《法規》〈電気設備技術基準〉[H18:問4]電磁誘導電圧の制限値等に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

次の文章は,電磁誘導電圧の制限値等に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる語句又は数値を解答群の中から選び,その記号をマークシートに記入しなさい。

\( \ \mathrm {a.} \ \)特別高圧架空電線路の弱電流電線路に対する電磁誘導電圧の制限値は,弱電流電線路の管理者と協議のうえ決定することとしている。なお,わが国では,誘導調査特別委員会報告(電気学会・電子情報通信学会 平成5年11月)において次のように報告されている。
 「屋外作業などにおいて人間の胴体と電柱や通信線の吊線などとの接触部が\( \ \fbox {  (1)  } \ \)の通電経路にならないような設備上の絶縁対策を実施したうえで,故障電流が\( \ 0.06 \ \)秒以内に除去されるように維持されている\( \ \fbox {  (2)  } \ \)特別高圧架空電線路からの誘導電圧については,\( \ \fbox {  (3)  } \ \mathrm {[V]} \ \)を制限値とすることが適切である。」

\( \ \mathrm {b.} \ \)この電磁誘導電圧の計算式は,一般に竹内式あるいは深尾式を用いて計算し,特に必要があるときには,カーソンポラチェック算式を用いることで運用されている。また,この計算において,特別高圧架空電線路と弱電流電線路との\( \ \fbox {  (4)  } \ \)は,架空送電規程(\( \ \mathrm {JEAC6001} \ \))によると通常\( \ \fbox {  (5)  } \ \mathrm {[m]} \ \)までが影響範囲として計算される。

〔問4の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 短絡電流       &(ロ)& 一般の     &(ハ)& 特定な \\[ 5pt ] &(ニ)& 650     &(ホ)& 高安定     &(ヘ)& 300 \\[ 5pt ] &(ト)& 5 \ 000     &(チ)& 430       &(リ)& 並行長 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 誘導電流      &(ル)& 地絡電流     &(ヲ)& 1 \ 000 \\[ 5pt ] &(ワ)& 平均離隔距離     &(カ)& 3 \ 000       &(ヨ)& 水平距離 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

電気設備の技術基準の解釈の解説第52条に関する問題です。
送電線から通信線への電磁誘導障害とその制限値,および影響範囲の計算に関する内容で,実務的な深い知識が問われている厳しい問題と言えます。

1.電磁誘導電圧の制限値
送電線に地絡事故等が発生した際,通信線に発生する電磁誘導電圧の制限値は,事故遮断時間(故障電流の継続時間)などに応じて以下のように定められています。
\[
\begin{array}{|c|c|}
\hline
区分 & 制限値 \\
\hline
{\displaystyle 故障電流が \ 0.06 \ 秒以内に除去されるように維持}\atop {\displaystyle される高安定特別高圧架空電線路       } & 650 \ \mathrm {V} \\
\hline
{\displaystyle 使用電圧が \ 100 \ \mathrm {kV} \ 以上で,故障電流が \ 0.1 \ 秒}\atop {\displaystyle 以内に除去される特別高圧架空電線路   \   } & 430 \ \mathrm {V} \\
\hline
上記以外の特別高圧架空送電線路        & 300 \ \mathrm {V} \\
\hline
\end{array}
\]

【解答】

(1)解答:ヌ
電気設備の技術基準の解釈の解説第52条の通り,誘導電流となります。本空欄に関しては電磁誘導障害の原理から正答を導き出せると理想です。

(2)解答:ホ
電気設備の技術基準の解釈の解説第52条の通り,高安定となります。

(3)解答:ニ
電気設備の技術基準の解釈の解説第52条の通り,\( \ 650 \ \mathrm {[V]} \ \)となります。

(4)解答:ヨ
電気設備の技術基準の解釈の解説第52条の通り,水平距離となります。

(5)解答:ト
電気設備の技術基準の解釈の解説第52条の通り,\( \ 5 \ 000 \ \mathrm {[m]} \ \)となります。

<電気設備の技術基準の解釈の解説第52条(抜粋)>
\( \ \mathrm {1A} \ \)当たりの電磁誘導電圧の計算 現在,電磁誘導電圧の計算には,深尾氏の公式が用いられているが,Carson pollaczek の公式も参考として用いられる。深尾氏の公式は,次のとおりである(→解説52.2図)。
\[
\begin{eqnarray}
V&=&Kf\left\{ \Sigma \frac {l_{1}}{\displaystyle \frac {1}{2}\left( b_{1}+b_{2}\right) }+\Sigma \frac {l_{2}}{100}\right\} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] \( \ V \ \):通信線に誘導する電圧\( \ \mathrm {\left( V / A\right) } \ \)
\( \ f \ \):地絡電流の周波数\( \ \mathrm {\left( Hz\right) } \ \)
\( \ b_{1},b_{2} \ \):送電線と通信線との(4)水平距離\( \ \mathrm {\left( m\right) } \ \)(通常(5)\( \ \color {red}{\underline {5,000}} \ \)\( \mathrm {m} \ \)までが影響範囲として計算される。)
\( \ l_{1},l_{2} \ \):それぞれ\( \ b_{1},b_{2} \ \)間及び\( \ b_{2},b_{4} \ \)間の送電線路のこう長\( \ \mathrm {\left( m\right) } \ \)
\( \ K \ \):定数であって,富山県,長野県及び静岡県以東の各府県並びに北海道では,山地は\( \ 0.0005 \ \),平地は\( \ 0.00025 \ \)とし,前記以外の地方では,山地は\( \ 0.0008 \ \),平地は\( \ 0.0004 \ \)

電磁誘導電圧が何V以上となれば対策を必要とするかは,被害を受ける側と与える側で協議する問題であることから,本規定では許容値を示していない。
日本では,誘導調査特別委員会報告(電気学会・電子情報通信学会 平成5年11月)で,雨天時に心線を素手で掴み接続作業をするような状態で,手から胸部へ通電するような過酷な条件を考慮して,胴体の接触部が(1)誘導電流の経路とならない設備上の対策を実施したうえで,故障電流が確実に\( \ 0.06 \ \)秒以内となるよう維持される(2)高安定送電線からの誘導電圧に対しては,\( \ 650 \ \mathrm {V} \ \)を制限値とすることが適切であるとしている。
また,国際的には,\( \ \mathrm {ITU-T} \ \)(国際電気通信連合)が勧告(K.33 平成8年10月)を示しており,一般的には\( \ 2,000 \ \mathrm {V} \ \),保守管理作業の状況等が上記のような過酷な場合においては(3)\( \ \color {red}{\underline {650}} \ \)\(\mathrm {V} \ \)を制限値としているので参照されたい。



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