《電力》〈新エネルギー発電〉[R08上:問5]現在活用されている充電池とその特徴に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,電池及びその関連技術に関する記述である。

電池には,充電することによって繰り返し利用できる\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)がある。その代表的なものに\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)が挙げられ,携帯電子機器,電気自動車,電力貯蔵設備などのさまざまな用途で活用されている。蓄電能力の高い\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)やその他の蓄電機器を,電力貯蔵設備として風力発電や太陽光発電と併せて用いることで,出力の\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)ができる。\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)は大電力貯蔵用の機器として用いられている。

\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)の\( \ \fbox {  (オ)  } \ \)は,鉛蓄電池に比べて\( \ 3 \ \)倍程度高い。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{cccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) \\
\hline
(1) &  二次電池  &  {\displaystyle リチウム } \atop  {\displaystyle イオン電池}  &  平滑化  &  空気亜鉛電池  &  {\displaystyle 単位質量あたりの} \atop  {\displaystyle エネルギー密度 }  \\
\hline
(2) &  一次電池  &  {\displaystyle リチウム } \atop  {\displaystyle イオン電池}  &  短絡抑制  &  空気亜鉛電池  &  {\displaystyle 単位質量あたりの} \atop  {\displaystyle エネルギー密度 }  \\
\hline
(3) &  二次電池  &  酸化銀電池  &  短絡抑制  &  空気亜鉛電池  &  起電力  \\
\hline
(4) &  二次電池  &  {\displaystyle リチウム } \atop  {\displaystyle イオン電池}  &  平滑化  &  {\displaystyle ナトリウム・} \atop  {\displaystyle 硫黄電池  }  &  {\displaystyle 単位質量あたりの} \atop  {\displaystyle エネルギー密度 }  \\
\hline
(5) &  一次電池  &  酸化銀電池  &  平滑化  &  {\displaystyle ナトリウム・} \atop  {\displaystyle 硫黄電池  }  &  起電力  \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

現在広く利用されている充電池とその特徴を問う問題です。
電力科目でも出題されますが,機械科目でも出題される内容です。
アルカリ乾電池やマンガン乾電池等の充電ができない電池を一次電池,充電が可能な電池を二次電池といいます。

1.ナトリウム-硫黄電池
ナトリウムと硫黄を溶融状態にして運転することから「ナトリウム-硫黄電池(\( \ \mathrm {NAS} \ \)電池)」と呼ばれます。鉛蓄電池に比べて体積や質量が小さく,資源が豊富で長寿命であることから大電力貯蔵用設備として実用化されています。

①材料(反応式は暗記不要です)
 正 極:硫黄
 負 極:ナトリウム
 電解質:\( \ \beta \ \)-アルミナ

②特徴
・鉛蓄電池に比べ,エネルギー密度が約\( \ 3 \ \)倍となりコンパクトにできる
・昼夜間の負荷平準化として都市部近郊に揚水発電と同様な機能を設けることが可能
・出力変動の大きい太陽光発電や風力発電と組合せ出力の安定化を図ることが可能
・停電時の非常用電源としても利用可能
・希少金属を使用せず,資源が豊富で長寿命
・自己放電が少ない
・セルあたりの起電力は\( \ 1.7~2.1 \ \mathrm {V} \ \)程度とあまり高くないため,セルを直並列して使用する必要がある
・作動温度が\( \ 300 \ \)℃程度と高い温度を維持する必要がある
・火災事故が発生した際,水消火をするとナトリウムと水が反応してしまうため,消火活動が容易でない

2.リチウムイオン電池
リチウムイオンが移動することにより充放電を行うことから「リチウムイオン電池」と呼ばれます。エネルギー密度が非常に高く高い起電力を得ることができ,常温で使用可能なので,パソコンや携帯電話等日常的に扱うものにも多く採用されています。

①化学反応式(反応式は暗記不要です)
 正 極:\( \ \displaystyle \mathrm {CoO_{2}+Li^{+} + e^{-}\array { 放電 \\ ⇄ \\ 充電 }LiCoO_{2}} \ \)
 負 極:\( \ \displaystyle \mathrm {LiC_{6} \array { 放電 \\ ⇄ \\ 充電 } C_{6} + Li^{+}+ e^{-}} \ \)
 全 体:\( \ \displaystyle \mathrm {LiC_{6}+CoO_{2} \array { 放電 \\ ⇄ \\ 充電 }LiCoO_{2} + C_{6}} \ \)

②特徴
・エネルギー密度が高く(鉛蓄電池の約\( \ 5 \ \)倍),公称電圧も\( \ 3.6~3.7 \ \mathrm {V} \ \)と高い。
・浅い充電と放電を繰り返すことで電池の容量が減ってしまうメモリー効果という現象が発生しない。
・\( \ 500 \ \)回以上の充放電が可能で,高寿命である。
・高速充電が可能で,充放電効率も良い。
・液体を使用せず凍ることがないため,氷点下から\( \ 60 \ \)℃の高温まで使用可能である。
・充放電時における材料の不安定化により,発火・爆発等の危険性があるため,充放電時の監視保護が別に必要となる。

【解答】

解答:(4)
(ア)
一般に充電することによって繰り返し利用できる電池を二次電池といいます。

(イ)
ワンポイント解説「2.リチウムイオン電池」の通り,携帯電子機器,電気自動車,電力貯蔵設備などのさまざまな用途で活用されている電池はリチウムイオン電池となります。

(ウ)
ワンポイント解説「1.ナトリウム-硫黄電池」の通り,蓄電池を,電力貯蔵設備として出力が不安定な風力発電や太陽光発電と併せて用いることで出力の平滑化を図ることができます。

(エ)
ワンポイント解説「1.ナトリウム-硫黄電池」の通り,大電力貯蔵用の機器として用いられているのはナトリウム・硫黄電池となります。

(オ)
ワンポイント解説「1.ナトリウム-硫黄電池」の通り,ナトリウム・硫黄電池は単位質量あたりのエネルギー密度が,鉛蓄電池の\( \ 3 \ \)倍程度となります。