【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
次の文章は,配電のスポットネットワーク\( \ \mathrm {\left( SNW \right) } \ \)方式の保護に関する記述である。文中の\( \ \fbox { (1) } \ \)から\( \ \fbox { (6) } \ \)までに当てはまる語句を解答群の中から選んで,その記号を記述用紙の解答欄に記入し,また,\( \ \fbox { (7) } \ \)から\( \ \fbox { (9) } \ \)に当てはまる数値(計算結果は有効数字\( \ 3 \ \)けたとする。)を記述用紙の解答欄に記入しなさい。
図に示す\( \ \mathrm { SNW } \ \)配電線において,\( \ 1 \ \)番線の受電点近傍の事故点\( \ \mathrm {A} \ \)で短絡事故が発生した場合,まず変電所の過電流リレーが動作し,事故回線の変電所遮断器が開放される。続いて\( \ \mathrm { SNW } \ \)受電設備において健全回線から事故点に向かって流れ込む電流を事故回線の\( \ \fbox { (1) } \ \)(図中の\( \ \mathrm {\left( a \right) } \ \))が検知し,\( \ \fbox { (2) } \ \)特性により当該回線のプロテクタ遮断器が開放されることで短絡事故点が切り離される。これにより,\( \ 2 \ \)番線・\( \ 3 \ \)番線からの受電を継続することが可能となる。短絡事故原因が解消された後,変電所遮断器が投入されると\( \ 1 \ \)番線が充電されるが,この際,\( \ 1 \ \)番線プロテクタ遮断器の主変圧器側の電圧がネットワーク母線側の電圧よりも\( \ \fbox { (3) } \ \),かつ,適正な位相にあるとき,この電圧差と位相角を検知して遮断器動作を行う特性が,\( \ \fbox { (4) } \ \)特性である。
また,図中の主変圧器二次側の事故点\( \ \mathrm {B} \ \)で短絡事故が発生した場合には,系統側短絡事故の場合と同様に,二次側ネットワーク母線から短絡事故点に流れ込む電流を\( \ \fbox { (1) } \ \)が検知することでプロテクタ遮断器が開放され,また系統側から短絡事故点に流れ込む電流により\( \ \fbox { (5) } \ \)(図中の\( \ \mathrm {\left( b \right) } \ \))が動作することで,短絡事故点の除去が完了する。\( \ \fbox { (1) } \ \),\( \ \fbox { (5) } \ \)及びプロテクタ遮断器は\( \ \mathrm { SNW } \ \)方式における保護方式の重要要素であり,これらを合わせて\( \ \fbox { (6) } \ \)と呼ぶ。
図中の主変圧器二次側の直近の事故点\( \ \mathrm {C} \ \)において三相短絡事故が発生した場合,事故点から見た\( \ 1 \ \)番線の系統側インピーダンスは\( \ 10 \ \mathrm {[MV\cdot A]} \ \)基準で\( \ \fbox { (7) } \ \mathrm {[%]} \ \),\( \ 1 \ \)番線主変圧器のインピーダンスは\( \ 10 \ \mathrm {[MV\cdot A]} \ \)基準で\( \ \fbox { (8) } \ \mathrm {[%]} \ \)であるので,変圧器一次側における短絡電流は\( \ \fbox { (9) } \ \mathrm {[A]} \ \)となるが,この値が変電所の過電流リレーの整定値と協調がとれない場合には,短絡事故点の除去ができないため,変圧器と\( \ \fbox { (5) } \ \)は極力近接して配置することが望ましい。
ただし,受電点電圧は\( \ 22 \ \mathrm {[kV]} \ \),受電点短絡容量は\( \ 1 \ 000 \ \mathrm {[MV\cdot A]} \ \),受電設備の主変圧器は変圧比\( \ 22 \ \mathrm {[kV]} / 415 \ \mathrm {[V]} \ \),容量\( \ 2 \ 000 \ \mathrm {[kV\cdot A]} \ \),\( \ %Z=7.5 \ \mathrm {[%]} \ \)とする。なお,主変圧器二次側のネットワーク母線,直列主回路機器のインピーダンスは無視でき,負荷からの電力供給は考慮しないものとする。
〔問6の\((1)\)から\((6)\)までの解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 無電圧投入 &(ロ)& 高 く &(ハ)& 電流差動リレー \\[ 5pt ]
&(ニ)& 過電流 &(ホ)& 差電圧投入 &(ヘ)& レギュラーネットワーク \\[ 5pt ]
&(ト)& 位相角投入 &(チ)& 逆電力遮断 &(リ)& ネットワークプロテクタ \\[ 5pt ]
