《電力》〈送電〉[H27:問8]架空送電線の脈動に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,架空送電線の脈動に関する記述である。

多導体の架空送電線において,風速が数~\(\mathrm {20 \ m/s}\)で発生し,\(\mathrm {10 \ m/s}\)を超えると脈動が激しくなることを\(\fbox {  (ア)  }\)振動という。

また,架空電線が,電線と直角方向に穏やかで一様な空気の流れを受けると,電線の背後に空気の渦が生じ,電線が上下に脈動を起こすことがある。この脈動を防止するために\(\fbox {  (イ)  }\)を取り付けて脈動エネルギーを吸収させることが効果的である。この脈動によって電線が断線しないように\(\fbox {  (ウ)  }\)が用いられている。

その他,架空送電線の脈動には,送電線に氷雪が付着した状態で強い風を受けたときに発生する\(\fbox {  (エ)  }\)や,送電線に付着した氷雪が落下したときにその反動で電線が跳ね上がる現象などがある。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

【ワンポイント解説】

電線の振動は何らかの原因で電線の固有振動数と一致すると発生する事象が多く,発生すると甚大な事故を発生させるおそれがあります。本問に出てくる振動は今後も再出題される可能性がある内容です。よく理解しておくようにして下さい。

1.電線の振動
電線が振動すると隣の電線と接触し,短絡事故が発生したり,振動による応力で,電線の損傷や破断等が発生する可能性があります。
①微風振動
 電線に対して直角に微風(数\(\mathrm {m/s}\))が当たると気流の流れにより電線の背後にカルマン渦が生じて上下の振動が発生します。電線が軽く,径間が長い場合に発生しやすくなります。

②サブスパン振動
 多導体の送電線のスペーサ間のことをサブスパンと言い,そこに風速\(\mathrm {10m/s}\)以上の風が吹くと電線背後にカルマン渦が発生し振動する現象です。

③ギャロッピング
 電線の表面に非対称な氷雪が付着し,風下側にカルマン渦が生じて振動します。振動数はサブスパン振動と同程度と言われています。

④スリートジャンプ
 電線に雪が積雪し,それが落ちる反動で振動する現象で,振幅が大きく短絡のリスクが高い現象です。

⑤コロナ振動
 雨が降っている時や霧が出ている時に発生しやすく,電線から水滴が離れる際にコロナ放電により,電線に反発力が生じて振動する現象です。

2.電線の振動対策
①ダンパの設置
 ダンパの設置により,振動エネルギーを吸収します。

②アーマロッドによる補強
 電線に巻き付ける物で,振動の吸収と電線の補強を行います。

③スペーサの設置
 多導体にスペーサを設置し,電線同士の接触を防止します。

④難着雪リングの取付
 電線からすべり落ちてきた雪をリング部で落下させることにより,氷雪の付着と成長を防止します。


出典:TDKテクノマガジンHP

【解答】

解答:(1)
(ア)
ワンポイント解説「1.電線の振動」の通り,多導体で発生しやすい振動はサブスパン振動です。

(イ)
架空送電線に穏やかで一様な空気の流れを受けると,カルマン渦により上下に振動する現象は微風振動です。ワンポイント解説「2.電線の振動対策」の通り,ダンパを設置することで防止する効果があります。

(ウ)
ワンポイント解説「2.電線の振動対策」の通り,電線が断線しないように補強するのはアーマロッドです。

(エ)
ワンポイント解説「1.電線の振動」の通り,氷雪が付着した状態で強い風を受けた時に発生するのはギャロッピングで,送電線に付着した氷雪が落下したときにその反動で電線が跳ね上がる現象はスリートジャンプです。