《法規》〈電気関係報告規則〉[H22:問3]自家用電気工作物を設置する事業場の事故報告に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

「電気関係報告規則」に基づく,事故報告に関して,受電電圧\( \ 6 \ 600 \ \mathrm {[V]} \ \)の自家用電気工作物を設置する事業場における下記(1)から(5)の事故事例のうち,事故報告に該当しないものはどれか。

(1) 自家用電気工作物の破損事故に伴う構内\( \ 1 \ \)号柱の倒壊により道路をふさぎ,長時間の交通障害を起こした。

(2) 保修作業員が,作業中誤って分電盤内の低圧\( \ 200 \ \mathrm {[V]} \ \)の端子に触れて感電負傷し,治療のため\( \ 3 \ \)日間入院した。

(3) 電圧\( \ 100 \ \mathrm {[V]} \ \)の屋内配線の漏電により火災が発生し,建屋が全焼した。

(4) 従業員が,操作を誤って高圧の誘導電動機を損壊させた。

(5) 落雷により高圧負荷開閉器が破損し,電気事業者(現:一般送配電事業者)に供給支障を発生させたが,電気火災は発生せず,また,感電死傷者は出なかった。

【ワンポイント解説】

電気関係報告規則第3条からの出題です。
報告のポイントは重症(死亡又は入院),半焼以上,他の人に迷惑をかけたかどうかです。破損事故の報告は主要電気工作物に関しては必要で第4号に具体的に規定されていますが,電験ではあまり出題されていません。
第2項の事故報告の方法についても出題されやすいので覚えておきましょう。

【解答】

解答:(4)
(1)正しい
電気関係報告規則第3条第1項3号の通り,「道路をふさぎ,長時間の交通障害を起こした」ため,事故報告の対象となります。

(2)正しい
電気関係報告規則第3条第1項1号の通り,「治療のため\( \ 3 \ \)日間入院した」ため,事故報告の対象となります。

(3)正しい
電気関係報告規則第3条第1項2号の通り,「火災が発生し,建屋が全焼した」ため,事故報告の対象となります。

(4)誤り
電気関係報告規則第3条第1項3号の通り,「高圧の誘導電動機を損壊させた」だけでは,人身事故ではなく他の物件に損傷も与えていないので事故報告の対象となりません。

(5)正しい
電気関係報告規則第3条第1項3号の通り,「電気事業者に供給支障を発生させた」ため,事故報告の対象となります。

<電気関係報告規則第3条(抜粋)>
電気事業者(法第38条第4項各号に掲げる事業を営む者に限る。以下この条において同じ。)又は自家用電気工作物を設置する者は、電気事業者にあっては電気事業の用に供する電気工作物(原子力発電工作物を除く。以下この項において同じ。)に関して、自家用電気工作物を設置する者にあっては自家用電気工作物(鉄道営業法、軌道法又は鉄道事業法が適用され又は準用される自家用電気工作物であって、発電所、変電所又は送電線路(電気鉄道の専用敷地内に設置されるものを除く。)に属するもの(変電所の直流き電側設備又は交流き電側設備を除く。)以外のもの及び原子力発電工作物を除く。以下この項において同じ。)に関して、次に掲げる事故が発生したときは、電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長に報告しなければならない。この場合において、2以上の号に該当する事故であって報告先の欄に掲げる者が異なる事故は、経済産業大臣に報告しなければならない。

一 感電又は電気工作物の破損若しくは電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより人が死傷した事故((2)死亡又は病院若しくは診療所に入院した場合に限る。

二 電気火災事故(工作物にあっては、その(3)半焼以上の場合に限る。

三 電気工作物の破損又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより、(1)(4)(5)他の物件に損傷を与え、又はその機能の全部又は一部を損なわせた事故

2 前項の規定による報告は、事故の発生を知つた時から24時間以内可能な限り速やかに事故の発生の日時及び場所、事故が発生した電気工作物並びに事故の概要について、電話等の方法により行うとともに、事故の発生を知つた日から起算して30日以内に様式第13の報告書を提出して行わなければならない。