《電力》〈送電〉[H30:問6]保護リレーの動作と保護協調に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,保護リレーに関する記述である。

電力系統において,短絡事故や地絡事故が発生した場合,事故区間は速やかに系統から切り離される。このとき,保護リレーで異常を検出し,\(\fbox {  (ア)  }\)を動作させる。架空送電線は特に距離が長く,事故発生件数も多い。架空送電線の事故の多くは\(\fbox {  (イ)  }\)による気中フラッシオーバに起因するため,事故区間を高速に遮断し,フラッシオーバを消滅させれば,絶縁は回復し,架空送電線は通電可能な状態となる。このため,事故区間の遮断の後,一定時間(長くて1分程度)を経て,\(\fbox {  (ウ)  }\)が行われる。一般に,主保護の異常に備え,\(\fbox {  (エ)  }\)保護が用意されており,動作の確実性を期している。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{ccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) \\
\hline
(1) & 遮断器 & 落雷 & 保守 & 常備 \\
\hline
(2) & 断路器 & 落雪 & 再閉路 & 常備 \\
\hline
(3) & 変圧器 & 落雷 & 点検 & 後備 \\
\hline
(4) & 断路器 & 落雪 & 点検 & 後備 \\
\hline
(5) & 遮断器 & 落雷 & 再閉路 & 後備 \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

リレーの考えの基本となる内容です。架空送電線は地中送電線より落雷等設備外からの要因による事故が多いので,本問のような再閉路方式が採用されます。事故のほとんどは落雷の一時的な影響であるため,一旦事故区間を切り離せば再閉路後送電線は元通り使用することができます。

【解答】

解答:(5)
(ア)
送電線の事故区間を切り離すのは遮断器で,断路器には事故電流を遮断する能力はありません。変圧器は電圧の上げ下げを実施するので事故遮断の設備は備えていません。

(イ)
冬季の日本海側や北日本では落雪によるスリートジャンプ等もありますが,架空送電線の事故の多くは落雷によるものです。

(ウ)
落雷によるフラッシオーバは,文中にある通り,フラッシオーバを消滅させれば,絶縁は回復し,架空送電線は通電可能な状態となります。したがって,事故区間の保守や点検は不要で,一定時間を経て再閉路が行われます。

(エ)
一般に送電線のリレーは主保護が動作しなかった場合の後備保護が用意されて,動作を確実なものとするようにしています。