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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
原子力発電に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 原子力発電所では,ウラン\( \ 235 \ \)を\( \ 2~4 \ \mathrm {%} \ \)まで濃縮した高濃縮ウランを使い,エネルギーを取り出している。
(2) 放射線には\( \ \alpha \ \)線,\( \ \beta \ \)線,\( \ \gamma \ \)線などがあり,放射線を出す能力を放射能といい,放射能を有する物質を放射性物質と呼ぶ。
(3) 原子燃料の原子核に,エネルギー値が低く速度の遅い中性子を衝突させると,核分裂を起こす。
(4) 原子燃料の核分裂により発生した\( \ 1 \ \)個以上の熱中性子が,別の原子核を分裂させる反応が連続的に持続する現象を連鎖反応という。
(5) 減速材は,核分裂によって新たに生じたエネルギー値が高い高速中性子のエネルギーの一部を吸収させて,低速の熱中性子を得るために用いる。
【ワンポイント解説】
原子力発電における原子燃料の特性や核分裂反応に関する問題です。
知識があればあるほど悩む選択肢がありますが,令和5年下期問4にほぼ同じ誤りの問題が出題されていたので,受験生の正答率は高かったと予想されます。
誤りの傾向を知る上でも過去問は非常に重要ですので,最新のものからできるだけ多く取り組んでいくようにして下さい。
1.原子炉での核分裂反応
原子燃料であるウランは核分裂性物質であるウラン\( \ 235 \ \)と中性子を吸収して核分裂性物質になるウラン\( \ 238 \ \)があり,それぞれの核分裂反応のイメージは図1及び図2に示すような形となります。
①ウラン\( \ 235 \ \)の核分裂反応
核分裂性物質であるウラン\( \ 235 \ \)は熱中性子が衝突することで,核分裂が発生し,その時にエネルギーを出すと同時に放射性物質と高速中性子を\( \ 2~3 \ \)個程度出します。高速中性子が再び減速材(軽水)にて減速され熱中性子になり,また別のウラン\( \ 235 \ \)に衝突することで連鎖反応を繰り返します。

②ウラン\( \ 238 \ \)の核分裂反応
親物質であるウラン\( \ 238 \ \)は熱中性子を一旦捕獲・吸収することで,核分裂性物質であるプルトニウム\( \ 239 \ \)になり,ウラン\( \ 235 \ \)と同様な核分裂反応を起こします。

以上のような過程を繰り返すことで連鎖反応を起こすのが原子炉での核分裂反応となります。
天然ウランでは\( \ 99 \ \mathrm {%} \ \)以上がウラン\( \ 238 \ \)でウラン\( \ 235 \ \)の割合は\( \ 0.7 \ \mathrm {%} \ \)程度しかなく,これでは連鎖反応が続かないので,連鎖反応が継続可能な\( \ 3 ~ 5 \ \mathrm {%} \ \)程度に濃縮(低濃縮ウラン)して使用します。
【解答】
解答:(1)
(1)誤り
ワンポイント解説「1.原子炉での核分裂反応」の通り,原子力発電所では,ウラン\( \ 235 \ \)を\( \ 3~5 \ \mathrm {%} \ \)まで濃縮した低濃縮ウランを使用します。
(2)正しい
核分裂反応により発生する放射線には\( \ \alpha \ \)線,\( \ \beta \ \)線,\( \ \gamma \ \)線などがあり,放射線を出す能力を放射能といい,放射能を有する物質を放射性物質といいます。
(3)正しい
ワンポイント解説「1.原子炉での核分裂反応」の通り,原子力発電では,原子燃料の原子核に,エネルギー値が低く速度の遅い中性子を衝突させることで核分裂反応をさせます。
(3)正しい
ワンポイント解説「1.原子炉での核分裂反応」の通り,原子燃料の核分裂により発生した\( \ 1 \ \)個以上の高速中性子が減速材により減速し熱中性子になり,別の原子核を分裂させる反応が連続的に持続する現象を連鎖反応といいます。
(5)正しい
ワンポイント解説「1.原子炉での核分裂反応」の通り,減速材は,核分裂によって新たに生じたエネルギー値が高い高速中性子のエネルギーの一部を吸収させて,低速の熱中性子を得るために用います。