《電力》〈火力〉[R06下:問2]汽力発電における熱効率向上対策に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

汽力発電において,熱効率の向上を図る方法として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 (1) 高温高圧の蒸気を使用する。

 (2) 復水器の真空度を高める。

 (3) 再熱サイクルを利用する。

 (4) 給水加熱器で抽気温度を上げる。

 (5) 節炭器で排ガス温度を下げる。

【ワンポイント解説】

汽力発電における熱効率向上対策に関する問題です。
熱効率向上対策として様々な方法がありますが,丸暗記するよりもフロー図をイメージして理解することをお勧めします。
過去類題として令和元年問3平成21年問3等が出題されています。

1.汽力発電所における熱効率向上対策
主な汽力発電所の熱効率向上対策としては以下の方法があります。
① タービン入口蒸気を高温・高圧にします。ただし,材料の耐熱温度があるため,コストメリットを考え設計することになります。
② 復水器真空度を高くします。ただし,海水温度見合いとなるため,コントロールすることは難しいです。
③ 再熱サイクルで高圧タービンから出た湿り飽和蒸気を再熱器で加熱し,中低圧タービンに送ります。
④ 再生サイクルでタービンから抽気として蒸気の一部を取り出し,給水加熱器で給水を加熱します。
⑤ 節炭器でボイラの燃焼ガスで給水を予熱します。
⑥ 空気予熱器でボイラの燃焼ガスと燃焼用空気を熱交換します。
③ 排ガス温度を下げます。ただし,排ガス温度を下げすぎると煙突内部で腐食が発生してしまう可能性があります。
④ 燃焼空気量を抑えて燃焼温度を上昇させます。ただし,空気量が不十分だと不完全燃焼となり効率は下がり,一酸化炭素が発生します。


【解答】

解答:(4)
(1)正しい
ワンポイント解説「1.汽力発電所における熱効率向上対策」の通り,高温高圧の蒸気を使用することで熱効率が向上します。

(2)正しい
ワンポイント解説「1.汽力発電所における熱効率向上対策」の通り,復水器の真空度を高めることで熱効率が向上します。

(3)正しい
ワンポイント解説「1.汽力発電所における熱効率向上対策」の通り,再熱サイクルを利用することで熱効率が向上します。

(4)誤り
ワンポイント解説「1.汽力発電所における熱効率向上対策」の通り,給水加熱器で給水温度を上げることで熱効率が向上します。抽気は給水加熱器に供給するタービンから取り出す蒸気のことを言います。

(5)正しい
ワンポイント解説「1.汽力発電所における熱効率向上対策」の通り,節炭器で熱回収をすることで熱効率が向上します。