《機械》〈回転機〉[R4上:問6]ステッピングモータの特徴や用途に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

ステッピングモータに関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) ステッピングモータは,パルスが送られるたびに定められた角度を\( \ 1 \ \)ステップとして回転する。

(2) ステッピングモータは,送られてきたパルスの周波数に比例する回転速度で回転し,入力パルスを停止すれば回転子も停止する。

(3) ステッピングモータは,負荷に対して始動トルクが大きく,つねに入力パルスと同期して始動できるが,過大な負荷が加わると脱調・停止してしまう場合がある。

(4) ステッピングモータには,永久磁石形,可変リラクタンス形,ハイブリッド形などがある。永久磁石を用いない可変リラクタンス形ステッピングモータでは,無通電状態でも回転子位置を保持する力が働く特徴がある。

(5) ステッピングモータは,回転角度センサを用いなくても,\( \ 1 \ \)ステップごとの位置制御ができる特徴がある。プリンタやスキャナなどのコンピュータ周辺装置や,各種検査装置,製造装置など,様々な用途に利用されている。

【ワンポイント解説】

ステッピングモータに関する問題です。
その名の通り連続的に動くのではなくステップ状に位置が動くのでその利便性を利用して(5)の選択肢にあるような様々な用途に利用されています。
1種~3種まで含めて,数年に一回程度出題される内容です。3種では平成30年問7に出題されていますので,そちらも確認しておいて下さい。

1.ステッピングモータ
ステッピングモータは時計の針のようにパルス信号が送られる毎に定められたステップ角度(\( \ 0.72° \ \)や\( \ 1.8° \ \))を回転するモータで,パルスの周波数に比例する回転速度で回転します。
回転子の構造の違いで以下の\( \ 3 \ \)種類があります。

①可変リラクタンス形(\( \ \mathrm {VR} \ \)形)
回転子に歯車形の軟磁性体を用いたモータです。最も古くから利用されているステッピングモータで,固定子巻線で励磁され,それに回転子の歯が引き寄せられることによって回転します。

②パーマネントマグネット形(\( \ \mathrm {PM} \ \)形)
回転子に永久磁石を用いたモータです。回転子は歯車の代わりに永久磁石のN極とS極を交互に並べられたような構造をしています。回転子が磁化されていることによって磁束強度が増大されるため、トルク特性が向上します。

③ハイブリッド形(\( \ \mathrm {HB} \ \)形)
回転子の中央に円筒形の永久磁石を配置し,その両端を歯車状の鉄心で挟み込んだ構造をしています。パーマネントマグネット形よりも,ステップ分解能及びトルク性能に優れた特性を持ちます。

【解答】

解答:(4)
(1):正しい
ワンポイント解説「1.ステッピングモータ」の通り,ステッピングモータは,パルスが送られるたびに定められた角度を\( \ 1 \ \)ステップとして回転します。

(2):正しい
ワンポイント解説「1.ステッピングモータ」の通り,ステッピングモータは,送られてきたパルスの周波数に比例する回転速度で回転しますので,入力パルスを停止すれば回転子も停止することになります。

(3):正しい
ステッピングモータは始動トルクが大きく,常に入力パルスと同期して始動できますが,過大な負荷が加わると目的のステップを回転することができず脱調・停止してしまう可能性があります。

(4):誤り
ワンポイント解説「1.ステッピングモータ」の通り,永久磁石を用いない可変リラクタンス形ステッピングモータは,無通電状態では磁極を形成することができず,回転子位置を保持することはできません。

(5):正しい
ワンポイント解説「1.ステッピングモータ」の通り,ステッピングモータはその特性から,プリンタやスキャナなどのコンピュータ周辺装置や,各種検査装置,製造装置など,様々な用途に利用されています。