《電力》〈原子力〉[R08上:問4]原子核の質量と原子力発電の原理に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,原子核に関する記述である。

原子核は,正の電荷をもつ\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)と電荷をもたない中性子とが結合したものである。原子核の質量は,\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)と中性子の個々の質量の合計より\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)。
この差を\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)といい,結合時にはこれに相当する結合エネルギーが放出される。この質量の差を\( \ m \ \mathrm {[kg]} \ \),真空中の光の速度を\( \ c \ \mathrm {[m / s]} \ \)とすると,放出されるエネルギー\( \ E \ \mathrm {[J]} \ \)は\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)に等しい。

原子力発電は,ウラン等原子燃料の\( \ \fbox {  (オ)  } \ \)の前後における原子核の結合エネルギーの差を利用したものである。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\[
\begin{array}{cccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) \\
\hline
(1) &  陽子  &  大きい  &  質量増加  &  mc^{2}  &  核融合  \\
\hline
(2) &  陽子  &  小さい  &  質量欠損  &  mc^{2}  &  核分裂  \\
\hline
(3) &  電子  &  大きい  &  質量増加  &  mc  &  核融合  \\
\hline
(4) &  陽子  &  小さい  &  質量欠損  &  mc  &  核分裂  \\
\hline
(5) &  電子  &  小さい  &  質量欠損  &  mc  &  核分裂  \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

原子核の質量と原子力発電の原理に関する問題です。
原子核自体の知識はなくても、核分裂反応の知識があれば十分に解くことができます。
本問は平成13年問3とほぼ同じ問題となります。

1.原子炉での核分裂反応
原子燃料であるウランは核分裂性物質であるウラン\( \ 235 \ \)と中性子を吸収して核分裂性物質になるウラン\( \ 238 \ \)があり,それぞれの核分裂反応のイメージは図1及び図2に示すような形となります。

①ウラン\( \ 235 \ \)の核分裂反応
核分裂性物質であるウラン\( \ 235 \ \)は熱中性子が衝突することで,核分裂が発生し,その時にエネルギーを出すと同時に放射性物質と高速中性子を\( \ 2~3 \ \)個程度出します。高速中性子が再び減速材(軽水)にて減速され熱中性子になり,また別のウラン\( \ 235 \ \)に衝突することで連鎖反応を繰り返します。

②ウラン\( \ 238 \ \)の核分裂反応
親物質であるウラン\( \ 238 \ \)は熱中性子を一旦捕獲・吸収することで,核分裂性物質であるプルトニウム\( \ 239 \ \)になり,ウラン\( \ 235 \ \)と同様な核分裂反応を起こします。

以上のような過程を繰り返すことで連鎖反応を起こすのが原子炉での核分裂反応となります。
天然ウランでは\( \ 99 \ \mathrm {%} \ \)以上がウラン\( \ 238 \ \)でウラン\( \ 235 \ \)の割合は\( \ 0.7 \ \mathrm {%} \ \)程度しかなく,これでは連鎖反応が続かないので,連鎖反応が継続可能な\( \ 3 ~ 5 \ \mathrm {%} \ \)程度に濃縮(低濃縮ウラン)して使用します。

2.エネルギーと質量の関係式
アインシュタインの特殊相対性理論の中でも最もポピュラーな公式の一つで,ある物質に\( \ \Delta m \ \mathrm {[kg]} \ \)の質量欠損があった場合,その物質から発生するエネルギーを\( \ E \ \mathrm {[J]} \ \),光の速度を\( \ c=3.0\times 10^{8} \ \mathrm {[m / s]} \ \)とすると,
\[
\begin{eqnarray}
E &=&\Delta m c^{2} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] の関係があります。

【解答】

解答:(2)
(ア)
下図に示す通り,原子核は正の電荷をもつ陽子と電荷をもたない中性子とが結合したものとなります。

(イ)
原子核を構成することで,陽子と中性子の個々の質量の合計より質量が小さくなります。

(ウ)
原子核を構成することで,陽子と中性子の個々の質量の合計より質量が小さくなり,これを質量欠損といいます。

(エ)
ワンポイント解説「2.エネルギーと質量の関係式」の通り,質量の差を\( \ m \ \mathrm {[kg]} \ \),真空中の光の速度を\( \ c \ \mathrm {[m / s]} \ \)とすると,放出されるエネルギー\( \ E \ \mathrm {[J]} \ \)は\( \ E=mc^{2} \ \)となります。

(オ)
ワンポイント解説「1.原子炉での核分裂反応」の通り,原子力発電は,ウラン等原子燃料の核分裂の前後における原子核の結合エネルギーの差を利用したものとなります。