《電力》〈送電〉[H29:問6]直流送電系統に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

電力系統で使用される直流送電系統の特徴に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 直流送電系統は,交流送電系統のように送電線のリアクタンスなどによる発電機間の安定度の問題がないため,長距離・大容量送電に有利である。

(2) 一般に,自励式交直変換装置では,運転に伴い発生する高調波や無効電力の対策のために,フィルタや調相設備の設置が必要である。一方,他励式交直変換装置では,自己消弧形整流素子を用いるため,フィルタや調相設備の設置が不要である。

(3) 直流送電系統では,大地帰路電流による地中埋設物の電食や電流磁界に伴う地磁気測定への影響に注意に払う必要がある。

(4) 直流送電系統では,交流送電系統に比べ,事故電流を遮断器により遮断することが難しいため,事故電流の遮断に工夫が行われている。

(5) 一般に,直流送電系統の地絡事故時の電流は,交流送電系統に比べ小さいため,がいしの耐アーク性能が十分な場合,がいし装置からアークホーンを省くことができる。

【ワンポイント解説】

直流送電に関する問題は数年に1回程度出題されます。特徴が多数あるため,よく理解する必要があります。

<直流送電のメリット>
・安定度の問題がないため,送電線の熱的許容電流まで送電容量を増やせます。したがって,大容量の送電に有利です。
・無効電流による損失がないので,送電損失が少ないです。したがって,長距離送電に有利です。
・同容量のケーブルで,交流に比べ\(\sqrt {2}\)倍までの電圧を送電できます。
・電圧最大値が実効値と等しいので,絶縁強度を低減が図れます。
・静電容量による充電電流が流れないため,誘電損が発生しません。
・送電線が2条で良いため,建設コストが下がります。

<直流送電のデメリット>
・交直変換装置が必要です。
・交流のように零点がないため,高電圧・大電流の遮断が難しいです。
・変換装置から高調波が発生するため,フィルタや調相設備の設置が必要です。
・大地帰路方式において,電食が発生しやすいです。
・変圧器で電圧の変成ができません。

【解答】

解答:(2)
一見すると正しそうですが,直流送電においては,フィルタや調相設備の設置が必要です。

(1) 直流送電系統は,交流送電系統のように送電線のリアクタンスなどによる発電機間の安定度の問題がないため,長距離・大容量送電に有利である。
(2) 一般に,自励式交直変換装置では,運転に伴い発生する高調波や無効電力の対策のために,フィルタや調相設備の設置が必要である。一方,他励式交直変換装置では,自己消弧形整流素子を用いるため,フィルタや調相設備の設置が不要である。
(3) 直流送電系統では,大地帰路電流による地中埋設物の電食や電流磁界に伴う地磁気測定への影響に注意に払う必要がある。
(4) 直流送電系統では,交流送電系統に比べ,事故電流を遮断器により遮断することが難しいため,事故電流の遮断に工夫が行われている。
(5) 一般に,直流送電系統の地絡事故時の電流は,交流送電系統に比べ小さいため,がいしの耐アーク性能が十分な場合,がいし装置からアークホーンを省くことができる。