《電力》〈変電〉[R01:問7]変電所の主な役割と用途上の分類に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,変電所の主な役割と用途上の分類についての記述である。

変電所は,主に送電効率向上のための昇圧や需要家が必要とする電圧への降圧を行うが,進相コンデンサや\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)などの調相設備や,変圧器のタップ切り換えなどを用い,需要地における負荷の変化に対応するための\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)調整の役割も担っている。また,送変電設備の局所的な過負荷運転を避けるためなどの目的で,開閉装置により系統切り換えを行って\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)を調整する。さらに,送電線において,短絡又は地絡事故が生じた場合,事故回線を切り離すことで事故の波及を防ぐ系統保護の役割も担っている。

変電所は,用途の面から,送電用変電所,配電用変電所などに分類されるが,東日本と西日本の間の連系に用いられる\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)や北海道と本州の間の連系に用いられる\( \ \fbox {  (オ)  } \ \)も変電所の一種として分類されることがある。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{cccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) \\
\hline
(1) & 分路リアクトル & 電圧 & 電力潮流 & 周波数変換所 & 電気鉄道用変電所 \\
\hline
(2) & 負荷開閉器 & 周波数 & 無効電力 & 自家用変電所 & 中間開閉所 \\
\hline
(3) & 分路リアクトル & 電圧 & 電力潮流 & 周波数変換所 & 交直変換所 \\
\hline
(4) & 負荷時電圧調整器 & 周波数 & 無効電力 & 自家用変電所 & 電気鉄道用変電所 \\
\hline
(5) & 負荷時電圧調整器 & 周波数 & 有効電力 & 中間開閉所 & 交直変換所 \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

変電所の役割に関する問題です。変電所は「構外から送られる電気を,変圧器やその他の電気機械器具などにより変成し,構外に送る施設」と定義されており、電圧の昇圧または降圧を行う変圧器をはじめとして,電圧を法律で定められた\( \ 101±6 \ \mathrm {V} \ \)または\( \ 202±20 \ \mathrm {V} \ \)に維持するための負荷時タップ切換変圧器,送電線の事故等を検出して切り離すためのリレーや遮断器,無効電力を調整する電力用コンデンサや分路リアクトル等で構成されています。避雷器等も含めるとその構成機器は多岐にわたるため,一つずつじっくりと理解していくようにしましょう。

1.変電所の構成機器
変電所の構成機器は表1のようになります。

                 表 1
\[
\begin{array}{|c|c|}
\hline
\mathbf{機 器} & \mathbf{目的・用途} \\
\hline
変圧器 & 電圧の昇圧もしくは降圧を行う \\
\hline
負荷時タップ切換変圧器 & \displaystyle {変圧比を変えることが可能な変圧器のような}\atop \displaystyle {もので,受電端電圧を維持するために使用する} \\
\hline
遮断器 & 送電線の事故等の発生時,事故電流を切り離す \\
\hline
開閉装置 & \displaystyle {送変電設備の局所的な過負荷運転を避ける}\atop \displaystyle {ために電力調整を行う} \\
\hline
調相設備 & 無効電力の調整を行う \\
\hline
避雷器 & \displaystyle {雷等の過電圧発生時に異常電圧を逃がし,}\atop \displaystyle {機器を保護する} \\
\hline
\end{array}
\]

【解答】

解答:(3)
(ア)
無効電力の調相設備には遅れ無効電流を供給する進相コンデンサや遅れ無効電力を吸収する分路リアクトル等があります。

(イ)
ワンポイント解説「1.変電所の構成機器」の通り,変圧器のタップ切り換えなどを用い,需要地における負荷の変化に対応するための機器は負荷時タップ切換変圧器で電圧の調整を行います。

(ウ)
ワンポイント解説「1.変電所の構成機器」の通り,開閉装置による系統切り換えで,電力潮流を調整します。

(エ)
日本は東日本では\( \ 50 \ \mathrm {Hz} \ \),西日本では\( \ 60 \ \mathrm {Hz} \ \)で運用されているため,東日本と西日本との連系には周波数変換所があります。

(オ)
北海道と本州の間の連系は直流連系されているため,それぞれの連系には交直変換所があります。