《理論》〈電気及び電子計測〉[R4上:問14]電気に関する物理量の測定方法に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,電気計測に関する記述である。

電気に関する物理量の測定に用いる方法には各種あるが,指示計器のように測定量を指針の振れの大きさに変えて,その指示から測定量を知る方法を\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)法という。これに比較して精密な測定を行う場合に用いられている\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)法は,測定量と同種類で大きさを調整できる既知量を別に用意し,既知量を測定量に平衡させて,そのときの既知量の大きさから測定量を知る方法である。

\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)法を用いた測定器の例としては,\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)がある。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\[
\begin{array}{cccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) \\
\hline
(1) &  偏位  &  零位  &  ホイートストンブリッジ  \\
\hline
(2) &  間接  &  差動  &  誘導形電力量計  \\
\hline
(3) &  間接  &  零位  &  ホイートストンブリッジ  \\
\hline
(4) &  偏位  &  差動  &  誘導形電力量計  \\
\hline
(5) &  偏位  &  零位  &  誘導形電力量計  \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

測定器に関する問題です。
測定法には大きく分けて指示計器の指針の振れにより測定する偏位法と既知量と測定量を平衡させて求める零位法があります。
電気ではありませんが,一番イメージしやすいのは量りを用いた重量測定(偏位法)と上皿天秤を用いた重量測定(零位法)かと思います。

1.直流ブリッジの平衡条件(零位法の例)
直流ブリッジ回路は抵抗の抵抗値を求める方法であり,ホイートストンブリッジと呼ばれます。
図1の回路において,検出器\( \ Ⓓ \ \)に電流が流れない条件を平衡条件と言い,
\[
\begin{eqnarray}
R_{1}R_{4} &=& R_{2}R_{3} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] の関係があります。したがって,3つの既知の抵抗があれば,残りの1つの抵抗値を求めることができます。

2.電流力計形計器(偏位法の例)
図2のように三つのコイルを配置し,中央のコイルを可動式にし,両端のコイルを固定式にします。
それぞれのコイルには右ねじの法則により磁界が発生し磁化されますが,可動コイルだけ電流を逆向きに流すことにより,それぞれに反発力が生まれます。
反発力の大きさが測定する電流の大きさに比例するので,図3のように可動コイルに指針をつけ軸で回転させることにより,電流の大きさや負荷電力の大きさを測定することが可能となります。また,電流がなくなった場合に元の位置に戻るように渦巻ばねが設けられています。
逆向きに流れてもすべての\( \ \mathrm {N} \ \)極と\( \ \mathrm {S} \ \)極が反転し同様の反発力が発生するため,直流・交流ともに測定可能となります。

【解答】

解答:(1)
(ア)
ワンポイント解説の通り,指示計器のように測定量を指針の振れの大きさに変えて,その指示から測定量を知る方法を偏位法といいます。
測定結果が気温等の環境によりわずかにずれたり,時間とともに誤差が増大していく可能性があるため,定期的に校正を行います。

(イ)
ワンポイント解説の通り,測定量と同種類で大きさを調整できる既知量を別に用意し,既知量を測定量に平衡させて,そのときの既知量の大きさから測定量を知る方法を零位法といいます。
精密な測定を行う場合にはこちらを採用します。

(ウ)
ワンポイント解説「1.直流ブリッジの平衡条件(零位法の例)」の通り,零位法を用いた測定器の例としてホイートストンブリッジがあります。