pt ]
100^{2}&=&\left( 10\times 5 \right) ^{2} +\left( X\times 5 \right) ^{2} \\[ 5pt ]
10000&=&2500 +25X^{2} \\[ 5pt ]
25X^{2}&=&7500 \\[ 5pt ]
X^{2}&=&300 \\[ 5pt ]
X&=&10\sqrt {3} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となる。よって,\(RI:XI=1:\sqrt {3}\)となるので,\(\displaystyle \theta =\frac {\pi}{3}\)となる。
したがって,回路の有効電力\(P\)は,
\[
\begin{eqnarray}
P&=&EI\cos \theta \\[ 5pt ]
&=&100 \times 5 \times \cos \frac {\pi}{3} \\[ 5pt ]
&=&250 \mathrm {[W]}
\end{eqnarray}
\]
と求められる。
【別解】
回路で消費される有効電力は抵抗で消費される電力であるから,
\[
\begin{eqnarray}
P&=&RI^{2} \\[ 5pt ]
&=&10\times 5^{2} \\[ 5pt ]
&=&250 \mathrm {[W]}
\end{eqnarray}
\]
と求められる。
※こちらの方がエレガントな解き方と言えますが,本ページではリアクタンスの諸特性についても説明したかったので,敢えてベクトル図を描いて解いています。