《法規》〈電気設備技術基準〉[R2:問7]引込線における用語の定義に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,「電気設備技術基準」及び「電気設備技術基準の解釈」に基づく引込線に関する記述である。

a) 引込線とは,\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)及び需要場所の造営物の側面等に施設する電線であって,当該需要場所の\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)に至るもの

b) \( \ \fbox {  (ア)  } \ \)とは,架空電線路の支持物から\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)を経ずに需要場所の\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)に至る架空電線

c) \( \ \fbox {  (オ)  } \ \)とは,引込線のうち一需要場所の引込線から分岐して,支持物を経ないで他の需要場所の\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)に至る部分の電線

上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{cccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) \\
\hline
(1) & 架空引込線 & 引込口 & 他の需要場所 & 取付け点 & 連接引込線 \\
\hline
(2) & 連接引込線 & 引込口 & 他の需要場所 & 取付け点 & 架空引込線 \\
\hline
(3) & 架空引込線 & 引込口 & 他の支持物 & 取付け点 & 連接引込線 \\
\hline
(4) & 連接引込線 & 取付け点 & 他の需要場所 & 引込口 & 架空引込線 \\
\hline
(5) & 架空引込線 & 取付け点 & 他の支持物 & 引込口 & 連接引込線 \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

電気設備に関する技術基準を定める省令第1条及び電気設備の技術基準の解釈第1条からの出題です。
用語の定義は非常に出題頻度が高く,他の条文を理解する上でもとても役に立つので,確実に全文をおさえておきましょう。

【解答】

解答:(3)
(ア)
電気設備の技術基準の解釈第1条第1項第9号及び第10号の通り,「架空引込線」となります。

(イ)
電気設備に関する技術基準を定める省令第1条第1項第16号,電気設備の技術基準の解釈第1条第1項第9号及び第10号の通り,「引込口」となります。

(ウ)
電気設備の技術基準の解釈第1条第1項第9号の通り,「他の支持物」となります。

(エ)
電気設備の技術基準の解釈第1条第1項第9号の通り,「取付け点」となります。

(オ)
電気設備に関する技術基準を定める省令第1条第1項第16号の通り,「連接引込線」となります。

<電気設備に関する技術基準を定める省令第1条>
この省令において、次の各号に掲げる用語の定義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 「電路」とは、通常の使用状態で電気が通じているところをいう。

二 「電気機械器具」とは、電路を構成する機械器具をいう。

三 「発電所」とは、発電機、原動機、燃料電池、太陽電池その他の機械器具(電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第三十八条第二項に規定する小出力発電設備、非常用予備電源を得る目的で施設するもの及び電気用品安全法の適用を受ける携帯用発電機を除く。)を施設して電気を発生させる所をいう。

四 「変電所」とは、構外から伝送される電気を構内に施設した変圧器、回転変流機、整流器その他の電気機械器具により変成する所であって、変成した電気をさらに構外に伝送するものをいう。

五 「開閉所」とは、構内に施設した開閉器その他の装置により電路を開閉する所であって、発電所、変電所及び需要場所以外のものをいう。

六 「電線」とは、強電流電気の伝送に使用する電気導体、絶縁物で被覆した電気導体又は絶縁物で被覆した上を保護被覆で保護した電気導体をいう。

七 「電車線」とは、電気機関車及び電車にその動力用の電気を供給するために使用する接触電線及び鋼索鉄道の車両内の信号装置、照明装置等に電気を供給するために使用する接触電線をいう。

八 「電線路」とは、発電所、変電所、開閉所及びこれらに類する場所並びに電気使用場所相互間の電線(電車線を除く。)並びにこれを支持し、又は保蔵する工作物をいう。

九 「電車線路」とは、電車線及びこれを支持する工作物をいう。

十 「調相設備」とは、無効電力を調整する電気機械器具をいう。

十一 「弱電流電線」とは、弱電流電気の伝送に使用する電気導体、絶縁物で被覆した電気導体又は絶縁物で被覆した上を保護被覆で保護した電気導体をいう。

十二 「弱電流電線路」とは、弱電流電線及びこれを支持し、又は保蔵する工作物(造営物の屋内又は屋側に施設するものを除く。)をいう。

十三 「光ファイバケーブル」とは、光信号の伝送に使用する伝送媒体であって、保護被覆で保護したものをいう。

十四 「光ファイバケーブル線路」とは、光ファイバケーブル及びこれを支持し、又は保蔵する工作物(造営物の屋内又は屋側に施設するものを除く。)をいう。

十五 「支持物」とは、木柱、鉄柱、鉄筋コンクリート柱及び鉄塔並びにこれらに類する工作物であって、電線又は弱電流電線若しくは光ファイバケーブルを支持することを主たる目的とするものをいう。

