《法規》〈電気設備技術基準〉[R2:問10]分散型電源の高圧連系時の系統連系用保護装置に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,「電気設備技術基準の解釈」に基づく分散型電源の高圧連系時の系統連系用保護装置に関する記述である。

高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合は,次により,異常時に分散型電源を自動的に解列するための装置を施設すること。

a) 次に掲げる異常を保護リレー等により検出し、分散型電源を自動的に解列すること。

 ① 分散型電源の異常又は故障

 ② 連系している電力系統の\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)

 ③ 分散型電源の単独運転

b) \( \ \fbox {  (イ)  } \ \)が運用する電力系統において再閉路が行われる場合は,当該再閉路時に,分散型電源が当該電力系統から解列されていること。

c) 「逆変換装置を用いて連系する場合」において,「逆潮流有りの場合」の保護リレー等は,次によること。

 表に規定する保護リレー等を受電点その他故障の検出が可能な場所に設置すること。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{cccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) \\
\hline
(1) & 短絡事故又は地絡事故 & 一般送配電事業者 & 欠相 \\
\hline
(2) & 短絡事故又は地絡事故 & 発電事業者 & 地絡過電圧 \\
\hline
(3) & 高低圧混触事故 & 一般送配電事業者 & 地絡過電圧 \\
\hline
(4) & 高低圧混触事故 & 発電事業者 & 欠相 \\
\hline
(5) & 短絡事故又は地絡事故 & 一般送配電事業者 & 地絡過電圧 \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

電気設備の技術基準の解釈第229条からの出題です。
難易度は標準的ですが,平成30年に第229条から出題され,近年毎年のように分散型電源から出題されていることから,しっかりと対策している受験生が多く正答率は高かったと予想されます。
今後も分散型電源に関する問題が出題されると思います。条文にして9ページぐらいで他と比べると短いので,確実に得点できるように準備しておきましょう。

【解答】

解答:(5)
(ア)
電気設備の技術基準の解釈第229条第1項第1号ロの通り,「短絡事故又は地絡事故」となります。

(イ)
電気設備の技術基準の解釈第229条第1項第2号の通り,「一般送配電事業者」となります。

(ウ)
電気設備の技術基準の解釈第229条第1項229-1表の通り,「地絡過電圧リレー」となります。

<電気設備の技術基準の解釈第229条>
高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合は、次の各号により、異常時に分散型電源を自動的に解列するための装置を施設すること。

一 次に掲げる異常を保護リレー等により検出し、分散型電源を自動的に解列すること。

 イ 分散型電源の異常又は故障

 ロ 連系している電力系統の(ア)短絡事故又は地絡事故

 ハ 分散型電源の単独運転

二 (イ)一般送配電事業者が運用する電力系統において再閉路が行われる場合は、当該再閉路時に、分散型電源が当該電力系統から解列されていること。

三 保護リレー等は、次によること。

 イ 229-1表に規定する保護リレー等を受電点その他故障の検出が可能な場所に設置すること。

※1:分散型電源自体の保護用に設置するリレーにより検出し、保護できる場合は省略できる。

※2:発電電圧異常低下検出用の不足電圧リレーにより検出し、保護できる場合は省略できる。

※3:構内低圧線に連系する場合であって、分散型電源の出力が受電電力に比べて極めて小さく、単独運転検出装置等により高速に単独運転を検出し、分散型電源を停止又は解列する場合又は地絡方向継電装置付き高圧交流負荷開閉器から、零相電圧を地絡過電圧リレーに取り込む場合は、省略できる。

※4:専用線と連系する場合は、省略できる。

※5:転送遮断装置は、分散型電源を連系している配電線の配電用変電所の遮断器の遮断信号を、電力保安通信線又は電気通信事業者の専用回線で伝送し、分散型電源を解列することのできるものであること。

※6:単独運転検出装置は、能動的方式を1方式以上含むものであって、次の全てを満たすものであること。

(1) 系統のインピーダンスや負荷の状態等を考慮し、必要な時間内に確実に検出することができること。

(2) 頻繁な不要解列を生じさせない検出感度であること。

(3) 能動信号は、系統への影響が実態上問題とならないものであること。

※7:専用線による連系であって、逆電力リレーにより単独運転を高速に検出し、保護できる場合は省略できる。

※8:構内低圧線に連系する場合であって、分散型電源の出力が受電電力に比べて極めて小さく、受動的方式及び能動的方式のそれぞれ1方式以上を含む単独運転検出装置等により高速に単独運転を検出し、分散型電源を停止又は解列する場合は省略できる。

※9:誘導発電機を用いる場合は、設置すること。発電電圧異常低下検出用の不足電圧リレーにより検出し、保護できる場合は省略できる。

※10:同期発電機を用いる場合は、設置すること。

※11:発電機引出口に設置する地絡過電圧リレーにより、系統側地絡事故が検知できる場合又は地絡方向継電装置付き高圧交流負荷開閉器から、零相電圧を地絡過電圧リレーに取り込む場合は、省略できる。

※12:誘導発電機(二次励磁制御巻線形誘導発電機を除く。)を用いる、風力発電設備その他出力変動の大きい分散型電源において、周波数上昇リレー及び周波数低下リレーにより単独運転を高速かつ確実に検出し、保護できる場合は省略できる。

(備考)

1.○は、該当することを示す。

2.逆潮流無しの場合であっても、逆潮流有りの条件で保護リレー等を設置することができる。