&(ヌ)& 距離リレー &(ル)& 低 く &(ヲ)& ネットワークリレー \\[ 5pt ]
&(ワ)& 過電流リレー &(カ)& 遅 れ &(ヨ)& プロテクタヒューズ \\[ 5pt ]
&(タ)& 転送遮断 &(レ)& テイクオフ &(ソ)& カットアウトヒューズ \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
スポットネットワーク配電方式と事故時の短絡電流に関する問題です。
スポットネットワーク配電方式は電験でも特に出題されやすい分野で,本問の受験生の正答率も高かったと予想されます。
本問のような問題で確実に得点できるように日々勉強するようにして下さい。
1.スポットネットワーク配電方式
図1のように複数の配電線から複数の回線で供給する方式で,以下のような特徴があります。
・信頼性が高い
・常時稼働率を高めることができる
・電圧変動率が小さい
・負荷増設が容易
・ネットワーク母線に高信頼度が求められる
・プロテクタ遮断器でやや複雑なインタロック回路を構成する必要がある
2.ネットワークプロテクタの構成
ネットワークプロテクタは主に以下の機器で構成され,連携しています。
①プロテクタ遮断器
電流を迅速に遮断・投入する遮断器です。
②ネットワークリレー
電圧や電流の向きと大きさにより逆電力や無電圧を検知し,遮断器に信号を送ります。
③プロテクタヒューズ
幹線で短絡事故が起き,遮断器の容量を超えるような大電流が流れた場合に溶断します。
3.ネットワークプロテクタの特性
ネットワークプロテクタには以下の\( \ 3 \ \)つの特性があります。
①逆電力遮断特性
\( \ 1 \ \)回線が停電したときに,他の健全な回線からネットワーク母線を介して回り込み逆流するのを防止するため遮断する特性
②無電圧投入特性
配電線及びネットワーク母線がともに無電圧(停電)状態であるとき,配電側が先に復旧し,ネットワーク遮断器の変圧器側が充電されると投入する特性
③過電圧(差電圧)投入特性
\( \ 1 \ \)回線が停止し,遮断器が開放されている状態で変圧器の二次側が復旧されたとき,変圧器側からネットワーク母線側へ電流が流れる状態であるとき投入する特性
4.オーム法から百分率インピーダンス法への変換
基準容量を\( \ P_{\mathrm {n}} \ \mathrm {[V\cdot A]} \ \),基準電圧を\( \ V_{\mathrm {n}} \ \mathrm {[V]} \ \),基準電流を\( \ I_{\mathrm {n}} \ \mathrm {[A]} \ \)とすると,\( \ Z \ \mathrm {[\Omega ]} \ \)の百分率インピーダンス(パーセントインピーダンス)\( \ %Z \ \mathrm {[%]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
%Z&=&\frac {ZI_{\mathrm {n}}}{\displaystyle \frac {V_{\mathrm {n}}}{\sqrt {3}}}\times 100 (定義) \\[ 5pt ]
&=&\frac {\sqrt {3}ZI_{\mathrm {n}}}{V_{\mathrm {n}}}\times 100 \\[ 5pt ]
&=&\frac {\sqrt {3}ZV_{\mathrm {n}}I_{\mathrm {n}}}{V_{\mathrm {n}}^{2}}\times 100 \\[ 5pt ]
&=&\frac {P_{\mathrm {n}}Z}{V_{\mathrm {n}}^{2}}\times 100 (∵P_{\mathrm {n}}=\sqrt {3}V_{\mathrm {n}}I_{\mathrm {n}} ) \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となります。
5.百分率インピーダンスの容量換算
「4.オーム法から百分率インピーダンス法への変換」の通り,百分率インピーダンスは基準容量に比例します。したがって,基準容量\( \ P_{\mathrm {A}} \ \mathrm {[V\cdot A]} \ \)で\( \ %Z_{\mathrm {A}} \ \mathrm {[%]} \ \)のインピーダンスを\( \ P_{\mathrm {B}} \ \mathrm {[V\cdot A]} \ \)へ換算した百分率インピーダンス\( \ %{Z_{\mathrm {A}}}^{\prime } \ \mathrm {[%]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
%{Z_{\mathrm {A}}}^{\prime }&=&\frac {P_{\mathrm {B}}}{P_{\mathrm {A}}}%Z_{\mathrm {A}} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となります。