十六 「(オ)連接引込線」とは、一需要場所の引込線(架空電線路の支持物から他の支持物を経ないで需要場所の取付け点に至る架空電線(架空電線路の電線をいう。以下同じ。)及び需要場所の造営物(土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱又は壁を有する工作物をいう。以下同じ。)の側面等に施設する電線であって、当該需要場所の引込口に至るものをいう。)から分岐して、支持物を経ないで他の需要場所の(イ)引込口に至る部分の電線をいう。

十七 「配線」とは、電気使用場所において施設する電線(電気機械器具内の電線及び電線路の電線を除く。)をいう。

十八 「電力貯蔵装置」とは、電力を貯蔵する電気機械器具をいう。

<電気設備の技術基準の解釈第1条>
この解釈において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号による。

一 使用電圧(公称電圧) 電路を代表する線間電圧

二 最大使用電圧 次のいずれかの方法により求めた、通常の使用状態において電路に加わる最大の線間電圧

 イ 使用電圧が、電気学会電気規格調査会標準規格 JEC-0222-2009「標準電圧」の「3.1 公称電圧が1,000Vを超える電線路の公称電圧及び最高電圧」又は「3.2 公称電圧が1,000V以下の電線路の公称電圧」に規定される公称電圧に等しい電路においては、使用電圧に、1-1表に規定する係数を乗じた電圧

               1-1表
\[
\begin{array}{|c|c|}
\hline
 使用電圧の区分  &  係数  \\
\hline
 1,000 \ \mathrm {V} \ 以下  &  1.15  \\
\hline
 1,000 \ \mathrm {V} \ を超え500,000 \ \mathrm {V} \ 未満  &  1.15/1.1  \\
\hline
 500,000 \ \mathrm {V} \   &  1.05、1.1又は1.2  \\
\hline
 1,000,000 \ \mathrm {V} \   &  1.1  \\
\hline
\end{array}
\]  ロ イに規定する以外の電路においては、電路の電源となる機器の定格電圧(電源となる機器が変圧器である場合は、当該変圧器の最大タップ電圧とし、電源が複数ある場合は、それらの電源の定格電圧のうち最大のもの)

 ハ 計算又は実績により、イ又はロの規定により求めた電圧を上回ることが想定される場合は、その想定される電圧

三 技術員 設備の運転又は管理に必要な知識及び技能を有する者

四 電気使用場所 電気を使用するための電気設備を施設した、1の建物又は1の単位をなす場所

五 需要場所 電気使用場所を含む1の構内又はこれに準ずる区域であって、発電所、変電所及び開閉所以外のもの

六 変電所に準ずる場所 需要場所において高圧又は特別高圧の電気を受電し、変圧器その他の電気機械器具により電気を変成する場所

七 開閉所に準ずる場所 需要場所において高圧又は特別高圧の電気を受電し、開閉器その他の装置により電路の開閉をする場所であって、変電所に準ずる場所以外のもの

八 電車線等 電車線並びにこれと電気的に接続するちょう架線、ブラケット及びスパン線

九 (ア)架空引込線 架空電線路の支持物から(ウ)他の支持物を経ずに需要場所の(エ)取付け点に至る架空電線

十 引込線 (ア)架空引込線及び需要場所の造営物の側面等に施設する電線であって、当該需要場所の(イ)引込口に至るもの

十一 屋内配線 屋内の電気使用場所において、固定して施設する電線(電気機械器具内の電線、管灯回路の配線、エックス線管回路の配線、第142条第七号に規定する接触電線、第181条第1項に規定する小勢力回路の電線、第182条に規定する出退表示灯回路の電線、第183条に規定する特別低電圧照明回路の電線及び電線路の電線を除く。)

