《電力・管理》〈配電〉[H29:問5]無効電力及び静止型無効電力補償装置に関する計算・論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

無効電力及び静止型無効電力補償装置に関して,次の問に答えよ。

(1)有効消費電力が\( \ P \ \mathrm{[W]} \ \)(\( \ P>0 \ \)),力率が\( \ \cos \theta \ \)\( \ \displaystyle \left( \frac {\pi}{2} > \theta > -\frac {\pi}{2}\right) \ \)の単相負荷がある。電圧と電流は,ひずみのない正弦波とする。次のa及びbに答えよ。

a この単相負荷が消費する無効電力\( \ Q \ \mathrm{[var]} \ \)はいくらか。ただし,\( \ Q \ \)は,\( \ \theta \ \)が正のときに正とする。

b 静止型無効電力補償装置の運転制御においては,交流電力の値を1サイクルでの平均値としてではなく,瞬時値で考える必要がある。無効消費電力\( \ Q \ \)がゼロでないときには,負荷であるにもかかわらず,上記負荷の消費する瞬時電力が発電側(負)となる時間が1サイクルの期間内に一定の割合で発生する。皮相電力が同じでも無効電力があることによって有効消費電力が低下するのは,このことが理由である。電圧を\( \ v(t)=V\sin (\omega t) \ \mathrm{[V]} \ \),電流を\( \ i(t)=I\sin (\omega t-\theta ) \ \mathrm{[A]} \ \)としたとき,\( \ 1 \ \)サイクル(\( \ 2\pi >\omega t ≧ 0 \ \))の間で瞬時電力が発電側(負)となる時間を,\( \ \theta \ \)に応じた\( \ \omega t \ \)の範囲式として示せ。

(2)以下の文章は,静止型無効電力補償装置の種類及び動作に関する記述である。(イ)から(ヘ)の記号を付した空欄に当てはまる語句又は文章を,次の解答方法に従って答案用紙に記入せよ。
 解答方法  (イ),(ロ),(ハ),(ニ)及び(ホ):適切な語句を記入すること。
       (ヘ):適切な文章を記入すること。

a パワーエレクトロニクスを利用した静止型無効電力補償装置には,\( \ \fbox {  (イ)  } \ \),\( \ \mathrm {TSC} \ \),自励式\( \ \mathrm {SVC} \ \)がある。\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)は,サイリスタの位相制御によってリアクトル電流を制御して無効電力を\( \ \fbox {  (ロ)  } \ \)に調整する。リアクトル電流のみでは進み無効電力を発生できないので,\( \ \fbox {  (ハ)  } \ \)又は\( \ \mathrm {TSC} \ \)を並列に設置することがある。

b \( \ \mathrm {TSC} \ \)は,サイリスタによってコンデンサを\( \ \fbox {  (ニ)  } \ \)して無効電力を調整する。採用に当たっては,\( \ \fbox {  (ロ)  } \ \)に調整することはできないこと及び投入位相によっては,\( \ \fbox {  (ホ)  } \ \)が流れることを考慮しなければならない。

c 自励式\( \ \mathrm {SVC} \ \)は\( \ \mathrm {STATCOM} \ \)とも呼ばれ,自励式電力変換装置を用いて無効電力を発生し,又は吸収する。同期調相機と比較した場合,電力系統に並列運転をして無効電力を発生し,又は吸収する点は同じであるが,電気回路要素として両者は次の点で相異している。
\[
\fbox{$                (ヘ)             \hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$}
\]

【ワンポイント解説】

平成\( \ 29 \ \)年の論説問題の中では比較的取り組みやすい問題であると思います。(1)bが正の場合と負の場合があるのが,引っ掛け問題と言えそうです。

【解答】

(1)a 単相負荷が消費する無効電力\( \ Q \ \mathrm{[var]} \ \)
図1の通りベクトル図が描けるので,
\[
Q=P\tan \theta
\] と求められる。

(1)b 瞬時電力が発電側(負)となる時間
瞬時電力が発電側(負)となる時間とは,電圧と電流の位相が逆になる時間である。従って,電圧波形と電流波形を図2,図3のように描くと発電側となるのは,図の赤塗した部分である。
\[
\begin{eqnarray}
&& \theta >\omega t >0,\pi +\theta >\omega t >\pi   &(\theta ≧ 0 の時)& \\[ 5pt ] && \pi >\omega t >\pi +\theta ,2\pi >\omega t >2\pi +\theta   &(\theta < 0 の時)& \end{eqnarray} \]

(2)
イ:\( \ \mathrm {TCR} \ \)
ロ:連続的
ハ:コンデンサ
ニ:開閉
ホ:突入電流
ヘ:同期調相機は電圧源として動作するのに対して,自励式\( \ \mathrm {SVC} \ \)は電流源として動作する。



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