Contents
【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
定格出力\(200 \ \mathrm {MW}\)の石炭火力発電所がある。石炭の発熱量は\(28000 \ \mathrm {kJ/kg}\),定格出力時の発電端熱効率は\(36 \ %\)で,計算を簡単にするため潜熱の影響は無視するものとして,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,石炭の化学成分は重量比で炭素\(70 \ %\),水素他\(30 \ %\),炭素の原子量を\(12\),酸素の原子量を\(16\)とし,炭素の酸化反応は次のとおりとする。
\[
\mathrm {C + O_{2} → CO_{2}}
\]
(a) 定格出力にて1日運転したときに消費する燃料重量の値\(\mathrm {[t]}\)として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 222 (2) 410 (3) 1062 (4) 1714 (5) 2366
(b) 定格出力にて1日運転したときに発生する二酸化炭素の重量の値\(\mathrm {[t]}\)として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 327 (2) 1052 (3) 4399 (4) 5242 (5) 6285
【ワンポイント解説】
燃焼計算に関する問題は,単位の変換を丁寧に行うことが重要となります。\(1 \ \mathrm {[t]}=1000 \ \mathrm {[kg]}\),\(1 \ \mathrm {[MW]}=1000 \ \mathrm {[kW]}\),\(1 \ \mathrm {[W]} = 1 \ \mathrm {[J/s]}\)は知っていることが前提となっています。
【解答】
(a)解答:(4)
1日で消費する燃料を\(M \ \mathrm {[t]}\)とすると,1秒あたり消費する燃料は
\[
\begin{eqnarray}
\frac {1000M}{24\times 3600} \ \mathrm {kg /s }\\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
であるから,1秒あたりの発熱量\(Q\)は,
\[
\begin{eqnarray}
Q&=&28000\times \frac {1000M}{24\times 3600} \ \mathrm {kJ /s }\\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となる。よって,その発電量は発熱量に効率を掛けたものに等しいから,
\[
\begin{eqnarray}
200\times 10^{3}&=&28000\times \frac {1000M}{24\times 3600}\times 0.36\\[ 5pt ]
M&≒&1714.3 \ \mathrm {[t]}
\end{eqnarray}
\]
と求められる。
(b)解答:(3)
題意より,燃料重量のうち炭素の重量\(M_{\mathrm {C}}\)は,
\[
\begin{eqnarray}
M_{\mathrm {C}}&=&0.7M \\[ 5pt ]
&=&0.7\times 1714.3 \\[ 5pt ]
&≒&1200 \ \mathrm {[t ]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
であり,炭素の原子量が\(12\),二酸化炭素の原子量が\(12+16\times 2 =44\)であるから,二酸化炭素の重量は,
\[
\begin{eqnarray}
1200\times \frac {44}{12}=4400 \ \mathrm {[t ]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
と求められる。