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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
次の文章は,地中配電線路の得失に関する記述である。
地中配電線路は,架空配電線路と比較して,\( \ \fbox { (ア) } \ \)が良くなる。台風等の自然災害発生時において\( \ \fbox { (イ) } \ \)による事故が少ない等の利点がある。
一方で,架空配電線路と比較して,地中配電線路は高額の建設費用を必要とするほか,掘削工事を要することから需要増加に対する\( \ \fbox { (ウ) } \ \)が容易ではなく,またケーブルの対地静電容量による\( \ \fbox { (エ) } \ \)の影響が大きい等の欠点がある。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{ccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) \\
\hline
(1) & 都市の景観 & 他物接触 & 設備増強 & フェランチ効果 \\
\hline
(2) & 都市の景観 & 操業者過失 & 保護協調 & フェランチ効果 \\
\hline
(3) & 需要率 & 他物接触 & 保護協調 & 電圧降下 \\
\hline
(4) & 都市の景観 & 他物接触 & 設備増強 & 電圧降下 \\
\hline
(5) & 需要率 & 操業者過失 & 設備増強 & フェランチ効果 \\
\hline
\end{array}
\]
【ワンポイント解説】
地中送電は地中を通すこととケーブルのみしか使用できないことから,架空送電と比較される問題が多く出題されます。(ア),(イ),(ウ)は地中に通すことによる長所と短所,(エ)はケーブルを使用することによる短所となります。
1.地中送電の特徴
【長所】
・自然災害による影響や他接触物による外部事故が少ない。
・都市の景観が保たれる。
・露出充電部が少ないので,感電や火災の危険性が低い。
・通信線への誘導障害が少ない。
【短所】
・工期が長くなり,建設費も高くなる。
・事故箇所の特定が難しい。
・放熱性が低いため,導体の太さが同じ場合,送電容量が小さくなる。
・ケーブルの場合静電容量が数十倍となり,充電電流が大きい。
2.フェランチ効果
夜間等の軽負荷時,送電端電圧よりも受電端電圧が高くなってしまう事象で,送電線の静電容量が大きく,こう長が長い時に発生しやすい現象です。
【解答】
解答:(1)
(ア)
ワンポイント解説「1.地中送電の特徴」の通り,都市の景観が良くなります。
(イ)
ワンポイント解説「1.地中送電の特徴」の通り,自然災害発生時,他物接触による外部事故が少ない特徴があります。
(ウ)
地中送電は,設備増強に対して掘削工事を必要とすることから,架空送電より容易には増強できません。
(エ)
ワンポイント解説「2.フェランチ効果」の通り,地中送電線は静電容量が大きいため,フェランチ効果が発生しやすくなります。