6.百分率インピーダンスによる短絡電流と短絡容量の計算
百分率インピーダンスを\( \ %Z \ \mathrm {[%]} \ \)とすると,三相短絡電流\( \ I_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[A]} \ \)は,基準電流\( \ I_{\mathrm {n}} \ \mathrm {[A]} \ \)を用いて,
\[
\begin{eqnarray}
I_{\mathrm {s}}&=&\frac {I_{\mathrm {n}}}{%Z/100} \\[ 5pt ]
&=&\frac {100I_{\mathrm {n}}}{%Z} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
で求められます。また,短絡容量\( \ P_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[V\cdot A]} \ \)は,基準容量\( \ P_{\mathrm {n}} \ \mathrm {[V\cdot A]} \ \)を用いて,
\[
\begin{eqnarray}
P_{\mathrm {s}}&=&\frac {100P_{\mathrm {n}}}{%Z} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
で求められます。
※百分率インピーダンスの定義式等を用いて\( \ \displaystyle I_{\mathrm {s}}=\frac {V_{\mathrm {n}}}{\sqrt {3}Z_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[\Omega ]}} \ \)から上式を求めることはできますが,試験時には暗記しておいた方が良いと思います。
\[
\begin{eqnarray}
I_{\mathrm {s}}&=&\frac {\displaystyle \frac {V_{\mathrm {n}}}{\sqrt {3}}}{Z_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[\Omega ]}} \\[ 5pt ]
&=&\frac {V_{\mathrm {n}}}{\sqrt {3}Z_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[\Omega ]}} \\[ 5pt ]
&=&\frac {V_{\mathrm {n}}I_{\mathrm {n}}}{\sqrt {3}Z_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[\Omega ]}I_{\mathrm {n}}} \\[ 5pt ]
&=&\frac {V_{\mathrm {n}}}{\sqrt {3}Z_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[\Omega ]}I_{\mathrm {n}}}\times I_{\mathrm {n}} \\[ 5pt ]
&=&\frac {V_{\mathrm {n}}}{\sqrt {3}Z_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[\Omega ]}I_{\mathrm {n}}\times 100}\times 100I_{\mathrm {n}} \\[ 5pt ]
&=&\frac {100I_{\mathrm {n}}}{%Z_{\mathrm {s}}} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【解答】
(1)解答:ヲ
題意より解答候補は,(ハ)電流差動リレー,(ヌ)距離リレー,(ヲ)ネットワークリレー,(ワ)過電流リレー,等になると思います。
ワンポイント解説「2.ネットワークプロテクタの構成」の通り,スポットネットワーク方式において,変電所の過電流リレーが動作し,事故回線の変電所遮断器が開放された後,ネットワークリレーが検知しプロテクタ遮断器が開放されます。
(2)解答:チ
題意より解答候補は,(チ)逆電力遮断,(タ)転送遮断,等になると思います。
ワンポイント解説「3.ネットワークプロテクタの特性」の通り,ネットワークプロテクタの特性としてあるのは逆電力遮断特性となります。
(3)解答:ロ
題意より解答候補は,(ロ)高く,(ル)低く,(カ)遅れ,になると思います。
ワンポイント解説「3.ネットワークプロテクタの特性」の通り,ネットワークプロテクタの特性としてあるのはプロテクタ遮断器の主変圧器側の電圧がネットワーク母線側の電圧よりも高く,変圧器側からネットワーク母線側へ電流が流れる状態であるとき投入する特性となります。
(4)解答:ホ
題意より解答候補は,(イ)無電圧投入,(ホ)差電圧投入,(ト)位相角投入,になると思います。
