《電力》〈電気材料〉[R05上:問14]アモルファス鉄心材料を使用した柱上変圧器の特徴に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

アモルファス鉄心材料を使用した柱上変圧器の特徴に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) けい素鋼帯を使用した同容量の変圧器に比べて,鉄損が大幅に少ない。

(2) アモルファス鉄心材料は結晶構造である。

(3) アモルファス鉄心材料は高硬度で,加工性があまり良くない。

(4) アモルファス鉄心材料は比較的高価である。

(5) けい素鋼帯を使用した同容量の変圧器に比べて,磁束密度が高くできないので,大形になる。

【ワンポイント解説】

アモルファス鉄心材料のけい素鋼と比較した特徴に関する問題です。
アモルファス変圧器は変圧器自体はけい素鋼より高価となりますが,無負荷損が少ないため,現在のエネルギー問題や地球温暖化の問題に対してはこちらの方が優れているとされています。
平成15年問14に同じ問題が出題されています。

1.けい素鋼とアモルファス合金
変圧器の鉄心に使用される磁心材料は,残留磁気や保持力が小さく,透磁率の大きい材料が理想で,その求められる特性からけい素鋼やアモルファス合金が使用されています。

①けい素鋼
 鉄にけい素を加えた材料で,以下のような特徴があります。
 ・加工性に優れる
 ・安価である
 ・小型にでき,軽量となる
 ・鉄損が大きい
 ・強度が低い

②アモルファス合金
 原子の配列が整っていない非結晶合金で,以下のような特徴があります。
 ・鉄損が小さい
 ・高強度である
 ・電気抵抗率と透磁率が高い
 ・保磁力が小さい
 ・強度が高いため,加工が難しい
 ・価格が高い

【解答】

解答:(2)
(1):正しい
ワンポイント解説「1.けい素鋼とアモルファス合金」の通り,アモルファス鉄心材料を使用した変圧器は,けい素鋼を使用した変圧器に比べ鉄損が大幅に少ないという特徴があります。

(2):誤り
ワンポイント解説「1.けい素鋼とアモルファス合金」の通り,アモルファス鉄心材料は非結晶構造の合金となります。

(3):正しい
ワンポイント解説「1.けい素鋼とアモルファス合金」の通り,アモルファス鉄心材料はけい素鋼を使用した変圧器に比べ高硬度で加工性はあまり良くありません。

(4):正しい
ワンポイント解説「1.けい素鋼とアモルファス合金」の通り,アモルファス鉄心材料はけい素鋼に比べ比較的高価となります。

(5):正しい
ワンポイント解説「1.けい素鋼とアモルファス合金」の通り,アモルファス鉄心材料を使用した変圧器は磁束密度が高くできないので,大形となります。