《理論》〈電子理論〉[R07下:問12]電界中の電子に加わる力に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

図のように,真空中に電極間隔\( \ d \ \mathrm {[m]} \ \)の平行板電極があり,陰極板上に電子を置いた。陽極板に電圧\( \ V \ \mathrm {[V]} \ \)を加えたとき,この電子に加わる力\( \ F \ \mathrm {[N]} \ \)の式として,正しいのは次のうちどれか。

ただし,電子の質量を\( \ m \ \mathrm {[kg]} \ \),電気素量を\( \ e \ \mathrm {[C]} \ \)とする。また,電極板の端効果は無視できるものとする。

 (1) \( \ \displaystyle \frac {V}{d}e \ \)  (2) \( \ \displaystyle \frac {V}{d^{2}}e \ \)  (3) \( \ \displaystyle \frac {V}{d^{2}}\frac {m}{e} \ \)  (4) \( \ \displaystyle \frac {V}{d^{2}}em \ \)  (5) \( \ \displaystyle \frac {V^{2}}{d}e \ \)

【ワンポイント解説】

電界中の電子の運動に関する問題です。
電磁気の公式を活用し電子の運動を考える,真空電子の運動の中ではテキストで一番最初に解説されやすい内容です。
ただし,フレミングの左手を活用してしまう等難易度の割に正答率が低くなりやすい問題なので,確実に得点し他の受験生と差をつけるようにして下さい。
本問は平成15年問11からの再出題となります。

1.電界中の電子の運動
図1のように,極板間距離\( \ d \ \mathrm {[m]} \ \)の電極間に電圧\( \ V \ \mathrm {[V]} \ \)を加えたときの電子の運動を考えます。
まず,負極側にある電子について考えます。最初,電子の速度が零であるとすると,電子が受ける力\( \ F \ \mathrm {[N]} \ \)は電界の大きさに比例し,極板内の電界が\( \ \displaystyle E=\frac {V}{d} \ \mathrm {[V/m]} \ \)であることから,
\[
\begin{eqnarray}
F&=&eE \\[ 5pt ] &=&\frac {eV}{d} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。物体の運動方程式より,電子の質量\( \ m \ \mathrm {[kg]} \ \),加速度\( \ a \ \mathrm {[m/s^{2}]} \ \)とすると,\( \ F=ma \ \)の関係があるので,
\[
\begin{eqnarray}
a&=&\frac {F}{m} \\[ 5pt ] &=&\frac {eV}{md} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] で加速されます。したがって,電子の加速度\( \ a \ \mathrm {[m/s^{2}]} \ \)は電圧\( \ V \ \mathrm {[V]} \ \)に比例することが分かります。

次に,電子が距離\( \ d \ \mathrm {[m]} \ \)動き,反対側の電極に到達したときの電子の速度\( \ v \ \mathrm {[m/s]} \ \)を考えます。負極での電子の位置エネルギーは\( \ W=eV \ \mathrm {[J]} \ \)であり,電子が正極に到達したときの運動エネルギーが\( \ \displaystyle W=\frac {1}{2}mv^{2} \ \mathrm {[J]} \ \)なので,エネルギー保存の法則により位置エネルギーがすべて運動エネルギーになったとすると,
\[
\begin{eqnarray}
eV&=&\frac {1}{2}mv^{2} \\[ 5pt ] v^{2}&=&\frac {2eV}{m} \\[ 5pt ] v&=&\sqrt {\frac {2eV}{m}} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] になります。

【解答】

解答:(1)
電子に加わる電界\( \ E \ \mathrm {[V/m]} \ \)は,ワンポイント解説「1.電界中の電子の運動」の通り,
\[
\begin{eqnarray}
E&=&\frac {V}{d} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] であるので,電子に加わる力\( \ F \ \mathrm {[N]} \ \)は,ワンポイント解説「1.電界中の電子の運動」の通り,
\[
\begin{eqnarray}
F&=&eE \\[ 5pt ] &=&\frac {V}{d}e \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。