ワンポイント解説「3.ネットワークプロテクタの特性」の通り,ネットワークプロテクタの特性で,変圧器側からネットワーク母線側へ電流が流れる状態であるとき投入する特性を差電圧投入特性といいます。
(5)解答:ヨ
題意より解答候補は,(ヨ)プロテクタヒューズ,(ソ)カットアウトヒューズ,になると思います。
ワンポイント解説「2.ネットワークプロテクタの構成」の通り,系統側から短絡事故点に流れ込む電流により動作するのはプロテクタヒューズとなります。
(6)解答:リ
題意より解答候補は,(ヘ)レギュラーネットワーク,(リ)ネットワークプロテクタ,(レ)テイクオフ,になると思います。
ワンポイント解説「2.ネットワークプロテクタの構成」の通り,ネットワークリレー,プロテクタヒューズ及びプロテクタ遮断器を合わせてネットワークプロテクタと呼びます。
(7)解答:\( \ 1.00 \ \)
受電点短絡容量\( \ P_{s}=1 \ 000 \ \mathrm {[MV\cdot A]} \ \),基準容量\( \ P_{n}=10 \ \mathrm {[MV\cdot A]} \ \)なので,事故点から見た\( \ 1 \ \)番線の系統側インピーダンス\( \ %Z_{l} \ \mathrm {[%]} \ \)は,ワンポイント解説「6.百分率インピーダンスによる短絡電流と短絡容量の計算」の通り,
\[
\begin{eqnarray}
P_{s}&=&\frac {100P_{n}}{%Z_{l}} \\[ 5pt ]
%Z_{l}&=&\frac {100P_{n}}{P_{s}} \\[ 5pt ]
&=&\frac {100\times 10}{1 \ 000} \\[ 5pt ]
&=&1.00 \ \mathrm {[%]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
と求められる。
(8)解答:\( \ 37.5 \ \)
変圧器のインピーダンス\( \ %Z=7.5 \ \mathrm {[%]} \ \),変圧器の容量\( \ P_{t}=2 \ 000 \ \mathrm {[kV\cdot A]} \ \)なので,これを基準容量\( \ P_{n}=10 \ \mathrm {[MV\cdot A]} \ \)に換算したインピーダンス\( \ %Z_{t} \ \mathrm {[%]} \ \)は,ワンポイント解説「5.百分率インピーダンスの容量換算」の通り,
\[
\begin{eqnarray}
%Z_{t}&=&\frac {P_{n}}{P_{t}}%Z \\[ 5pt ]
&=&\frac {10\times 10^{6}}{2 \ 000\times 10^{3}}\times 7.5 \\[ 5pt ]
&=&37.5 \ \mathrm {[%]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
と求められる。
(9)解答:\( \ 682 \ \)
受電点電圧\( \ V_{n}=22 \ \mathrm {[kV]} \ \),基準容量\( \ P_{n}=10 \ \mathrm {[MV\cdot A]} \ \)なので,基準電流\( \ I_{n} \ \mathrm {[A]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
P_{n}&=&\sqrt {3}V_{n}I_{n} \\[ 5pt ]
I_{n}&=&\frac {P_{n}}{\sqrt {3}V_{n}} \\[ 5pt ]
&=&\frac {10\times 10^{6}}{\sqrt {3}\times 22\times 10^{3}} \\[ 5pt ]
&≒&262.43 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となり,事故点\( \ \mathrm {C} \ \)から系統側をみたインピーダンス\( \ %Z_{s} \ \mathrm {[%]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
%Z_{s}&=&%Z_{l}+%Z_{t} \\[ 5pt ]
&=&1.00+37.5 \\[ 5pt ]
&=&38.5 \ \mathrm {[%]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
なので,短絡電流\( \ I_{s} \ \mathrm {[A]} \ \)は,ワンポイント解説「6.百分率インピーダンスによる短絡電流と短絡容量の計算」の通り,
\[
\begin{eqnarray}
I_{s}&=&\frac {100I_{n}}{%Z_{s}} \\[ 5pt ]
&=&\frac {100\times 262.43}{38.5} \\[ 5pt ]
&≒&682 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
と求められる。














愛知県出身 愛称たけちゃん