《電力》〈配電〉[R2:問12]高圧架空配電線路を構成する機材とその特徴に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

高圧架空配電線路を構成する機材とその特徴に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 支持物は,遠心成形でコンクリートを締め固めた鉄筋コンクリート柱が一般的に使用されている。

(2) 電線に使用される導体は,硬銅線が用いられる場合もあるが,鋼心アルミ線なども使用されている。

(3) 柱上変圧器は,単相変圧器\( \ 2 \ \)台を\( \ \mathrm {V} \ \)結線とし,\( \ 200 \ \mathrm {V} \ \)の三相電源として用い,同時に変圧器から中性線を取り出した単相\( \ 3 \ \)線式による\( \ 100/200 \ \mathrm {V} \ \)電源として使用するものもある。

(4) 柱上開閉器は,気中形,真空形などがあり,手動操作による手動式と制御器による自動式がある。

(5) 高圧カットアウトは,柱上変圧器の一次側に設けられ,形状は箱形の一種類のみである。

【ワンポイント解説】

少し突っ込んだ内容の選択肢も多いですが,この問題のポイントとしては,「~のみ」となっていたらその選択肢が誤りの可能性が高いということに気付けるかというところにあると思います。
他にも「必ず」や「全て」等も誤りである可能性が高いです。

1.架空配電線路の構成
架空配電線路は,高圧配電線,低圧配電線等の電線と柱上変圧器や開閉器等の機器,それを支える支持物等で構成されています。

①高圧配電線,低圧配電線,引込線
高圧配電線は配電用変電所から\( \ 6.6 \ \mathrm {kV} \ \)で送る電線,低圧配電線は高圧配電線から柱上変圧器で\( \ 100/200 \ \mathrm {V} \ \)に降圧された電圧で送電する電線,引込線は高圧配電線もしくは低圧配電線から需要家へ引込むための線です。
いずれも裸電線の周りに絶縁被覆をした絶縁電線を使用し,高圧配電線には屋外用架橋ポリエチレン絶縁電線(\( \ \mathrm {OC} \ \)線),低圧配電線には屋外用ビニル絶縁電線(\( \ \mathrm {OW} \ \)線),引込線には引込用ビニル絶縁電線(\( \ \mathrm {DV} \ \)線)が使用されます。

②柱上変圧器
高圧配電線の\( \ 6.6 \ \mathrm {kV} \ \)の電圧を低圧配電線の\( \ 100/200 \ \mathrm {V} \ \)に降圧する変圧器で柱上に設置されています。単相変圧器\( \ 2 \ \)台を異容量\( \ \mathrm {V} \ \)結線して使用されます。

③柱上開閉器
負荷電流を遮断できる開閉器で,作業時等に操作します。主に気中開閉器(\( \ \mathrm {PAS} \ \))が用いられ,一部に真空開閉器(\( \ \mathrm {VCS} \ \))が使用されます。また,手動式と自動式があります。油開閉器は電気設備技術基準で使用禁止されているため,使用されません。

④高圧カットアウト
柱上変圧器の一次側に設置されるヒューズを内蔵した開閉器で,負荷電流までは開閉により,事故電流発生時はヒューズ溶断により開放します。形状は箱形が一般的ですが,円筒形もあります。

⑤支持物(電柱)
架空配電線路の支持物は街中で見かける通り,強度やコストの観点から鉄筋コンクリート柱が採用されています。

⑥ケッチヒューズ
引込線の電柱側取付点に設けられる,ケッチホルダーと呼ばれる箱の中に内蔵したヒューズです。需要家での事故の際に溶断して切り離します。


出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について

【解答】

解答:(5)
(1)正しい
ワンポイント解説「1.架空配電線路の構成」の通り,支持物は鉄筋コンクリート柱が一般的に使用されています。

(2)正しい
電線に使用される導体は,硬銅線が用いられる場合もありますが,現在は軽量かつ硬銅線より安価な鋼心アルミ線が採用されることが多くなっています。

(3)正しい
ワンポイント解説「1.架空配電線路の構成」の通り,柱上変圧器は,単相変圧器\( \ 2 \ \)台を\( \ \mathrm {V} \ \)結線とし降圧するものです。

(4)正しい
ワンポイント解説「1.架空配電線路の構成」の通り,柱上開閉器は,気中形,真空形などがあり,手動操作による手動式と制御器による自動式があります。

(5)誤り
ワンポイント解説「1.架空配電線路の構成」の通り,高圧カットアウトは,柱上変圧器の一次側に設けられますが,箱形以外にも円筒形もあります。