十二 屋側配線 屋外の電気使用場所において、当該電気使用場所における電気の使用を目的として、造営物に固定して施設する電線(電気機械器具内の電線、管灯回路の配線、第142条第七号に規定する接触電線、第181条第1項に規定する小勢力回路の電線、第182条に規定する出退表示灯回路の電線及び電線路の電線を除く。)

十三 屋外配線 屋外の電気使用場所において、当該電気使用場所における電気の使用を目的として、固定して施設する電線(屋側配線、電気機械器具内の電線、管灯回路の配線、第142条第七号に規定する接触電線、第181条第1項に規定する小勢力回路の電線、第182条に規定する出退表示灯回路の電線及び電線路の電線を除く。)

十四 管灯回路 放電灯用安定器又は放電灯用変圧器から放電管までの電路

十五 弱電流電線 弱電流電気の伝送に使用する電気導体、絶縁物で被覆した電気導体又は絶縁物で被覆した上を保護被覆で保護した電気導体(第181条第1項に規定する小勢力回路の電線又は第182条に規定する出退表示灯回路の電線を含む。)

十六 弱電流電線等 弱電流電線及び光ファイバケーブル

十七 弱電流電線路等 弱電流電線路及び光ファイバケーブル線路

十八 多心型電線 絶縁物で被覆した導体と絶縁物で被覆していない導体とからなる電線

十九 ちょう架用線 ケーブルをちょう架する金属線

二十 複合ケーブル 電線と弱電流電線とを束ねたものの上に保護被覆を施したケーブル

二十一 接近 一般的な接近している状態であって、並行する場合を含み、交差する場合及び同一支持物に施設される場合を除くもの

二十二 工作物 人により加工された全ての物体

二十三 造営物 工作物のうち、土地に定着するものであって、屋根及び柱又は壁を有するもの

二十四 建造物 造営物のうち、人が居住若しくは勤務し、又は頻繁に出入り若しくは来集するもの

二十五 道路 公道又は私道(横断歩道橋を除く。)

二十六 水気のある場所 水を扱う場所若しくは雨露にさらされる場所その他水滴が飛散する場所、又は常時水が漏出し若しくは結露する場所

二十七 湿気の多い場所 水蒸気が充満する場所又は湿度が著しく高い場所

二十八 乾燥した場所 湿気の多い場所及び水気のある場所以外の場所

二十九 点検できない隠ぺい場所 天井ふところ、壁内又はコンクリート床内等、工作物を破壊しなければ電気設備に接近し、又は電気設備を点検できない場所

三十 点検できる隠ぺい場所 点検口がある天井裏、戸棚又は押入れ等、容易に電気設備に接近し、又は電気設備を点検できる隠ぺい場所

三十一 展開した場所 点検できない隠ぺい場所及び点検できる隠ぺい場所以外の場所

三十二 難燃性 炎を当てても燃え広がらない性質

三十三 自消性のある難燃性 難燃性であって、炎を除くと自然に消える性質

三十四 不燃性 難燃性のうち、炎を当てても燃えない性質

三十五 耐火性 不燃性のうち、炎により加熱された状態においても著しく変形又は破壊しない性質

三十六 接触防護措置 次のいずれかに適合するように施設することをいう。

 イ 設備を、屋内にあっては床上2.3m以上、屋外にあっては地表上2.5m以上の高さに、かつ、人が通る場所から手を伸ばしても触れることのない範囲に施設すること。

 ロ 設備に人が接近又は接触しないよう、さく、へい等を設け、又は設備を金属管に収める等の防護措置を施すこと。

三十七 簡易接触防護措置 次のいずれかに適合するように施設することをいう。

 イ 設備を、屋内にあっては床上1.8m以上、屋外にあっては地表上2m以上の高さに、かつ、人が通る場所から容易に触れることのない範囲に施設すること。

 ロ 設備に人が接近又は接触しないよう、さく、へい等を設け、又は設備を金属管に収める等の防護措置を施すこと。

三十八 架渉線 架空電線、架空地線、ちょう架用線又は添架通信線等のもの